高品位アンプシリーズのパフォーマンスを探る

「マスターサウンドワークス」思想を追求したプリメイン「I-03」と「I-05」を徹底試聴

鈴木 裕

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2014年04月22日
エソテリックはフルサイズプリメインアンプ「I-03」、そして弟モデルといえる「I-05」。日本を代表するハイエンドオーディオブランドが作り上げるプリメインアンプの方向性を探りながら、ふたつのモデルのパフォーマンスの違いと、それぞれの魅力を引き出してみたい。

「I-05」(右)と「I-03」(左)

マスターサウンドワークスの系譜
■最高クオリティの録音技術をオーディオ製品開発にも継承

エソテリックのアンプ製品の根底にはマスターサウンドワークスという考え方がある。その思想のルーツはエソテリックの母体となるティアック時代のオープンリールデッキにまで遡る。音楽制作の現場でアーティストの生み出す音楽を最高のクオリティで収録し、音楽の姿を変えることなく再現する存在。何かの要素をつけ足したり、欠落させることなく録音、再生しなければならないのが録音機だ。しかしその収録の対象である音楽とひと言でいっても物理的にも音楽的にもとても広いレンジをカバーしなければならない。重い音、鋭い音から、“たゆたう"ような響きや溶け合うハーモニーまで。また、ミュージシャン達の情念やガッツや人生のキャリア。さらにはコンサートホールの空気感からオーディエンスの歓喜までをも収録、再現しなければならないのだ。

このティアック時代からの遺伝子(というか、必要性といってもいいかもしれない)を受け継いでいるのがマスターサウンドワークス思想だ。そしてそれは特にアンプに継承され、実際にレコーディングスタジオのモニタースピーカーを鳴らす存在として稼働しているし、その流れはインテグレーテッドアンプ(プリメインアンプ)にも脈々と流れている。

エソテリックのプリメインアンプの概要
■2モデルには共通点も多いが回路構成に大きな違いがある

マスターサウンドワークスの系譜のインテグレーテッドアンプ(プリメインアンプ)。現在のところ、2011年4月に発売の「I-03」と、2012年8月25日発売の「I-05」がラインアップされている。両者には共通項も多い。

まず2台共にEsoteric MSW(マスターサウンドワークス)Pure Class D方式の増幅部を有し、高効率でハイスピードな最新型MOS-FETを、I-03では3パラレルプッシュプルで、I-05では2パラレルプッシュプルで構成。しかもそれをモノブロックにしてシャーシの左右にデュアル・モノの配置で搭載している。電源部は大容量のカスタムトランスと大型コンデンサーで、規模こそ違えどもトランスが中央のフロントパネル寄りに鎮座。 ちなみに出力はI-03が6Ω負荷時の実用最大出力で 320W×2。I-05が同じく6Ω時の実用最大出力で 190W×2という数値。どちらも4Ωまでたっぷりと電流を流せる実力を持っている。

I-03の内部構造。各回路ブロックを専用のコンパートメントに収めて立体配置することで、回路の相互干渉を最小化、信号経路の最短化を実現する「3D オプティマイズド シャーシ構造」を採用。内部シャーシは5分割構造で、各chに分離した2枚のプリアンプ基板は背面端子に最も近い専用コンパートメントにマウントする。プリアンプから最短経路で接続された2台のEsoteric MSWパワーアンプ・ロックはシャーシの左右の専用コンパートメントに配置され、アルミブロックを介して左右のサイドパネルにマウント。サイドパネルをヒートシンクとして使うことにより、効率的な放熱が可能となっている

I-05の内部構造。内部シャーシは、回路ブロックごとに3分割構造とすることで、剛性を高めると共に、回路の相互干渉を最小限としている。電源トランス はセンターに配置し、3.2mm厚のスチール製ベースプレートを介してボトムシャーシに固定。さらにボディ全体をESOTERICオリジナルのスチール製インシュレーターで3点支持することにより振動を効果的 に抑制している。Kシリーズ、およびI-03で新たに採用した筐体設計とノウハウを投入したシャーシは、優れた剛性、低ノイズ化、オーディオ信号経路の最短化に貢献している

バックパネルの端子の配置からも分かるが、天板をはずして内部を見た時の一番の違いは、プリ部の左右チャンネルのレイアウトだ。

I-03の背面端子部。入力端子としてRCAは3系統を装備。RCA2はAVプリ入力として使用可能で、RCA3はLINE/MM/MC切り換えが可能となっている。またXLR入力は2系統を用意する。なおサービスコンセントなどは装備していない

I-05の背面端子部。入力端子としてRCAは3系統を装備(RCA3はLINE/AVプリ入力の切り替えが可能)。MM/MCに対応したPHONO専用端子1系統、XLR入力は1系統を用意する。またPREOUT端子を1系統装備し、バイアンプ構成に対応するほか、内蔵のパワーアンプを使わず、単体のフルバランス・プリアンプとしても使用可能となっている

I-03では基板がLチャンネルとRチャンネルに分かれ、それがシールド鋼板を挟んで上下に組み合わせられている。それに対してI-05では1枚の基盤に左右チャンネルをシンメトリーに配置している。いずれも音量調整はボリュームノブを回すことにより、ゲインを可変させる方式のシステムだ。

ただし、I-03がアンバランス回路、つまり左右の2チャンネル分をコントロールしているのに対して、I-05はフルバランス回路なので、左右のそれぞれのプラスとマイナスの4系統分をコントロールすることになる。この違いが大きい。バランス回路にすることによって高いS/N性能を獲得したのがI-05だ。

2モデルのパフォーマンスを試聴して検証

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