【特別企画】注目のルームチューング・ブランド、日本音響エンジニアリング

新たな船出を迎えたルームチューニング材「AGS」を評論家・林正儀が体験!

林 正儀
2015年12月28日


「日東紡音響エンジニアリング」といえば、シルヴァン、アンクなどの室内音響材でお馴染みのプロフェッショナルブランドだ。吉祥寺メグのジャズオーディオ会のメンバーをはじめ、筆者のまわりにもかなりの愛好家がいるわけだが、そこは縁というもの。失礼ながら、私は本誌のユーザー訪問記事をめくって見る程度であった。

SYLVAN(シルヴァン) ¥200,000(税別・1台) ●サイズ:約400W×200D×1400Hmm●質量:約24kg●カラー:写真の標準色のほか特注色(¥250,000/税別・1本)も受付中

そこに飛び込んだのが、ブランド名を「日本音響エンジニアリング」に変え、新たな船出を迎えるというトピックスだ。同社のコンセプトである森の音場やAGSシリーズを知る良い機会ではないか。ということで、本誌でもお馴染みの山下晃一氏に話を伺い、その効果を体験することにした。

AGSの仕組みについて
理想の拡散作用を実測で導き定位が向上し、歪みが大幅に減少


まず「森の音場」だ。イメージは何となくできるのだが、正しくは「森の音のふるまいのメカニズムを室内で実現する機構」というべきで、そこからAGS(アコースティック・グローブ・システム)と呼ぶそうだ。

「現在のスタジオはひと昔前のデッドなタイプから、自然な音響を重視するように流れが変わっています」

日本音響エンジニアリング(株)の山下さん(写真左)に、同社のルームチューニング機構であるAGS(Acoustic Grove System)について解説を受ける筆者(写真右)

著名な放送局や録音スタジオ等で山ほど施工実績のある同社にして、AGSの確立には人知れぬ苦労があったはずだ。

「なぜ森には定在波がないのか?なぜ位相干渉がなく音が通るのか?というナゾ解きこそ、最大のテーマでしたね」という山下さん。その理論は、森にはランダムに木が並び、それが適度に拡散するからだろう……。なんて簡単なものじゃない。

すべての森がよいのではなく、そこには幹の太さや空間位置など、ピンポイントの条件を満たす必要があったのだ。コンピューターによる数値解析と、256地点の実測データとを何度も重ね合わせて追い込んでいく。ようやくスピーカーの音が位相干渉を受けず、素直に耳に届くという理想の解にたどりついたわけだ。

同社が測定した動画を見て驚いた。平面の壁では、球面波のまま来た方向に反射するはずの音波が、みごとに砕け散っていた。つまりAGSを壁面に立てることによって、海岸のテトラポットが波を粉砕することで、寄せ波と引き波が干渉しなくなるかのようだ。

コンピューターシュミレーションによる音の反射の様子。写真左が通常の壁面への音の反射、右が柱状拡散吸音体への音の反射。通常に比べ、波面が認知できないほどランダム模様に拡散されている様子がはっきりとわかる

直接音と反射音からくる微妙な時間差。すなわち位相干渉がないと、音質面でどんなメリットがあるのか?

「まず音色が良くなる。歪み感がなくなり定位感も向上します」

実は音響的につながりのある事象なのだ。定位よければすべてよし。その意味でも、例えば一次反射面にAGSを立てると(ナナメ入射でも位相干渉は同じ)、壁面からディレイして耳に届くはずの反射音がきれいに拡散されて、定位がひっぱられることがない。定位がぼやけず、それによって歪みが消え、音色まできれいになるわけである。

主力のラインアップ
〈シルヴァン〉〈アンク〉を中心に最近はコーナータイプも人気


シミュレーションよって、タモの丸棒を立てた完全拡散型AGSシリーズ。さて主なラインアップを見よう。デビュー作はスタンド式の〈シルヴァン〉だ。次に面積の広い〈アンク〉ができ、さらに〈コーナーアンク〉。その後卓上型の〈アンクIIIをはじめ、〈アンクIV、V〉など小さな製品をたて続けに開発している。

