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ジャズ喫茶でクリニックin「キャンディ」

【AGS vs ジャズ喫茶】全国にその名を轟かせる“名物”オーナーに「シルヴァン」の効果は通用するのか!?

2011/02/22 山本博通
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■キースとコルトレーンを最上の音で鳴らすジャズ喫茶

オーディオマニアの医師宅で様々な音質のグレードアップを試みるオーディオアクセサリー誌の不定期連載「クリニックでクリニック」が再びファイル・ウェブに特別出張(前回の様子)。今回は趣向を少し変えて日東紡音響エンジニアリングのルームチューニング材「シルヴァン」を設置して、すでに半年経つという千葉市稲毛区のジャズ喫茶「キャンディ」にお邪魔した。

Acoustic Grove System SYLVAN(シルヴァン)

キャンディの店内。厚いコンクリートの壁は大音響にも耐えうるように設計されている

「キャンディ」と言えばJBL/DD66000をいち早く導入したジャズ喫茶としてその名を全国に轟かせた。今も噂を聞きつけて「キャンディ詣で」の客が引きも切らない。しかし何と言ってもこの店の“名物”は女性オーナーの林 美葉子さんだ。

「キース・ジャレットとジョン・コルトレーンを最上の音で鳴らす」というジャズオーディオ界最大のタブーに挑む林さんは、自他ともに認める(本人は強く否定するが……)強烈なオーディオマニアである。2002年に現在の場所にお店を建てる前はJR稲毛駅の反対側にあった。その頃から公私共々常連であった僕は、お店のオーディオの変革を傍らから見てきた。

ある時はJBLのユニットを「イルンゴ」のオリジナル・エンクロージャーに納めたり、吸音パネルをスピーカーの後ろにいくつも立てかけてあった時期もあった。「FMアコースティックのパワーアンプの音がキツくて気に入らないので、今日は店を開けたくない」と言われた日もある。そんな七転八倒の日々の(他人事なので楽しい)話もJBL/DD66000を導入した2007年の夏を境にバッタリと聞かなくなった。

■二重の扉の先には偶然の出会いが待っていた

そんな平和な日々を過ごしていた「キャンディ」にある日、日東紡音響エンジニアリングの山下さんが現れた。

キャンディのオーナーの林 美葉子さん(写真右)と、本誌でもお馴染み、日東紡音響エンジニアリングの山下晃一さん(写真左)。アンプの調子が良くなくても、すぐに気がつくほどの耳の持ち主である林さんだが、「シルヴァン」はアンプの性能もごまかせるほどの効果だと語る

「キャンディ」の稲毛という地名に注目して欲しい。そう、昨年オープンした、日東紡音響エンジニアリングの千葉試聴室は目と鼻の先なのだ。元々ジャズファンであった山下さんは噂のキャンディのドアを恐る恐る開けた訳である。ところが何たる偶然、そこに「シルヴァン」愛用者のお客さんがいたから話は早かった。

「今回、我が社ではこんな物を……」とパンフレット片手に山下さんは熱弁を振るった(…に違いない)。

大いに興味を持った林さんは「そんなに凄いなら一度うちのお店で聴かせて下さい」何度も言うが会社はすぐ目と鼻の先である。翌日にはドド〜ンと2基のシルヴァンが届いた。 

■高さ調整用の台を製作する衝撃的な音の変化を体験!

早速、両スピーカーのすぐ外側に置いた。しかし林さんの感想は「木の響きが強すぎて全部の音に乗っている」。

また、DD66000は台の上に設置されているが、シルヴァンを床に直接置いたらホーンより低くなってしまった。そのため「音の定位が下に引っ張られる感じ」と散々であった。

もちろん山下さんはすぐに行動に出た。「シルヴァン」本体と同じタモの木で高さ調整用の台を製作。ベストなポジションもどうにか見つかった。その時の音の変化はかなり衝撃的だった、と林さんは振り返る。

