リスニングルームの“森林化”計画とは?

日東紡音響「アンク」ユーザーを訪ねる − 筋金入りのオーディオファンが認めたルームチューニング材の実力

2014年12月25日

森田武男さんに弊社の刊行誌にご登場いただくのは今回で3回目となる。最初は、『オーディオアクセサリー143号』の「オーディオ電源・悦楽ものがたり」にて“マイ柱”ユーザーとして、そして2回目の姉妹誌『analog vol.36』では、ノイマンのカッティングレース仕様やハンマートンのガラード301を所有する生粋のレコード悦楽人としてご紹介している。詳細は2つの記事をご参照いただきたいのだが、森田さんが65年にもおよび楽しんできたオーディオの長い歴史は、この先に何度ご登場いただとしても、話題が尽きることはないだろう。

森田さん

今回は2年前から導入を始めた、日東紡音響エンジニアリングの柱状拡散パネル〈アンク〉〈コーナー・アンク〉についてお話を伺いに訪ねた。森田さんのリスニングルームは、実はあの時以来、“森林化計画”が着々と進められていたのだ。

■音の塊が一気にほぐれて音像がかなり広がってくる


森田さんのリスニングルームの主役は部屋の正面の壁に埋め込まれたスピーカーである。

森田さんのリスニングルームは約20畳。スピーカーが埋め込まれている前面の壁はリスニングポイントに向かって緩やかに傾斜していて、天井高は3.5m。〈アンク〉はセンターに1台と左右に各2台ずつ、コーナーには〈コーナー・アンク〉が設置されている

クラングフィルムとオイロダイン製のユニットとドーム型トゥイーターで構成されたこのシステムは、ウエスタンやJBL、アルテック、タンノイ等数々の銘機を愛用してきた森田さんが最終的にたどり着いたひとつの到達点である。その一方で、森田さんが長年にわたり格闘してきたのはこの“壁”の存在であった。

森田さん愛用のアナログプレーヤーはノイマンのカッティングレースのターンテーブル部を特注キャビネットに収めたもの(ステレオ再生用)と、ハンマートーンのガラード301(モノラル再生用)。アンプはヴィンテージ真空管式からこれが現代ハイエンドを象徴するVIOLAのBROVO IIやFORTE IIに一新。プリアンプはCADENZA、CDプレーヤーはCHプレシジョン製に一新された

「壁バッフルは左右のスピーカーの間で、音がバッフルにまとわりつきます。そこで様々な音響パネル等を試したのですが、なかなかうまくいきませんでした。そんな時に出会ったのが〈アンク〉でした」

雑誌の記事を見たり、“アンク・ユーザー”の友人を訪ねたりして、「アンク」に興味を持ち始めた森田さんはついに2年前、都内のオーディオ専門店を通じて発注し、実際に部屋で試すことになった。

森田さんのリスニングルームは約20畳。床から天井までは正面の壁の部分がいちばん高く3.5m。この壁は定在波の防止のためになだらかな傾斜ができているのだが、現在の状況を説明すると、中央に1と左右の壁側に「アンク」、コーナーには「コーナー・アンク」が設置されている。

さらにスピーカーの前の床には特注サイズの「アンク」を床用として使用している。

〈コーナー・アンク〉の高さは1.8mの特注仕様(通常は1.5m)。サイドの一次反射面の〈アンク〉と〈コーナー・アンク〉の間を埋める、第3の〈アンク〉が最も効果を発揮した。スピーカー前には特注の〈床用アンク〉も設置されている

「最初に注文したのが〈コーナー・アンク〉と正面と左右の一次反射面用の〈アンク〉でした。日東紡音響の山下さんが設置に来てくれたのですが、かなり音像が広がって、長年の課題が一気に解消されました。音がバッフル面から上下、左右に広がり始めました」

