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新生Technicsのサウンドを手頃な価格で − “プレミアムシステム”「C700シリーズ」を聴く

公開日 2014/11/28 12:00 鴻池賢三
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時間の揺らぎや歪みから解き放たれた音がリスニングルームで躍動

試聴は、パナソニックセンター内に設けられているテクニクスリスニングルームで行った。同リスニングルームは、遮音と調音に配慮され、奥行き6m、幅5m、天井高4mの堂々たる専用ルームである。

ネットワークオーディオプレーヤーST-C700の前面USB端子にメモリーを挿入し、様々なジャンルのハイレゾ音源、CDからリッピングした音源(44.1kHz/16bit WAV)で確認した。

上原ひろみの「WARRIOR」(96kHz/24bit)は、ドラムスが二つのスピーカーの幅を超えて広く展開。左右方向の位置関係が極めて明瞭なのに加え、奥行き方向の距離感も掴める。小型のブックシェルフからの音とは思えないスケールの大きな音場に、1打1打が深みを伴って鳴り響く。音圧ではなく、位相レベルでの精密なドライブが、音源に込められた瞬間の音を描き出し、連続して音楽を奏でるのだ。

今回の試聴は東京のテクニクスリスニングルームで行った

制動の良さも特筆に値し、立ち上がりの鋭さと静寂のコントラストが心を揺さぶる。低域に遅れが生じず、余計な音も残さない、負帰還を用いないLAPCの利点だろう。

Maeve O'BoyleのHero In The Sky from Being Patient (48kHz/24bit FLAC)は、空気までも閉じ込めたような優秀な録音が印象的であるが、冒頭のギターストロークから、鋭いキレにただならぬ雰囲気を感じる。


様々な音源でプレミアムシステムの実力をくわしくチェックする鴻池氏
また、一音一音の余韻が他の音と混ざらず、スムーズかつクリーンに消えて行く様子から、空間の広さ、空気感が醸し出される。ヴォーカルがセンターにビシッと定位し、ハイファイらしい質の良さを感じるが、さらに二つのスピーカーのスウィートスポットにドンピシャではまると、音像の大きさや高さも鮮明に浮かび上がる。

ジッターやノイズを徹底的に取り除き、フルデジタルでピュアに伝送して位相特性にも充分配慮して増幅された音が、点音源&リニアフェーズのスピーカーを通して再生されると、時間の揺らぎや歪みから解き放たれた音源が、リスニングルームで躍動する。ハイレゾ音源を再生すると、さらにその効果が如実に表れる。こうした音に触れたら、一部のハイレゾ不要論など吹き飛んでしまうはずだ。



新生テクニクスは「Rediscover Music」を掲げ、音楽を感性で楽しむエクスペリエンスを提案しているが、単に楽しさを追求しているわけではない。それを実現するのはやはり根底にある「原音忠実」であり、C700シリーズには、蓄積された高い技術力、デジタル時代ならではのユニークな発想が加わり、ハイレゾの再生レベルを引き上げている。

アーティストの意図を極限まで引き出す事が、音楽の再発見につながる。サウンド、デザイン、テクノロジーが三位一体となった新生テクニクスに注目だ。

>Technics 公式サイトはこちら http://jp.technics.com/

(鴻池賢三)

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