「シルヴァン」と同じタモ材で作られた特注スタンドで高さを調整した

JBL「Project EVEREST DD66000」の外側に「シルヴァン」を設置。位置だけでなく高さも調整することで、理想的な効果を引き出すことができた

「いつもオーディオチェックに使うキース・ジャレットのソロピアノをかけたら、そこにピアノがあるなんてものではなく、部屋全体がピアノになったように鳴り始めた」

また、「コルトレーンのインパルス盤では全ての楽器のバランスが良く、特にコルトレーンのテナーとマッコイ・タイナーのピアノが抜群の存在感」。それから「音がほぐれて高域も低域もス〜ッて伸びていく感じ」と言う言葉も林さんは付け加えた。

■2基だけでは満足できないシルヴァン・シンドローム

さて、ここまでは「シルヴァン」を導入した半年程前の話である。では現在はどうなのであろうか?

「はっきり言ってもうシルヴァンがあって当たり前。先日試しに外してみたけど直ぐに戻しました」

ところで先日、林さんが日東紡の千葉試聴室に見学に行った時に、全壁面に敷き詰められたシルヴァンを体感。「全面は無理にしても、正面のスピーカーとスピーカーの間(パワーアンプの後ろ)には是非ともシルヴァンを入れたい。サイズも測ってもらおうかしら……」次の目標は決まった。

頻繁にライブが行われる同店。「シルヴァン」は生演奏でも効果が高という。演奏するのは地元期待のピアニスト、スズキシュンスケさん。

実は近頃僕の周りには部屋中にシルヴァンを何基も置いている知り合いが数人いる。どうやら最初は2基で満足していたのがどんどん増やしたくなるらしい。僕はそれを「シルヴァン・シンドローム」と呼んでいる。どうやら「キャンディ」の林さんもめでたくその仲間(患者?)入りの様だ。

LPプレーヤーはEMT930STを愛用。DD66000はFM Acousticsのプロ仕様801&1000 でドライブし、CDプレーヤーはSTUDERD730、イルンゴオーディオのフェーダーを使用するなど、機器選びにも大変こだわっている

※後日、シルヴァンよりひとまわり大きい壁面設置タイプの「ANKH(アンク)」を導入したとの報告があった。先述の“次の目標”が早くも実現したようだ。

結局シルヴァンに続いてアンクも導入される結果となった

「シルヴァン」の効果について − 林 美葉子さん(キャンディ 店主)

■部屋の空気がほぐれる感じ − 理想的な空間ができました

オーディオの音は部屋が重要だということは分かっていました。この建物を作った当初も建築屋さんに音のいい部屋の図面を作ってもらったくらいですから。ルームチューニングの実験もいっぱいやりました。スピーカーを「エベレスト」に替えてから、あまり部屋を気にしなくても良くなりましたが、ボリュームを上げると、やはり高域が耳障りに感じる時があります。お客さんは気にしない微妙な変化かもしれませんが、一日中音楽を聴いていると、こうした細かい音の変化も気になります。

 
林 美葉子さん jazz spot CANDY
千葉県千葉市稲毛区稲毛東3-10-12 
Tel&Fax:043-246-7726
営業時間:15:00〜22:00頃

今回「シルヴァン」を導入したことによって、時々感じることがあった高域の耳障り感がほとんど感じられなくなりました。また、音のバランスが良くなり、楽器本来の質感も出てきました。ディジョネットのシャーンと響くシンバルや、キースの空気感、スピード感はたまらないですね。音の深みや密度も自然になり、生の音に近くなる感じです。生演奏はいつも聴いていますが、レコード演奏においてもリアリティ感が増して、生の感覚がさらに近づいた感じです。

「シルヴァン」の効果を一言で言い表せば、部屋の空気がほぐれるということ。おかげでデッドでもないしライブでもない、理想的な空間ができました。








【製品に関する問い合わせ先】
日東紡音響エンジニアリング(株)
〒130-0021 東京都墨田区緑1-21-10 
営業推進部 担当:山下 、佐古氏
TEL/03-3634-7567
E-mail:ags@noe.co.jp
※新試聴ルーム「サウンド・ラボラトリー」(千葉市稲毛区)試聴募集中(予約制)

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