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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第69回】ダイナミック型イヤホンに“新星”あらわる! Dynamic Motion「DM008」を聴く

公開日 2013/12/13 11:45 高橋敦
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■DM008のスペックに迫る −「PowerDynamicDriver」が最大の特長

技術面での最大の特長は「PowerDynamicDriver」だ。振動板の口径は8mmでドライバーユニット全体のサイズもそれに準ずるが、しかし駆動力の基盤となるマグネットは通常の10mmドライバーのそれに相当するサイズ。マグネットを従来よりも外周寄りにするなど、全体の配置の調整でそれが実現されている。

PowerDynamicDriverの概略図。イラストで黄色で示されているマグネットの配置が従来と異なる

狙いはおそらく、大雑把に喩えるならば「軽い車体に強力なエンジンとブレーキを積む」レーシングカー的な発想だ。振動板やその周辺パーツはそのままの大きさ重さであるのに対して、マグネットの大きさのみを大型化したことで、磁力=パワーに余裕が生まれる。車で言うところの加速と減速、イヤホンに話を戻せば音の立ち上がりと収まりの向上を期待できる。それらは音の再現性の基本だ。

ちなみに発表会での話によると、この「パワー」ドライバーの他に、すでに「エルゴ」「バランス」という、それぞれ別の特長を持たせた2つのダイナミック型ドライバーも開発されているとのこと。今後にも期待が高まる!

また振動板自体は、その素材をPETではなくより高性能なフィルムにしたことがポイントとのこと。PETはペットボトルでもおなじみのありふれた合成樹脂で、イヤホンやヘッドホンの振動板素材としても主流だ。ありふれた素材なので安いし、加工性が良いので微妙な厚みや形状に成形することで音質をチューニングできるなど、これはこれで利点は多い。

しかし例えばソニーがハイエンドに「液晶ポリマーフィルム」を採用するように、振動板としての根本的な素材特性が優れている素材も存在する。

本機に採用された素材の詳細は不明だが、おそらく、より強度が高く変形せずに綺麗に振動する、内部損失が高く音に余計な響きを加えずに収める、といった特徴を持っているはず。そこは長年培ってきたメーカーとしての技術やコネクションが物を言うところだろう。

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