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人気シリーズがさらに進化した

ティアックの新ネットワークプレーヤー/USB-DAC「NT-505」レビュー。「CG-10M」からのクロック入力も試す

2018/04/16 角田郁雄
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こだわりの内部構成。搭載デバイスもハイエンド機並み

内部に搭載されている技術も実に素晴らしい。電源回路、DAC、アナログ出力回路が、完全バランス・デュアル・モノラル・コンストラクションで配置されている。

電源部には大容量トロイダルトランスを左右独立で使用し、高音質コンデンサーを使用することにより、DACやアナログへ余裕のある電源を供給する。電源部が左右独立しているとセパレーションが向上し、解像度や空間性が高まるのである。

大容量トロイダルトランスを左右独立で搭載

DACチップは、DSD22.5MHzとPCM768kHz対応の旭化成(AKM)製「VERITA AK4497」である。これを左右独立で、2基搭載している。

このDACは電圧出力で、S/N/ダイナミックレンジが128dBもあり、全高調波歪み+ノイズ特性は-116dBという素晴らしい特性を示している。これは、ハイレゾ音源に内包する空気感などの微細信号を洩らさず伝えられる超高解像度な特性である。これを左右独立で使用するとは驚きである。

ここでD/A変換されたアナログ信号は、ディスクリート構成のアナログ出力回路である電流伝送強化型バッファー「TEAC-HCLD」に接続する。電流伝送を強化すると、長いラインケーブルの静電容量などの容量の影響を受けにくくし、低い出力インピーダンスを実現できる。音の鮮度を劣化させないのである。

電流伝送強化型バッファー「TEAC-HCLD」の構成図

NT-505ではこの増幅回路を1chあたり2回路構成とし、バランス出力では差動モード、アンパランス出力では並列モードで駆動するようにしている。これが実に巧みで、後述するが実際の音を聴くと惚れ惚れする。

またプリアンプ回路も充実させ、左右のホット(+)、コールド(−)信号を独立させた、4回路構成の可変ゲインアンプ型電子ボリューム「TEAC-QVCS」を搭載した。ピュアな音量調整のために、電子ボリュームとプリアンプ回路を直結したのである。

なお本機のデジタル処理部は、前述のネットワーク再生のほか、USB、Bluetooth、同軸/光デジタル入力再生が可能であり、その処理能力の高さにも目を見張るものがある。デジタル入力の切り替えもスピーディーに動作する。

加えて魅力的なのは、アップコンバートとフィルター切り替え機能である。音質の変化もかなり大きく、慣れてくると、再生する音源にあわせてフィルターを切り替え、好みの音質を探れるところがとても良い。

アップコンバート機能も充実している

USB再生も進化し、今回、バルク転送によってレイテンシーを抑える「Bulk Pet」(バルクペット)を使用可能にした。このBulk Petには4つのモードがある。

ネットワーク再生については、本機はネットワークソリューションも一新した。中でも、新たにOpenHome対応となったことを特筆したい。OpenHomeとは、UPnPをベースとした、その名の通りオープンなオーディオプラットフォームだ。再生デバイス側にプレイリストを持たせることができるため、操作が快適になるのが特徴だ。

また本機は、Spotify ConnectやRoon Ready、MQA、TIDALやQobuzなどへも対応している。

なお、再生アプリには独自の再生ソフト「TEAC HR Streamer」を使用。モバイルデバイスでも楽々と再生できる。さらには前述のOpenHome対応により、LINNが提供するアプリ「Kazoo」や「Kinsky」による操作も行えてしまう。アプリの選択肢があるのは嬉しいポイントだ。

次ページ厚みとスケール感のある音。ハイエンドモデル級だ

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