ANKH(アンク)-I ¥280,000(1本)※フラットタイプ ●サイズ:約600W×230D×1500Hmm●質量:約34kg●ラインアップ:受注生産にて3種類の高さもラインアップ=600Hmm(¥130,000)、1200Hmm(¥250、000)、1800Hmm(¥340、000)ともに1本(税別)価格●カラー:写真の標準色のほか特注色(別途見積もり)も受付中

ANKH(アンク)-II ¥330,000(1本)※コーナータイプ ●サイズ:約400W×400D×1500Hmm●質量:約37s●ラインアップ:受注生産にて3種類の高さもラインアップ=600Hmm(¥170,000)、1200Hmm(¥280,000)、1800Hmm(¥380,000)ともに1本(税別)価格●カラー:写真の標準色のほか特注色(別途見積もり)も受付中


ANKH(アンク)-III ¥100,000(1本)※卓上タイプ ●サイズ:約660W×110D×300Hmm●質量:約2.5kg


ANKH(アンク)-IV ¥100,000(1本)※壁付け型 ●サイズ:約400W×180D×310Hmm●質量:約2kg●取り付け用フック付き

ANKH(アンク)-V ¥100,000(1本)※壁付け型 ●サイズ:約600W×120D×270Hmm●質量:約2.6kg●取り付け用フック付き

「シルヴァン」は森の住人、「アンク」は生命の源を意味するのだが、後者は大型で幅が広く、より広いレンジで効果を発揮するため、広いオーディオルームにお薦めしている。ボワボワした響きなど、一発で解消されるはずだ。

「いま最も人気なのが〈コーナーアンク〉です。壁面が交差するコーナー部は低域のふきだまりなので、アンクを低域用に改良し、波長の長い低音域に的を絞った製品になります」

通称“コーナーアンク

最近ではこの〈コーナーアンク〉を天井まで届かせるため、さらに増設パーツを組み合わせる例が増えているのだという。筆者も自宅で一度試してみたいほどだが、もっと手軽に天井コーナーなどの対策のできるアイテムもある。それが〈アンクIV〉だ。

AGSシリーズの効果を試す
何という柔らかさと美しい余韻 − キリっとした定位も引き出す


ここでは手始めに〈シルヴァン〉と〈アンクIV〉を、AA試聴ルームに設置してみよう。まず、何も音響材を置かない「素」の状態だと、部屋のクセが強くでてしまう。ギターが硬く声を張るときつい。ビッグバンドはダンゴ状だ。

それがスピーカー左右の一次反射面に〈シルヴァン〉を置くだけで、何という柔らかさと余韻の美しさ、リッチさだろう。断然聴き心地がよく、ブラスは音がほぐれ厚みを増してステージが壁ぎわまで広がった。キリっとした定位だし、低音域の見通しがよく、ピークでも飽和しないスカっとヌケる痛快サウンド。

〈アンクIV〉を追加すると音の浸透力がさらに増す


さらに〈アンクIV〉を天井コーナーに設置すると、音場が上にヌケる感じだ。中〜高音域の歪みもすっきりと解消。音に浸透力が増してヴォーカルやギターの繊細なニュアンスが、何とも気持ちよい。

〈シルヴァン〉は置けない、まして〈アンク〉などというユーザーに手軽に使って欲しいアイテムだ。

最後につけ加えたいのは、室内音響はもちろん、音楽表現そのものが大幅にクオリティアップされる点である。改めてAGSシリーズの魅力に感嘆した。ぜひ千葉にある同社の試聴ルームにも近々訪問したいと思う。






【問い合わせ先】
日本音響エンジニアリング(株)(公式サイト
〒130-0021 東京都墨田区緑1-21-10
音空間事業本部
TEL/03-3634-3525



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