アップデートによリさらなる機能追加も

4K&3Dサラウンド時代の理想的なAVアンプ入門機。デノン「AVR-X1600H」レビュー

岩井 喬

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2019年06月20日

マルチチャンネル環境では、リファレンスとして毎回の取材で用いているDTS-HD Master Audio 6.1ch収録『スカイ・クロラ』チャプター15「空戦シーン」、そしてドルビーアトモス収録の『ボヘミアン・ラプソディ』チャプター22「ライブ・エイド」の冒頭シーンで確認を行う。

AVR-X1600Hは、エントリークラスにもかかわらず“できないことの方が少ない” 入門に最適な1台だ

『スカイ・クロラ』においては、戦闘機のエンジン音は太くどっしりとしており、プロペラ音もコシがある。前後の移動感もスムーズで、物体が動く様子の存在感もリアルだ。BGMの低音部は力強い押し出しで、ストリングスの分離も優れている。SEやセリフの描写は質感を落ち着き良く描く傾向で、銃声の弾道も太さがある。

ここでトップスピーカーのない環境でも有効なDTS Virtual:Xにサウンドモードを切り替えてみたが、BGMの分離度がさらに改善され、空間が全体的にスッキリと感じられるようになった。戦闘機のエンジン音は密度もしっかり感じ取れるが、ストレートデコードの時よりも動きに対しての明瞭さが増しており、音像の分離感も向上。また、上下方向の距離感が広くなり、高さ方向の情報もより豊かに感じられる。BGMのストリングスはより抑揚がつく。銃声の響きも軽やかで、弾道も克明につかみ取れる。

続く『ボヘミアン・ラプソディ』は、7.1chの試聴環境に合わせたドルビーアトモスのダウンミックス再生であるが、ウェンブリー・スタジアムでの歓声が上方向からも覆いかぶるように聴こえてくる。今回の環境ではトップスピーカー設置時ほどの明瞭さと粒立ち感までは得られないものの、スタジアムならではの臨場感ある広がりと、オーディエンスとの一体感を疑似体験できるような、演奏の熱さを感じることができた。

専用アプリを使えば、入/出力の状態もひと目で確認できる

歌声の厚みと口元のニュアンスの細やかさ、クリアで煌きよいピアノの響き、キックドラムの厚みとキレ、いずれもバランス良く整う。映像に引き込んでくれる自然なサウンドと、ロックならではのコシの太い中低域の力強さの両立も見事だ。シンセサイザーやエレキギターの粒立ち良いアタック感と余韻の再現性も特筆できる。



AVR-X1600Hは映像・音声含め、現在のトレンドをまとめ込んだ、まさに旬なAVアンプとして仕上げられている。手軽に様々なフォーマットを楽しみたいユーザーにとって、“できないことの方が少ない”エントリーモデルというのは非常に希少な存在ではないか。他社はなかなかAVアンプの継続的なラインナップ維持が難しい中、デノンではきめ細やかにレンジを分け、製品展開を行っている。

シリーズを継続してきたからこその技術的な積み上げの進化(HEOSはその好例)、ラインナップを豊富に持つことでのシャワー効果により、エントリーモデルだからこそ、その恩恵をより多く受け取ることができるのだ。まさにAVR-X1600Hはイマーシブオーディオ&4K HDR時代における“初めてのAVアンプ”に最適な1台といえるだろう。

(岩井 喬)


<試聴音源>
■クラシック
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』より「第一楽章」(96kHz/24bit)

■ジャズ
オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』より「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』より「届かない恋」(2.8MHz・DSD)

■ロック
デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』より「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)

■ポップス
シカゴ『17』より「ワンス・イン・ア・ライフタイム」(192kHz/24bit)
Suara「キミガタメ」(11.2MHzレコーディング音源を5.6MHzに変換)



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