野村ケンジが試聴

ソニーの新ヘッドホン「MDR-1R」レビュー − クラシックから初音ミクまで幅広い楽曲で実力チェック

野村ケンジ

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2012年09月26日

■クラシックから初音ミクまで − 様々なジャンルで音質チェック

実際のサウンドを確認してみると、確かにそういったコンセプトの違いが顕著に感じられる。彫りの深い中域がしっかりとした存在感を主張しつつも、素直な響きの高域と、ボトムエンドまでしっかりと伸びきった力強い低域が、普段にも増してノリの良さ、グルーブ感の高さを与えてくれるのだ。

ケーブルは着脱式

特に、ひと昔前のモニター系ヘッドホンなどでありがちな、カスレ気味のざらついた歌声や、伸びやかながらもどこかトゲトゲしい高域など、聴き障りのある音色がいっさい感じられない点が良い。

いっぽう低域も、余計な膨らみを与えず、それでいながら量感はしっかりと確保されている。音色的な変調をきたすことなく、素直で自然な、それでいて心地よい響きのサウンド。「MDR-1R」を端的に表現すると、そんなイメージといえる。それでいて聴き心地の良いサウンドに仕上げるという、絶妙なチューニングが施されているのだ。

こういったキャラクターのおかげか、音楽ジャンルを全くといっていいほど選ばないところも好印象だ。クラシックはヴァイオリンがとても伸びやかで、それでいて金管楽器が目立ちすぎることがない。抑揚表現もとても緻密だ。

一方でジャズやハードロックは、締まりの良い低域のおかげもあって、いつもよりグルーブ感の高い、ノリの良いサウンドが楽しめるし、ポップソングなどでは、女性ヴォーカルの歌声がとても丁寧で、感情表現が豊かだ。

面白いのが、初音ミクなどボーカロイドの声ですら、いつもより丁寧な歌い方に聴こえることだ。Jポップは音がきつすぎて、と感じている人にとっては、こういったサウンドバランスが最適に思えるかもしれない。

このように「MDR-1R」は、音色的には本来の姿を素直に再現しつつも、響きのよさや聴きやすさを積極的に追求した、音楽をよりよく楽しむために生み出されたヘッドホンといえる。こういった演出は、大いに歓迎したい。

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