井上千岳氏がレビュー

ラックスマンの新セパレート「C-700u/M-700u」が到達した地平。「無色透明」の実体感とは?

井上千岳

前のページ 1 2 3 次のページ

2015年03月12日
アンプの存在が消える。しかし聴く人を快く受け入れる温度感がある

ピアノもステージの光景がいい。焦点が明瞭で遠近に優れ、タッチの骨格と余韻の豊かさが両立して実在感を引き出す。バロックは瑞々しく艶やかな古楽器の音色がきめ細かく、独奏楽器だけでなく通奏低音の深い沈み方と明快な解像度が鮮やかだ。ジャズではウッドベースやキックドラムが目の前に何の夾雑物もないような透明度で描かれる。オーケストラの雄大なスケールにも不自然さがない。

C-700uとM-700u

要するに何もないのだ。機械が鳴っているという感覚ではない。アンプの存在はほとんど消えている。900シリーズでもそうだったが、若干の違いを言えば本シリーズではわずかに暖かみを感じる。ほんの少しだけ音に温度がある。弱いとかデフォルメされたということではない。このわずかな温度感が、聴く人を快く受け入れてくれる安心感なのだ。透徹した900シリーズでは、この暖かさは得られないかもしれない。

ハイスピードでニュートラル。その基本線は外さずに、ユーザーを自然に正しい方向へ引き寄せてくれるわかりやすさが本シリーズの真価と考える。正確な音は常に快いものである。

前のページ 1 2 3 次のページ

関連記事