「カジキマグロと大間の本マグロほどの違い」

“響き過ぎる”広大な空間でも絶大な効果 − 日東紡音響「シルヴァン/アンク」ユーザーを訪ねる

山本博道
2011年08月10日


日東紡音響のルームチューニング材“AGS(Acoustic Grove System)”のユーザーを訪ねる好評企画がオーディオアクセサリー誌からファイル・ウェブに特別出張。今回は「シルヴァン」と「アンク」を両方使っているというジャズ喫茶「オメガ」を訪問した。

「SYLVAN(シルヴァン)」¥210,000(1本)。 音響のプロ集団、日東紡音響エンジニアリングが手掛けるコンシューマー向けのルームチューニングアイテム。入念な音響検討の結果、ランダムに配置された柱の群れで構成され、部屋の壁面反射による音響障害を抑制。部屋の要所に配置することで、音楽ソースやオーディオ機器が持つポテンシャルを最大限に引き出すことが可能となる

「ANKH(アンク)」。シルヴァンよりひとまわり大きいサイズの壁面設置タイプ。標準品は外形寸法600W×1,200H×230Dmm(¥262,500/1本)と600W×1,500H×230Dmm(¥294,000/1本)の2種類が用意されており、縦・横に連結した配置もできるようになっている。標準品以外にも受注生産品として高さ60cmや180cmのもの、横幅90cmのタイプもあり、さらにカスタマイズ品にも対応している

◇ 約30畳のオーディオルームに客席はたった5人分しかない!? ◇


“日本一ジャズ喫茶を撮影している男”を自負している僕でも今回お邪魔したジャズカフェ「オメガ」は驚きの連続であった。先ずは素晴らしく風光明媚な場所にある。お店の前には見渡す限りの田畑。ハッキリ言えば田舎である。「これでお客さんが来るのだろうか?」他人事ながら心配だ。お店の玄関を開けてもっと驚く事になる。そこには「土足厳禁」の文字!何と靴を脱ぐのである。これは初めての経験だ。

今回訪れたのは茨城県つくば市にあるジャズ喫茶「オメガ」

ジャズ喫茶「オメガ」の店主、庄司忠夫さん。「シルヴァン」と「コーナーアンク」導入後はお客様からも「へたなライブには行けないね」と言われているほど。帰りたくなくなってしまうお客様も多いという

さて笑顔で我々取材班を迎えてくれたこの店のオーナー庄司忠夫さんに案内されてリスニングルームに一歩足を踏み入れた瞬間、あまりの広さに言葉を失った。設置してある3セットの大型スピーカー(アヴァンギャルドDUO/オメガG2、テクニクスSB-M10000、タンノイ15インチ・モニターゴールド)がミニチュアのように小さく見える。それもそのはず、部屋の広さは約30畳、天井までの高さが3.5mもある。

「シルヴァン」は左右壁の一次反射面に、「コーナーアンク」は前方の壁面のコーナーに設置されている

庄司さんの話によると「アヴァンギャルドは最低でも20畳の広さと天井までの高さが3m必要」と言われこのサイズに決定。ここは「アヴァンギャルドありき」で設計された部屋なのだ。オーディオマニアの鏡である。

「オメガ」のスピーカーはアヴァンギャルド「DUO/オメガG2」、テクニクス「SB-M10000」、タンノイの15インチ・モニターゴールドの3種類

再生機器も豪華なラインアップが揃う。マッキントッシュのパワー「MC501」+プリ「C2300」、オーディオスペースのパワーアンプ「Reference3」やカイン製のプリメインアンプやCDプレーヤー、アキュフェーズのCDプレーヤー「DP-510」、アナログプレーヤーはガラード301を愛用している