こうしてアンクの効果を確信した森田さんは、山下さんに次の課題として「奥行きをもう少し出したい」という要望を出す。

■第3の〈アンク〉を設置し奥行き感もかなり出てきた


「バッフルスピーカーは奥行きが出にくいのですが、そうは言っていられないので、バッフル面をもっと拡散させたいと思い、正面の床や、当時スピーカーの横にあった本棚に〈アンクIII〉を設置するだけでも、結構な奥行きが出ました」と山下さんは当時を振り返る。

森田さんのリスニングポイントの真後ろには〈アンクIII〉が置かれる

その後は床用アンクも設置してどんどん奥行きがでてきたのだが、〈コーナー・アンク〉とサイドの一次反射面〈アンク〉間を埋めるように設置した第3の〈アンク〉が最も効果があったという。

「この場所に設置した時の変化がいちばん大きかった。奥行きもステージ感もかなり出てきました。これはお薦めです」と語る森田さん。しかし、あたかも山の頂に立つとさらに向こうにある高い頂が視界に入るかのごとく、ひとつの課題を克服すると次の新たな課題が見つかるのがオーディオの楽しみでもあるとのこと。

【実験編】後方に〈コーナー・アンク〉を設置
■部屋全体が一気に鳴り出し空気の流れがガラリと変わる


「次の課題は後の壁ですね」といって、レコード棚で一面うまっている後の壁の方を向いた森田さん。部屋の前方、スピーカーからリスニングポイントにかけての音場感、空気感が出てきたサウンドステージとしては申し分なくなったものの、そこから部屋の後方に歩いていくとかなりデッドな環境で、それが部屋の前と後ろの音のつながり感を阻害していることが気になってきたという。これが解消できれば演奏会場のリアルな空気感、臨場感を今以上に再現できるのではないかという思いが強くなってきたそうだ。

そして取材日である本日、部屋の後面に〈コーナー・アンク〉を設置してその効果を体験することになった。

取材当日は日東紡音響エンジニアリングの山下さんが、試聴用の〈コーナー・アンク〉(高さ1.5m)を持参。その効果を試した

「試聴位置の後はデッドにすべきだという人がいますが、全く違うと思います。後ろから響きが返ってこないと、前からの音を聴いているだけで、サウンドステージはできたけど、試聴位置の後ろ側は真空地帯のような感じです」

ということで部屋の後方のコーナーにトータルで高さ150cmの〈コーナー・アンク〉を設置して、その効果を試すこととなった。

全面がレコード棚のリスニングルーム後方に〈コーナー・アンク〉を設置してみる

「部屋全体が一気に鳴り出しましたね。はっきり違う。音が部屋の後まで届くようになり、空気の流れもガラリと変わってきました」

カメラの趣味も本格的で、ヒマラヤへ撮影旅行に出かけるほどの山好きでもある森田さん。その好奇心と向上心はリスニングルームのさらなる高みへと向かっている。

今回試聴に使った愛聴盤。オペラ好きの森田さんが選んだカラヤン&カラスのオペラ「サロメ」、クライバーの『ラ・トラヴィアータ』をはじめ、ファリャ『三角帽子』、金子三勇士の新譜はいずれもエソテリック盤。その他ハリー・ベラフォンテのXRCD盤や、イッサーリス『チェロとピアノのための音楽』も試聴した

アンクは増やすにつれて、音響改善の効果がリニアではなく指数級的に増大するとろこがすごいところで、どんどん増やしていきたくなる製品とのこと。

「私の友人はこの部屋の〈アンク〉を見てブナの林にいるようだと言いました。ぜひとも林を森にして音楽を楽しみたいですね」

森田さんの夢はまだまだ続いていく。






【問い合わせ先】
日東紡音響エンジニアリング(株)(公式サイト
〒130-0021 東京都墨田区緑1-21-10
コンシューマー営業部 山下、佐古
TEL/03-3634-7567
E-mail:ags@noe.co.jp
※試聴ルーム「サウンド・ラボラトリー」(千葉市稲毛区)試聴募集中(予約制)



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