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【特別企画】音楽再生において抜かりないスペック

このサウンドは本物だ! ケンウッド“彩速ナビ”TYPE Z「MDV-Z905」を取付けハイレゾを聴いた

公開日 2018/03/29 08:00 野村ケンジ
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もうひとつ、「MDV-Z905」にはケンウッドならではの特徴がある。それは、ビクタースタジオで培った技術と経験を活かした独自の高音質化技術「K2テクノロジー」を搭載していることだ。これは、「ビット拡張」「周波数 帯域拡張」「波形補正」の処理を行うことで、欠落した音楽信号を予測/補間し、限りなくスタジオマスターに近い音質で再生を行うという、定評あるデジタル処理技術。たとえ圧縮音源であっても、なかなかにリアルなサウンドを楽しめる。

「K2テクノロジー」含む音質・音声効果も様々な調整が行える。なお「K2テクノロジー」のオン/オフは、音楽再生画面からも可能だ

そして、カーAVにとって必要不可欠な音質/音場調整デジタルシステムも、先代に対してさらなる進化を遂げている。座席に合わせて最適な音質を選べる「リスニングポジション調整」や音像をリスナー正面に定位させることができる「フロントフォーカス調整」など、簡単な設定で最適なサウンドフィールドを作り上げることができるシステムは踏襲しつつ、「MDV-Z905」では精密な音質調整を可能な「プロモードEQ」を追加。こちらを活用することで、3ウェイシステムの詳細なサウンドシステムを行うことができる。こだわり派にとって待ちに待った機能といえるだろう。

リスニングポジションに合わせたサウンド調整など高評価の機能を搭載

細かな追い込みが可能な「プロモードEQ」機能で、よりこだわった調整が可能

ハイレゾ音源ならではのメリットを車室内でもしっかり引き出す

ということで、クルマに「MDV-Z905」の実機を、同じく発売したばかりの17cm2ウェイスピーカー、ケンウッド「KFC-XS1703」を組み合わせてインストール。基礎体力を知るべく、デジタル設定はほぼデフォルトのままで、実際のサウンドを聴いてみた。

何を隠そう、今回取付けを行った先代スズキ・ラパンは私の愛車で、かつハイレゾ対応カーナビ「MDV-Z702」と当時の上級スピーカー「KFC-XS1700」をインストールしていたため、純粋に最新モデルへのリニューアルとなるが、それでもサウンドの違いにビックリした。

スズキ・ラパンにインストール

すでに取り付けられていた「KFC-XS1700」(手前)と今回インストールした「KFC-XS1703」(奥)

低域のフォーカス感がかなり良くなったうえ、雑味のないピュアな音となってくれたため、音のリアルさ、臨場感の高さが格段に向上しているのだ。たとえばエレキベースなどは、旧システムではやや細身の、少々くぐもった印象の音色だったのに対し、「MDV-Z905」+「KFC-XS1703」ではしっかりした厚みを持ちつつクリアな音色へと変化。格段に印象的な演奏となった。

ハイレゾ音源は、高域の伸びやかさだけでなく低域のフォーカス感も高まって感じられるのだが、新システムはそれが顕著に伝わってくるイメージ。低域がマスクされやすい、走行ノイズのある車室環境でも、ボリュームを無理に上げずに音楽がしっかりと聴き取れるようになる。これはとても有利だ。

再生画面では視覚的にも音楽を楽しめるGUIを採用している

一方で、高域も伸びやかな印象へとシフトした。特に前世代のスピーカーは、ハイレゾ対応であることを強く意識していたためか高域が鋭い印象があったが、「KFC-XS1703」ではキレの良さはそのままによりナチュラルな音色に変化、聴き心地の良いサウンドとなった。これはスピーカーの進化はもちろんのこと、「MDV-Z905」のサウンドのピュアさがそのまま出ている印象だ。約3年でここまでの進化を果たすとは素晴らしい。

「KFC-XS1703」はトゥイーターもセットになっているので高域再生にも強い

続いて、ウォークマン「NW-WM1Z」を使い、LDAC接続でのサウンドもチェックしたが、こちらもなかなかの出来映え。音質ではSDカードでのハイレゾ再生には劣るが、低域のフォーカス感の高さや抑揚表現の丁寧さなど、通常のBluetooth再生に対して充分にアドバンテージがある。チェロのボーイングがリアルに感じられるなど、聴き応えあるサウンドだ。手軽ということもあって、こちらも多用したいと思える。

このように “彩速ナビ” TYPE Z「MDV-Z905」は、リリースされている大半のハイレゾ音源に対応するというアドバンテージを持ちつつ、ハイレゾ音源ならではのメリットを車室内でもしっかり引き出してくれる、“オーディオプレーヤー” としても素晴らしい実力を持ち合わせる製品だ。

その実力は、わずか3年前のハイグレードシステムと比較しても、圧倒的な良質さを誇る。純正スピーカーとの違いはいわずもがな、大幅なクオリティアップを実現できる。スピーカーと合わせて15万円未満でこのクオリティを実現できるとは喜ばしいかぎりだ。

インストール店舗

今回、「MDV-Z905」+「KFC-XS1703」の取付に関しては、カーオーディオにも力を入れている「スーパーオートバックスかわさき」で行ってもらった。ウーファーの取付けにケンウッド製の別売インナーバッフルボードを利用したものの、その他は付属品を使い、ドアへのデッドニング等もほとんど行わないなど、あえて一般的なカー用品店と同じメニューにとどめている。それでも充分魅力あるサウンドを聴かせてもらうことができたのは、驚くばかりだ。

「スーパーオートバックスかわさき」でインストール

「MDV-Z905」と「KFC-XS1703」のサウンドクオリティの高さは本物だ。とはいえ、カーAVはドアのデッドニング処理で音質がさらに大きく向上する可能性もある。機会があれば「プロモードEQ」によるデジタル調整も含め、本気で取り組んだ取付けを行ってみたいと思う。

(特別企画 協力:株式会社JVCケンウッド)

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