そして極め付けがこの広さで客席はたったの5席である事。

「でも実は本当にいい音が聴けるのは3人が限界」と庄司さん。こんな贅沢なジャズ喫茶が他にあるだろうか。全く商売抜きとはこの事。

「オメガ」の5つしかない客席はすべてスピーカーの方を向いている。ここでオーディオを堪能しながら、おいしいコーヒーを味わえる

●「シルヴァン」を導入
◇ 過剰な響きを見事に解消 − 誰が聴いても効果は歴然 ◇


さて驚いてばかりはいられない。そろそろ本日の取材の本題である「シルヴァン」と「コーナーアンク」の話に移ろう。

オメガに初めて「シルヴァン」がやって来たのは昨年の事。スピーカーの後面に黒く見える大谷石の壁がどうやら過剰な響きを生んでいるらしい。この大谷石の壁は客席の後ろにもある。しかし「響かない部屋を響く様に対策するより、まず響きの多い部屋を作って、ここから対策する方がいいと思う」と庄司さん。

そこで白羽の矢がたったのが「シルヴァン」である。早速、日東紡音響エンジニアリングの山下さんがサンプルを持って来てくれた。「意外と小さいな〜。本当にこれで効果があるのか?と一瞬不安になりましたが自身満々の山下さんの横顔を見ていると何だか期待の方が大きくなりました」。

音が一次反射する左右の壁面に「シルヴァン」を設置

そして音を出した瞬間愕然とする「え〜!何でこんなに音が違うの?と思いました。例えて言うと今までカジキマグロで満足していたのに大間の本マグロを一口だけ食べさせられた気分でした」。

一口だけ?「そう、何と一週間でシルヴァンは引き上げると言われたのです。この時は山下さんが冷酷な悪魔に見えましたね」と庄司さんは大笑い。

「もちろん、すぐに購入を決意しました。シルヴァンが入ってからのお客さんの反応も素晴らしいものがありました。誰が聴いても効果は歴然としていますからね」。

●「コーナーアンク」を導入
◇ 全ての音が解きほぐされて楽器がそこで鳴っているよう ◇


しかし、庄司さんの探究心はこのままで済むはずがなかった。当然次は「コーナーアンク」が狙いである。山下さんから「部屋のコーナーはとにかく音の溜まり場です。従来コーナーは吸音が定石でしたが、それではせっかくのライブな部屋の素性の良さが失われてしまいます。吸音体ではなく、コーナー設置用に設計したアンクを置くだけで解像度が増し、ステージも拡がり定位も抜群に良くなります」と聞かされていた。

この一言に庄司さんの心が揺れに揺れた。そしてとうとう今年の3月3日に「コーナーアンク」がやって来た。「これは驚きを通り越して何だか悔しくなりましたね。何でここまで変わるんだと……。その変化はシルヴァンの比ではなかった。全ての音が解きほぐされ、楽器がそこで鳴っているようでした。ブーミーさも無くなりボリュームを上げても全くうるさくないのです」。

絶大な効果を発揮した「コーナーアンク」。「オメガ」に導入されたサイズは600W×1,500H×230Dmm(¥262,500/1本)。サイズはすべてオーダーメイドとなっている

そして「これで毎日、大間のマグロが食べられるんだと思ったら嬉しくて仕方ありませんでした」と庄司さんは笑う。

ミシェル・ペトルチアーニのソロピアノのCDを聴かせてもらった。目を閉じて聴いていると本当にピアノがそこで鳴っている様な錯覚に陥った。「音にうるさいマニアの方々にも、本当にいい音になったねとお誉めの言葉を頂いています」。

しかし「近頃、何だかお客さんに聴かせるのがもったいない様な気がしてきて…独り占めしたい位いい音になりました」そうか庄司さん本人が音にうるさい一番のオメガの常連なのだ。

【ジャズ喫茶「オメガ」】
■住所:茨城県つくば市西大井1710-327
■TEL:029-871-6010
■定休日 :土曜日、日曜日及び祝祭日
■営業時間 :AM10:00〜PM6:00
※店主より「お越しの際はご自分のお聴きになりたいJazzのCDやLPをお持ちください。おかけいたします」







【問い合わせ先】
日東紡音響エンジニアリング(株)
〒130-0021 東京都墨田区緑1-21-10 
営業推進部 担当:山下 、佐古、田中氏 TEL:03-3634-7567
ホームページ:http://www.noe.co.jp/
E-mail:ags@noe.co.jp
※試聴ルーム「サウンド・ラボラトリー」(千葉市稲毛区)での試聴も募集中(予約制)



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