IFI-Audioの真空管へのこだわり

「電子管(GE 5670)、これが重要なのです」。iFI-Audioのサウンドの秘密

iFI-Audio(翻訳:生塩昭彦)

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2017年04月28日

5670が採用されなかった要素のひとつ「価格面」
さて、ここで話に価格面の要素を加えましょう。軍事用の部品は、同一の民生用の部品と比べると、少なくとも10倍の値段がするのが常です。電子管オーディオの黄金時代に5670の電子管を使ったオーディオ製品を誰も設計しなかったのは、5670の値段のせいなのです。

東西冷戦が終結した時に軍が倉庫(映画「インディ・ジョーンズ」シリーズの「レイダース 失われたアーク」の最後の場面に出てくる洞窟のような場所です)の在庫を放出した後も……それらを使った人はほとんどいませんでした。ピン配列が非標準仕様だったので、既存の装置にはめ込むことができなかったからです。手短に言えば、NOS6922の方が大きな人気を得ることになり、その珍しい「いとこ」にあたる、何百ドルもの価値がある5670はだれも求めることがなかったのです。

過去25年以上にわたって、ディーラーやオーディオファイルは、NOS6922のごく限られた在庫を使い尽くしてきました。この種の状態の良い電子管を見つけるのが今日ほとんど不可能になっているのは、それが理由です。では、愛されることはなかったが優れていた5670は、どうなったのでしょう? それはまるで、だれかに発見されるのを待っていたあの「契約の箱」(モーゼの十戒を刻んだふたつの平たい石を納めた箱)のように、倉庫の中に気持ちよく眠っていたのです。そしてそれを最初に発見したのが、『バキューム・チューブ・バレー』誌のエリック・バーバー(彼の記事もまたすっかり無視されましたが)と私たちだったのです。

5670管は、何年も前にシャンリンという人が中国製の6N3管を使ったCDプレーヤーと電子管アンプを作った時に多少知られることになりました。6N3は、5670のソビエト・バージョンであった6N3P(間違って6H3PIと表記されることがよくあります)をコピーした中国製品です。5670と6N3の互換性の可能性についてはほとんど知られていなかったので、十分な在庫が残っているということになります。

言うまでもないことですが、いまでは5670はNOS6922の代用として使えることが知られるようになりましたので、AMR/iFi-Audioはこれらの軍用倉庫のひとつにあった在庫を将来のために確保しました。正しいピン配列(Pro iCANはこれをやっています)で使おうと、アダプターを介して使おうと、いずれにしてもこの5670は、オーディオマニアの「電子管狩猟犬」によって数年で「狩り」尽くされ、在庫がなくなってしまうでしょう。可能な間に捕まえておかなければなりません。

こうして手に入れたGE JAN 5670 NOSは、長期の使用に耐える、素晴らしいガラス管で(この電子管を昔ながらの方法で動作させれば10万時間の寿命も可能です)、素晴らしい音質を備えています。現在お金を出して買うことができる電子管の中では最高のものです。そうです、これによってさらに高い音質を実現することができるのです。これには多額の費用がかかりますが、実は費用は大した問題ではなく、もっと大きな問題があります。

Western ElectricとBendix 6N3にはさまざまな同等製品があり、それらの入手がどの程度容易であり、また製造元がどこであるかというのが、主要な問題となるのです。模造品があるので、警戒しなければならないということです。

公式な記録に残っているガラス管

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