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【特別企画】フロア型「SX-4」、ブックシェルフ型「SX-2」を徹底検証

英国Missionのスピーカーシステム「SXシリーズ」を大橋伸太郎が試聴する

公開日 2014/11/11 11:11 大橋伸太郎
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開放的な音調の魅力に加え、バランス感覚にも優れた「SX-2」

この日聴いたもう一台がブックシェルフ型モデルの「SX-2」ローズウッドピアノ仕上げ。SX-4と共通の160mmアルミコーン・ウーファーと、25mmチタンドームトゥイーターの2ウェイだ。バスレフポートは1個になるが、スピーカーターミナルは同じ形式を取っている。

ブックシェルフ型「SX-2」

SX-2のサウンドについては、明朗で開放的な音調はSX-4と変わらない。しかし、ウーファー+トゥイーターの2ウェイであるため、バランスにより優れている。エマールのピアノは、録音本来の包み込むような穏やかな響きと弦の硬質な振動の表現が両立している。吉田恵のパイプオルガンは、SX-4に比べると響きはやや拡散する印象だが、サイズを超えた低域の量感を発揮する。カサンドラ・ウィルソンのジャズボーカルは、SX-4に勝るバランスで再現する。

ブックシェルフモデルのSX-2はバランスの良さが際立った

スピーカーターミナルはSX-4と同様にバイワイヤ対応で縦一列配置だ

SX-4はミッドレンジの存在感がそのサウンドを決定づけているが、片やSX-2はこのミッドレンジを省略したシンプルな2ウェイゆえに、声にシャープな肉感と量感がある。ハイレゾのリンダ・ロンシュタッド(FLAC192kHz/24bit)のボーカルは声域を問わず音圧が揃っていて、しっかり前に出る。『ワルツ・フォー・デビー』のラファロのベースは、ソロになると鮮明で輪郭も切れよく、量感も備わってしなやかに歌う。スケール感は当然SX-4だが、バランスは総合的にSX-2に好印象を持った。

音楽を楽しく聴かせることを第一に考えたモデルと言える

久方ぶりに日本にやって来た新生ミッション。同じ英国勢であるKEFともB&Wともタンノイとも異なる明るく屈託ない音色の〈よく歌う〉スピーカーシステムである。音離れのよさと華麗に散乱する音色のブリリアントな魅力は、ヨーロッパのメインランドや北欧勢、アメリカ勢とも一線を画すユニークなものである。MissionのSXシリーズは、モニター調の厳しいニュートラルな音色とは一線を画しながら、何より音楽を楽しく聴かせることを第一に考えた、必聴の製品である。

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