HOME > レビュー > ラズパイ・オーディオをDLNAネットワークプレーヤーとして活用する

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(14)

ラズパイ・オーディオをDLNAネットワークプレーヤーとして活用する

公開日 2016/04/22 10:30 海上 忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■「NePlayer」を使い、いざネットワーク再生

DLNA DMS/DMRとなったラズパイをどのように操作するかだが、適当なDLNAクライアント(DMC)アプリを用意すればいい。本稿では、ラディウスが開発したハイレゾ再生アプリ「NePlayer」のiOS版をチョイスしたが、LINNのネットワークプレイヤー・DSシリーズに対応した「ChorusDS」など選択肢は豊富にある。Androidであれば「BubbleUPnP for DLNA/Chromecast」などを利用してもいいだろう。

NAS上のファイルを再生するには、画面右上にあるフォルダアイコンをタップし、再生対象のサーバ(DMS)を選択する。次に画面上部のスピーカーアイコンをタップし、出力先(DMR)にラズパイ・オーディオを選択すれば準備完了だ。あとはアーティスト名やアルバム名などをたよりにブラウズし、再生指示を与えればいい。NePlayerの場合、192kHz/24bitまでダウンコンバートなしに再生可能だ。

iPhone上のファイルを再生することもできる。NePlayerはアプリ内部に楽曲を保存できるが、それをDMRとして動作するラズパイ・オーディオに再生指示すればいいのだ。画面上部にある3つ並ぶアイコンのうち、『ミュージック』アプリが管理する(iTunesから転送/iTunes Storeから購入した)楽曲を再生する場合はiPhoneボタンを、NePlayerにiTunesまたはAirDropで転送したハイレゾ楽曲を再生する場合はHighResoボタンをタップすればいい。



出力先にラズパイ・オーディオ(ホスト名はvolumio)を指定する
肝心の再生品質だが、ネットワーク(有線/無線LAN)の帯域が足りていればスムーズそのもの。試聴に利用したラズパイ本体はRaspberry Pi 2 Model B+、最新のRaspberry Pi 3と比較すれば処理能力では見劣りするが、192kHz/24bitの楽曲でも音が途切れることはない。NAS上の楽曲も、iPhoneに蓄えた楽曲も、ノートラブルで再生できた。

NePlayerに蓄えたハイレゾ楽曲(FLAC、96kHz/24bit)を再生したところ。ファイルフォーマット情報の上部に「iPhone→DLNA」と表示されている

念のためSSHでリモートログインし、topコマンドでシステムの負荷状況をチェックしたが、FLAC 192kHz/24bitという情報量の多い楽曲でもCPU使用率は10%程度(ピーク時)。Volumio 1.55の初期設定では実質的に無効化されている -- /etc/minidlna.confを直接編集しなければ利用できない設定をデフォルトとした -- ことは謎だが、Raspberry Pi 2 Model B+での利用に関するかぎり再生能力にはじゅうぶん余裕がある、と言っていいだろう。

DMRとして動作するラズパイでFLAC 192kHz/24bitを再生し、topコマンドでそのときのCPU使用率を測定したところ、ピーク時でも10%程度だった

ところで、いよいよ正式公開が迫る「Volumio 2」は、リリース候補版(RC1)の段階ではDLNAサーバ機能がサポートされていない。WEBインターフェイスにDLNAのスイッチは見当たらず、apt-cacheコマンドで調べたところそもそもMiniDLNA自体収録されていなかった。正式リリース時にどうなるかは不明だが、Volumio 1.55の状況を踏まえれば、手作業でのセットアップを覚悟したほうがよさそうだ。


連載目次
<第1回>
5,000円の手のひらコンピュータ「Raspberry Pi」で自作オーディオを始めよう!
<第2回>
Raspberry Piで自作する“ラズパイ・オーディオ”。音質をあのメーカーに聴いてもらった!
<第3回>
“ラズパイ・オーディオ” の音質を高めよう! 「クロックダウン」で再生を追い込む
<第4回>
“ラズパイ・オーディオ”をフルデジタルアンプ「DDFA」にI2S入力! 鮮烈な音に驚愕した
<第5回>
“音質も変わる? “ラズパイ・オーディオ” のデコーダーをカスタマイズ!
<第6回>
ラズパイは動画再生もイケる!ラズパイらしいYouTube再生アプローチ
<第7回>
ラズパイ・オーディオでアップサンプリング! CD音源を変換して高音質再生
<第8回>
あの高音質ストリーミングはラズパイオーディオで聴けるのか?
<第9回>
ラズパイ・オーディオのクライアントアプリを変えて外観や操作性をイメチェン!
<第10回>
ラズパイ・オーディオで音楽CDのダイレクト再生に挑戦!果たして使い物になるか?
<第11回>
システム更新でラズパイ・オーディオの音質が向上?「Volumio 2」の開発版を試す(前編)
<第12回>
音質だけでなく操作感も劇的進化! ラズパイオーディオを動かす「Volumio 2」開発版を試す(後編)
<第13回>
話題の64bit機「Raspberry Pi 3」のオーディオ性能をテスト!乗り換えるメリットは?

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE