プリ&モノラル/ステレオパワーアンプをレビュー
これが“北米ハイエンド”の実力。SIMAUDIO「MOON Neo」のセパレートアンプを聴く
井上千岳
2016年02月29日
■プリ+ステレオパワーは現代的なスピード、高S/Nと解像感を備える
試聴は先ほどの260DにDACを内蔵してCDプレーヤーとして使用し、プリアンプとパワーアンプへバランス接続して行った。この場合プリアンプにDACボードを加え、260Dからデジタル接続することもできるが、ここでは試していない。
先にステレオ・パワーアンプ 330Aで聴いてみることにするが、これはペア100万円以下のお買い得なセットで、一度セパレートを使ってみたいというユーザーには無理のない価格と言える。サイズも比較的スマートに収められているから、スペースの点でも苦労することはない。
余談めくが、最近はプリメインアンプからセパレートアンプへ移行するユーザーが少ないという。それだけプリメインの性能が向上したのは事実だが、セパレートでもほとんどが自社製品どうしの組み合わせを想定して設計されているせいもあろう。同じメーカーどうしならプリメインの方が効率的だということになってしまうわけである。本来セパレートの意味は他社製品と組み合わせて選択肢を広げることにあったのだが、その点が忘れられているのか、メーカーもユーザーも保守的になってしまったようなのが寂しい。そういうわけで本機のような手頃なセパレートがあると、ユーザーの考え方も少し変わってくるのではないだろうか。いずれにしても色々と気の利いた製品である。
音調はごくオーソドックスで、これが現代の最も普通の音と断言していい。ワイドレンジでレスポンスに偏りがなく、立ち上がりのスピードもダイナミズムもしっかり確保されている。S/Nもよく、当然解像度も高い。
ピアノはくっきりとした輪郭と広がりのある余韻が、どちらも明快に引き出される。ありのままのくせのないピアノの音である。低音部でもにじむことがなく、透明度に富んでいる。バロックは繊細で粘りのあり古楽器の音色が瑞々しい。過剰に華美ではないが典雅な艶を備え、瀟洒というのはこういうものを言うのだと実感させられる。チェロやチェンバロなどの通奏低音も、隠れてしまわずにきちんとした存在感を持っている。
オーケストラは色々な意味でバランスが取れている。弱音と強音の明確なコントラスト、ダイナミズムの幅の広さ、低音弦の深さとヴァイオリンの切れ、ティンパニーの明瞭な打ち込みと金管の輝かしさなど、オーケストラの全てがちょうどよいまとまりとなって描き出されるのだ。音色の新鮮さも魅力と言っていい。
ジャズも屈託がなく、それぞれの楽器が生き生きと鳴っている。ウッドベースやキックドラムが深く沈みながら軽く弾んでいるのも心地好いし、トロンボーンはリズミカルで起伏が鮮やか。大雑把なところはないが、小さく丸まってしまうこともない。ボーカルも表現力が豊かだ。特に変わった出方ではないが、声の表情がニュアンスに富んで変化する。取って付けたような人工的な感触がなく、甘ったるさを誇張することもなく、ごく自然にソースのよさを引き出しているようだ。
試聴は先ほどの260DにDACを内蔵してCDプレーヤーとして使用し、プリアンプとパワーアンプへバランス接続して行った。この場合プリアンプにDACボードを加え、260Dからデジタル接続することもできるが、ここでは試していない。
先にステレオ・パワーアンプ 330Aで聴いてみることにするが、これはペア100万円以下のお買い得なセットで、一度セパレートを使ってみたいというユーザーには無理のない価格と言える。サイズも比較的スマートに収められているから、スペースの点でも苦労することはない。
余談めくが、最近はプリメインアンプからセパレートアンプへ移行するユーザーが少ないという。それだけプリメインの性能が向上したのは事実だが、セパレートでもほとんどが自社製品どうしの組み合わせを想定して設計されているせいもあろう。同じメーカーどうしならプリメインの方が効率的だということになってしまうわけである。本来セパレートの意味は他社製品と組み合わせて選択肢を広げることにあったのだが、その点が忘れられているのか、メーカーもユーザーも保守的になってしまったようなのが寂しい。そういうわけで本機のような手頃なセパレートがあると、ユーザーの考え方も少し変わってくるのではないだろうか。いずれにしても色々と気の利いた製品である。
音調はごくオーソドックスで、これが現代の最も普通の音と断言していい。ワイドレンジでレスポンスに偏りがなく、立ち上がりのスピードもダイナミズムもしっかり確保されている。S/Nもよく、当然解像度も高い。
ピアノはくっきりとした輪郭と広がりのある余韻が、どちらも明快に引き出される。ありのままのくせのないピアノの音である。低音部でもにじむことがなく、透明度に富んでいる。バロックは繊細で粘りのあり古楽器の音色が瑞々しい。過剰に華美ではないが典雅な艶を備え、瀟洒というのはこういうものを言うのだと実感させられる。チェロやチェンバロなどの通奏低音も、隠れてしまわずにきちんとした存在感を持っている。
オーケストラは色々な意味でバランスが取れている。弱音と強音の明確なコントラスト、ダイナミズムの幅の広さ、低音弦の深さとヴァイオリンの切れ、ティンパニーの明瞭な打ち込みと金管の輝かしさなど、オーケストラの全てがちょうどよいまとまりとなって描き出されるのだ。音色の新鮮さも魅力と言っていい。
ジャズも屈託がなく、それぞれの楽器が生き生きと鳴っている。ウッドベースやキックドラムが深く沈みながら軽く弾んでいるのも心地好いし、トロンボーンはリズミカルで起伏が鮮やか。大雑把なところはないが、小さく丸まってしまうこともない。ボーカルも表現力が豊かだ。特に変わった出方ではないが、声の表情がニュアンスに富んで変化する。取って付けたような人工的な感触がなく、甘ったるさを誇張することもなく、ごく自然にソースのよさを引き出しているようだ。
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