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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第106回】ヘッドホン/イヤホンの「バランス駆動」徹底解説!− 基礎知識から聴き比べまで一挙レポート

公開日 2014/11/21 12:55 高橋敦
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■バランス駆動の傾向の推測

…という体験を踏まえてのしかし全くの想像だが、アンバランス駆動もバランス駆動もどちらもそれぞれとしては同格とおおよそ見なせるアンプを使う場合、傾向としては、

・アンバランス駆動時点で十分にヘッドホンの力を引き出せている場合、バランス駆動は音調にさらにもう一歩の力を加えつつもヘッドホンやケーブルの個性を整える方向に働きやすい。

・アンバランス駆動時点ではヘッドホンの力をまだ完全には引き出せていない場合、バランス駆動はその力でヘッドホンの潜在能力をその個性を含めて引き出す方向に働きやすい。


…のかな?と感じた。まあサンプル数(実際に体感したシステム)が今回のものを含めてまだ少ないので我ながら確信に値しない想像だ。想像は排して実際に感じられた部分だけを抜き出せば、

・バランス駆動にすることでヘッドホンやケーブルの個性が落ち着かせられてバランスが整う場合もあれば、逆により引き出されて魅力的になる場合もある。

…ということになる。こうなると「向上の傾向」というよりは「変化の多様性」といった感じだ。「どの方向に変わるかは組み合わせの相性次第。そしてそれは単に変化であり良し悪しではない。あとは好みの問題だ!」という、オーディオでおなじみのところに行き着く。

なので今回の記事は、理屈と現状の部分を適当に把握していただいたなら体感部分はテキトーに軽く参考にしていただければOK。それで何かしらぴんときた方は「バランス駆動、試す価値あり!」と気に留めておいて、機会があれば試してみていただければと思う。

■終わりに 

さて、ということで「バランス駆動」。冒頭にも触れたその名称については、何か他にもっとキャッチーな名称が生み出されない限りこのまま定着するのだろうと思う。しかし、いずれにしても「新たな何か」は、キャッチーで伝わりやすい「名前」を与えられることでその概念が定着し実際に普及する場合も多い。例えば「壁ドン」や「クレイジーサイコレズ」は、最近にその名前を得ることで確立したシチュエーション、キャラクタータイプだろう。古くは「ツンデレ」、最強の属性力とされる「ツインテール」さえも、キャッチーかつ姿を想像しやすいその名前を得ていなければ、いまほどには認知されていなかったかもしれない。

そう考えると正直「バランス駆動」は「ハイレゾ」や「DSD」とくらべて、わかりやすさはどれも微妙だが、字面や響きのインパクトはそれらに及ばない気がする。何かもっとキャッチーでかっこよい名前を思いついたユーザーさんやメーカーさんはぜひそれを提唱してください!


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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