[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第200回】ラズパイオーディオの新基準!AVIOTのケース&ボード「CASE 01」「DAC 01」を試す

高橋 敦

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2018年01月12日

シングルエンドにヘッドホン、電源も確認

次に、SE846+3.5mmシングルエンド駆動+DACボード側電源を聴いてみる。一般的なシングルエンド駆動とバランス駆動での音の傾向の違いが、そのままの変化して現れる印象だ。バランス駆動と比べれば少し緩く、甘くはなる。しかし代わりにボーカルはやや大柄にセンターに立ち、その存在感の大きさや雰囲気というのもこれはこれで良い。

そういう変化はあるものの、音調の傾向、方向性までが大きく変わるわけではない。DAPなどでは、シングルとバランスでそれぞれの強みを生かし特徴付けるためか、意図的にチューニングを変えてあるのかなと思える製品もある。

対してこのDACボードにはそういった意図は感じない。どちらも同じくストレートなチューニングで出力されているのではないだろうか。純粋に「このイヤホンはシングルとバランスでどう音が変わるだろう?」と比べたい場合などにも、都合が良さそうだ。

次は「SHR1840」+3.5mmシングルエンド駆動+DACボード側電源で、ハイエンド開放型ヘッドホンとの組み合わせをチェックした。

ハイエンドヘッドホン「SHR1840」

……チェックしたのだが、一言「何の問題もない」という報告で終わってしまう納得感。SRH1840らしさも、SE846で確認したこのDACボードの持ち味も、どちらも存分に楽しませてくれた。ハイエンドヘッドホン相手でもその持ち味を引き出し、自分の持ち味も発揮できるというのは、このDACボードのヘッドホンアンプ部の駆動力にそれだけの余裕があるということだろう。

最後に、SE846+2.5mmバランス駆動+ラズパイ側電源という組み合わせでDACボード側電源回路の効果を確かめてみた。DACボード側電源での駆動で最初に驚かされたS/Nという部分において、今度は逆方向に驚かされた。ラズパイ側電源に変えるとS/N感が明らかに落ちたのだ。この状態でもケースの頑強さ、シールドやGNDの工夫などのおかげで、十分なS/Nは維持されている。しかしそれでも明らかに違いがわかるほどに、DACボード側電源回路の恩恵は大きいようだ。

ということは、電源周りをさらに整えればさらなる向上も期待できることだろう。
今回は手元になかったので試せなかったが、「出力に余裕のあるモバイルバッテリー」や「オーディオ向けのUSB電源アクセサリー」といったアイテムは使えそうだ。

電源がUSB供給という貧弱さはラズパイオーディオの弱点でもあるが、ならばその改善による効果も大きいはず。それに据え置きオーディオで電源周りにこだわり始めると大変な金額と設置スペースが消えていきがちだが、USB電源ならそこまでの心配は必要ない……はずだ。



今回は、ラズパイオーディオの可能性を具体的に示すリファレンス的なケース&DACボードをチェックしてみた。ラズパイオーディオはまだまだこれからのジャンルであり、これもスタート地点の一つにすぎない。しかし、このケースとボードのクオリティがこれからの基準になるわけであり、だからこそこの一歩は重要だ。そしてこのケースとボードは、実に高い基準を設けてくれた。新しいオーディオスタイルの始まりを示すありながら、すでに十分すぎる完成度も備えてしまった製品といえる。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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