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【特別企画】新ミドルクラスモデルの音質と使い勝手をチェック

コウォン「PLENUE R」を聴く。ハイレゾプレーヤー激戦区に登場した注目機の実力は?

公開日 2017/09/28 10:03 山本 敦
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はじめに上原ひろみのアルバム「SPARK」から『Wonderland』を聴いた。見晴らしがよく澄み渡ったサウンドが、広さと深さを併せ持つスケールの大きな音場を描き出す。ピアノにベース、ドラムスの音色が鮮明で、充実した量感も伝わってきた。

特にドラムスの楽器の色がきれいに描き分けられ、その活き活きとした躍動感に引き込まれてしまう。シンバルやハイハットの余韻がきめ細かく広がって静寂に溶けていく。プレーヤーが原音をむやみに着色しないぶん、生の楽器が持つ豊かな音色がリアルに蘇る。

バランスケーブルに切り替えると、ピアノの中高域がさらに艶っぽくなった。空間再現は高さ方向にいっそうの余裕が生まれて、明るいメロディのイメージに磨きがかかる。ベースの低音は音の輪郭がシャープになってスピードと切れ味も増してきた。迫力いっぱいのサウンドが体にしみこんでくるような、音楽と一体になる感覚が味わえた。

再生中画面も多彩なスキンを用意。全6タイプを切り替えられる

■「ライブ会場でしか体験できないような臨場感を引き出す」

MISIAの「星空のライブIII@山中湖シアターひびき」から『Everything』を再生する。最初にアンバランス接続から聴きはじめたが、やはりPLENUEシリーズならではのクリアで澄み切った、ノイズ感の少ないサウンドは土台の部分でしっかりと確立されている。

MISIAの声の繊細なニュアンスが自然と浮き彫りになる。コーラスと厚みのあるハーモニーが柔らかく包み込んでくる。本当はライブ会場に足を運ばないと体験できないような臨場感をPLENUE Rが引き出してくれた。

バランス接続にして聴くと、音場の立体感がまた一段と高まって、思わず息を呑んだ。楽器の定位がより明瞭になって、演奏全体にぴたっと焦点が合う。アコースティックギターの響きに清涼感が加わり、ひんやりとしたライブ会場の空気感までも肌で感じられるようになる。

一方ではボーカルの温かみやエネルギー感はいっそう引き立ってきた。丸みを帯びたベースラインの弾力感も心地良い。思わずライブアルバムをまるごと1枚聴き込んでしまった。

■シリーズの新しい「顔」になるモデルが誕生した

サウンドトラック「シン・ゴジラ劇判音楽集」から『Who Will Know 悲劇』も聴いた。アンバランス接続では、ソプラノのしっとりとした柔らかい声に抱かれるような温かみが心地よい。トランペットの音色もゆったりと響き、弦楽器のハーモニーと深く溶け合う。ティンパニやコントラバスの低音は太い輪郭線ではっきりと描かれる。

バランス接続に切り替えると、ソプラノの冷たい表情が浮かび上がり、楽曲に込められた畏れや哀しみの感情が激しく伝わってきた。音場は奥行きがさらに深く見渡せるようになり、テノールの歌声、オーケストラとの立体的な位置関係が見えてくる。

弦楽器の和音もきれいに解れて、ハーモニーに広がりが生まれる。特に魅力的なボーカルに注目したい楽曲や、オーケストラにジャズバンドなど楽器の数が多い演奏を聴く時には、PLENUE Rのバランス接続を楽しめる環境を揃えておきたい。

最後にBluetoothのサウンドもソニーのヘッドホン「MDR-1000X」でチェックした。自然なバランス感覚を備えた力みのないワイヤレスサウンドが好印象だった。

接続性能も安定しているので音切れも少ない。外出先で電車やバスなど乗り物の中で音楽を聴く時にはBluetooth対応のノイズキャンセリングヘッドホンと組み合わせてもよさそうだ。PLENUE Rのサウンドを快適に楽しめる可能性を広がる新しい機能を歓迎したい。

無駄な足し引きをしないピュアな音楽再生をベースに、ユーザーが好みのヘッドホン・イヤホンを組み合わせて理想的なポータブル再生環境を追求できるPLENUEシリーズのコンセプトは、スタンダードクラスのモデルである「PLENUE R」にも一切妥協することなく受け継がれている。シリーズの新しい「顔」になるモデルが誕生した。

(特別企画 協力:COWON販売)

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