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【特別企画】3モデルそれぞれの魅力を徹底解説

JVC “CLASS-S”に新星「WOOD inner」3機種が登場! 注目イヤホンの実力に野村ケンジが迫る!!

2016/12/09 野村ケンジ
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ギターのアルペジオがとても美しい。高域は倍音成分の揃いが良いのか、ひたすら美しく、それでいてほどよい刺激も感じられるジェントルな響きだ。


WOOD 03 inner
一方の低域は、普段よりほんの少し量感高めといったところだが、柔らかい響きを持ち合わせているおかげか、とても心地よく感じる。

また、音色傾向としてはとても素直というべきか、余り着色のないイメージ。結果として、特に女性ヴォーカルなどは、とてもリアルな、優しさ溢れる歌声を存分に楽しませてくれる。人によっては低域のパンチが足りないと思うかもしれないが、これはこれでいい。なかなかの美音といえる。

続いて、「WOOD 02 inner」を試聴する。一聴して「WOOD 03 inner」との違いは、高域がさらに伸びやかになり、SN感も高まったのか、抑揚表現がかなりダイレクトに感じられるようになった。結果として、音色傾向としてはやや個性的になったイメージ。


WOOD 02 inner
ヴァイオリンの音色はずいぶん高域の伸びが鋭くなった。同時に、ボーイングがとても力強く感じられるようになり、何よりも音に粘りが生まれて、弦の響きからボディの鳴り、さらにホールの響きまで、演奏の全てを余さずしっかりと感じ取られるようになったのは嬉しいところ。音楽の臨場感、リアリティは格段に向上しているのだ。おかげで、音楽の世界に全身全霊で没入することができる。

一方で、アコースティックギターの音は本来の音色そのままといったイメージ。とても自然な音色を聴かせてくれるのは興味深い。女性ヴォーカルはややハスキーな印象ながらも、リアルさは「WOOD 03 inner」以上。知り合いのヴォーカリストだと、顔の位置が近すぎてこちらが照れてしまうくらいだ。

音数の多さも特徴だ。歪み感の少ない、素直な音色のおかげもあってか、音数の多いテクノであっても、全ての音をしっかりと再現して切ってくれる。クォリティも高く、WOODならではのナチュラルなサウンドを活かした聴かせ方も素晴らしい、完成度の高い製品だ。

■WOOD 01 innerは『完璧、といいたくなるほどの出来の良さ』

最後に、トップモデルの「WOOD 01 inner」を試聴した。完璧、といいたくなるほどの出来の良さだ。


WOOD 01 inner
実は、「WOOD 02 inner」を聴いたときに、これでいい、これがベストなのではと思ったのだけど、いやはや、さらに上をいってるというか、よりWOODシリーズらしさを持ちつつ、どんなジャンルの音楽も得手不得手なくこなす懐の深さを持ち合わせているのだ。

一言でいえば、ワイドレンジ&ニュートラルといったイメージ。ヴァイオリンはボーイングの力強さだけでなく、絶妙なニュアンス表現まで感じ取られるようになったし、時々感じられる低音は演奏者が床を踏みしめる音だったのか、と新たな発見があったくらいのリアリティを持ち合わせている。

また、先ほどのテクノでは低域のフォーカス感が高まった上に、さらなる解像度感の向上により、左右だけでなく奥行き方向への広がり感も向上している。

一方、アコースティックギターはウッドボディの響きやエナメル弦の振動までリアルそのまま。女性ヴォーカルは、ほんのちょっとだけファニーな音色の、愛らしい歌声を聴かせてくれる。

正直、WOODの良さを存分に味わいたい人は、断然「WOOD 01 inner」がオススメ。ハイエンドのポジションにふさわしい、完成度の高い製品だ。

対して、「WOOD 02 inner」も捨てがたい。解像度の高さや音のリアリティでは「WOOD 01 inner」に一歩譲るものの、とにかくクリアで美音。リアリティの高さも含め、この心地よさは一聴に値する。

この両機は例えば休日の午後、自宅でじっくりと音楽に浸りたいときに適しているだろう。一般的に自宅などの環境で腰を落ち着けてというシーンではヘッドホンがチョイスされるが、そこをあえてイヤホンで、という使い方だ。「WOOD 01 inner」か「WOOD 02 inner」かは、キャラクターの好みで選べばよいだろう。

そして、基本的に屋外でしか聴かず、かつ、できるだけ自然な音色がいいという人は、「WOOD 03 inner」がベストだ。暖かな日差しの公園のベンチに座り、「WOOD 03 inner」でお気に入りの音楽とともにゆっくりと本を読む、なんてシーンもいいだろう。こちらでWOODシリーズの良さをまずは体験してみる、というのもひとつの選択肢といえる。

(特別企画 協力:JVCケンウッド)

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