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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第69回】ダイナミック型イヤホンに“新星”あらわる! Dynamic Motion「DM008」を聴く

2013/12/13 高橋敦
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■ダイナミック型イヤホンに期待の新星登場!

製品の数としては少数派になってしまっている気はするのだが、だからこそ少数精鋭的な魅力を放つ製品ジャンルとして「ダイナミック型の中〜高級イヤホン」を挙げたい。

代表的な存在としては、やはりまずゼンハイザーの「IE 800」だが、ウルトラゾーンの「Pyco」も秀逸であると思う。両者とも大口径化に走らず小さめの口径(前者は7mm、後者は6.5mm)を採用し、そこに様々な技術を投入することで、従来のダイナミック型らしい力強さと従来のダイナミック型のイメージを覆す精緻な描写力を兼ね備えている。

さて、高級機は素晴らしい進化を遂げているわけだが、多くのユーザーにとってより現実的なのは、2万円未満1万円以上あたりのミドルレンジではないだろうか。まさにそこに登場してきたダイナミック型の新星が、今回紹介するDynamic Motionの「DM008(関連ニュース)」だ。価格は1万3,440円。

遠目には大きな特徴というか奇抜さはなく、スタンダードにまとめられている印象

これまで見聞きしたことのないブランドだという方が多いだろう。それも当然、今回のこのモデルが、ブランドとしてのデビュー製品だ。

しかし自社ブランドとしては新規参入だが、ダイナミック型ドライバーの開発及び生産のキャリアは長い。1982年の創業から30年以上、裏方として様々なブランドの様々な製品にダイナミック型ドライバーを供給してきたという。

まあ、あれですよね。「これまでODMなどで技術を積み重ねてきたメーカーが、その技術を結集した自社ブランド製品で勝負を賭ける!」というような、「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」的なストーリーを勝手に想像してしまいますよね。

しかしストーリーはどうあれ、大切なのは、「名前が表に出ることはなかったものの確かな技術力とそして生産力のあるメーカー」ということ。つまり「イヤホンブームみたいだし、うちでも出してみるか。コンセプトやデザインだけ提示して、細かな開発と生産は外注で」的な製品では全くない。完全なる自社開発だし、自社で何ヶ所か持っている工場のうち、本社内にあるハイエンド向けラインで生産されている。

実際、その技術内容にはオリジナリティがあるし、実物の完成度も、一目で納得させられるものがある。オーディオに限らず優れた工業製品は、おおむねその優秀さが造形や仕上げにも現れるものであり、その良さは一目で伝わってくるのだ。…まあ「見た目はひどいが音は良い」や、その逆の残念な例外もあるにはあるが。

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