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【特別企画】「画質を大きく左右するのは映像エンジンの完成度」

東芝初の4K有機ELテレビ「レグザ X910」高画質化の理由 − 評論家・山之内正が徹底解説

公開日 2017/03/06 11:34 山之内 正
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日本メーカーとしては他社に先駆けて4K有機ELテレビを国内投入する東芝。その“4K有機EL REGZA”「X910」に込められた高画質化へのこだわりとは? 同モデルの技術的特徴を評論家の山之内正氏が解説する。


■画質を大きく左右するのは映像エンジンの完成度

レグザの高画質を支えてきた歴代の映像エンジンには膨大な知見とノウハウが凝縮されている。高画質技術のコア部分は多様な形式の映像信号を想定して性能を追い込んでおり、さらに言えばパネル方式の違いを超えて性能を発揮するだけのポテンシャルを持っている。

今回レグザ初の有機ELモデル「X910」が完成したが、そこに搭載された新映像エンジン「OLEDレグザエンジンBeauty PRO」は、Z20Xと同じLSIのファームウェアを書き換えることで有機EL対応を実現している。レグザ映像エンジンの性能に十分な余裕があるからこそ、そんな手法が成り立つのだろう。

4K有機ELレグザ X910シリーズ

X910シリーズの65型と55型の有機ELパネルは外部から調達しており、今年中には複数メーカーの製品が揃うだろうがパネルの供給元は同じだ。各社の試作機も含め画質を比べると、たとえ同一パネルを使った製品であっても、映像エンジンの性能が最終的な画質を大きく左右するという事実を思い知らされる。

65型と55型の2サイズをラインナップ

引き締まった黒再現や、その中で映える煌めきはパネル自体の性能とみなしてよいが、明暗それぞれの領域の階調表現やノイズの挙動などに思いがけず大きな違いがあり、映像から受ける印象が変化する。

そして、そうした映像の印象を左右するような描画性能のかなりの部分は映像エンジンの完成度によって決まる。レグザの映像エンジンは一貫して内部12bitの高bit処理を行っており、階調や質感の再現能力に余裕がある。その余裕が映像から受ける印象の違いをうむのである。

新映像エンジン「OLEDレグザエンジンBeauty PRO」によって他社製品との画質の差別化が図られている

さらに、コンテンツごとの画質も機種によってかなり大きな違いを見せる。UHD BDや配信の4K/HDRコンテンツだけでなく、BDや地デジの放送番組、ネットの動画コンテンツなど、一般的な2K/SDR映像を見たときの画質の違いも思いのほか大きい。

■画質の違いがどこから生まれる?

そうした画質の違いがどこから生まれるのか、技術的な背景を具体的に見ていくことにしよう。

すでに店頭やショウルームでX910の映像に接した人は、地上デジタル放送受信時の画質が目に見えて優れていることに気付いたはずだ。そこに貢献している重要な技術が「アダプティブフレーム超解像」である。

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