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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第82回】総額70万円!超ハイエンドなポータブルオーディオシステムを組んで聴いてみた

2014/04/11 高橋敦
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■超ハイエンド3モデルのフルセット(約70万円)を聴く

では最後に、超ハイエンド3モデルのフルセット約70万円也を聴いてみよう。AK240から光デジタル出力してHugoで受けてK812に送り出す。もはや値段も携帯性も何もかもが、僕も含めて多くの方には現実感のないシステムだとは思うのだが、だからこそ究極的に趣味性が高いシステムと言えるだろう。

据え置きのハイエンドシステムとの比較にも値するシステムがこのスペースに収まるというのはすごい

…で、聴いてみると、事前の予想とはちょっと違った印象だった。デジタルでの送り出しのみ担当となるAK240の個性はあまり出ずに、DAC/ヘッドホンアンプとなるHugoの影響力が強まるだろうと予想していたのだが、意外とそう単純ではなかったのだ。AK240とHugoの特長が良い具合に融合してくれている。

Hugoの持ち味のうち、音像がやや大柄な点は、良質な大柄さではあるのだが、実は僕の好みとはあまり合っていなかった。AK240と組み合わせるとその点がほどよく緩和され、音像のフォーカスが少しタイトになり、音の周りの余白が増える。しかしHugoの持ち味のうち音色の荒さ等の質感描写の豊かさはそのまま生かされていて、ドラムスの炸裂感、ギターのエッジ感といったところはAK240単体よりも際立つ。

まあしかしこのレベルまで来ると、AK240単体とHugoも加えたシステムと、どちらが好みかというのは本当に好み次第だ。AK240の側のニュアンスが好みであれば携帯性等の面からも、AK240単体で素晴らしい音質を得られるのでそれでOK。逆にHugo側のニュアンスが好みであれば、AKは240でなくお値段もサイズもお手頃な100MKIIあたりを合わせた方がむしろよいのかもしれない。いやOKとかお手頃とか、どっちも単体で20万円超えてますが…

そして忘れてはならないのは、そういった優劣ではないニュアンスの違いもそのまま正確に再現してくれている、K812の優秀さ。開放型だし大型だしポータブルでの利用はあり得ないが、屋内ヘッドホンリスニング環境を妥協なく極めたい方には、こちらは約16万円とお手頃なので普通におすすめ…いや感覚がおかしくなってきている。

というわけで今回は、「これは買いだ!と気軽には言えないが、しかし注目せざるを得ない絶対領域的超ハイエンドアイテム特集!」をお届けした。その言葉に全てが集約されているのだが、実物を目にして手にして耳にしてしまうと欲しくなってしまう。困りものな超ハイエンドたちだ。


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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