HOME > レビュー > シャープ “AQUOS” Z5レビュー − 画質から機能、節電性能、使い勝手まで徹底ハンドリング

総合バランスに優れた注目モデル

シャープ “AQUOS” Z5レビュー − 画質から機能、節電性能、使い勝手まで徹底ハンドリング

公開日 2011/04/11 10:30 編集部:風間雄介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

作品の冒頭、主人公のジェイクがパンドラに着陸した後のシーンは、全体的に画面が暗めで色も抑えめのカットが多いが、こういうところでは、とても落ち着いた映像を見せる。

反面、シアンやイエローなど、青空や金色の輝きなど「クアトロン」パネルが得意とするシーンでは、その本領をフルに発揮する。たとえばネイティリがジェイクを救おうと、動物を追い払うためにたいまつを振り回すシーンでは、炎の色を的確に表現。その熱さをつい想像してしまうほど、リアルな炎の色が眼前に現れる。また、空中をイクランに乗って飛び回るシーンでは、空の青さがどこまでも突き抜け、シアンの表現能力が高いことが一目で見て取れる。

好ましいのは、他のテレビでは表現できない色を描き出す能力を備えていながら、必要のないところでは、しっかり節度を保ったコントロールが行われているところだ。

ここまで高いポテンシャルを持ったパネルを使うと、ともすると派手な画作りに走りがちなものだが、Z5の映画モードはソースの情報をしっかり再現することを第一義とした画作りで、クアトロンの広い色域はスパイスとして用いている。

とても贅沢な使い方と言えるが、我々が見たいのは映像作品であり、パネル性能のデモンストレーションではない。その意味で、この画作りは至極まっとうなものだ。こういった骨太の思想が映像全体に反映されているので、安心して映像作品の世界に浸ることができる。

■高速応答パネルとバックライト制御で高い動画解像度を実現

Z5のポイントの一つに、高速応答性を高めたハイスピードUV²Aパネルの採用が挙げられる。この能力は3D映像のクロストークの少なさでも実感できたが、これを2D映像でも確かめようと、動画解像度を「FPD Benchmark Software」でチェックしてみた。

前述したように本機は120Hzパネルを搭載しているが、これにバックライトスキャニングを組み合わせることで、通常の120Hz駆動のパネルより、さらに動画解像度を高めている。設定画面で「アドバンス(スキャン)」を選択するとバックライトスキャニングが適用され、単位時間当たりの発光量が少なくなるので画面は少し暗くなるが、その分明らかに動画解像度が上がる。

動く車内から街角を移した映像や、地図がスクロールする映像、いくつか動きが速い映像をチェックしてみたが、どれも映像がピタっと画面に張り付くような印象で、動画ボケをよく抑え込んだ、クッキリとした映像を実現している。

もちろん動画補間の効果とバックライトスキャニングの効果も大きいが、それだけではない。ここまでの動画解像度を実現できた背景には、3msという高速応答を実現したハイスピードUV²Aパネルの効果があることは明らかだ。

■クアトロンパネルの使いこなしが大きく進んだ

本機には、クアトロンパネルの4原色のサブピクセルを用いた高解像化技術「フルハイプラスエンジン」が搭載されているが、その効果はマイルドな印象だ。といっても、効果が低いと言いたいわけではない。ONにすると、ディテールが込み入った箇所の精細度が確実に上がるが、精細感を上げる必要がないところは、ほとんど変わらない。適応的な処理が徹底されており、副作用がほぼないので、常時ONにしておいても問題なく使える。

精細度を上げる「フルハイプラス」エンジンはON/OFFの設定が可能だが、常時ONにしておいても副作用はほとんどない

総じてAQUOS Z5の映像は、3D、2Dともに、クアトロンパネルの使いこなしが大きく進んだという印象だ。高いポテンシャルを、自然な映像を作り出すというベクトルに振り向けており、これによって映像の品位を高めている。同社のフラグシップ機に匹敵する実力を備えていると言って良いだろう。

■薄型筐体からは想像できないほどの音質を実現

音質にも触れておこう。実は当初、Z5の音質にはそれほど期待していなかった。上位機のLV3ラインやLX3ラインには、4ウェイ8スピーカーの「ARSS」システムやサブウーファー「Duo Bass」が搭載されているが、本機はそれほど豪華なスピーカーシステムを搭載しているわけではない。また筐体がとても薄いので、スピーカーの容積を十分に取る事が物理的に難しい。

だが本機のスピーカーの音は、事前の予想をはるかに上回るものだった。特に中域がしっかり出ており、映画のセリフの、男声の太い声なども的確に再現するし、ダイナミックレンジや音の広がり感もなかなかのものだ。仕様表によると、1.8cm×18.0cmのスピーカーを2個と、4.5cmのウーファーを2個搭載しているとのことだ。

もちろん上位機のARSSシステムには及ばないし、シアターラックや本格的なサラウンドシステムなどとは比較にならないが、これだけ薄いテレビのものとは思えないほどの音質を実現している。このサウンドには、シャープ伝統のフルデジタル1ビットアンプも寄与しているはずだ。

映画はともかくとして、テレビ番組を見る際、常にシアターシステムの電源を入れる方は少ないはず。通常の使い方ならば、テレビのスピーカーで音を聴いている時間の方が圧倒的に長いのだ。このためテレビの内蔵スピーカーの音質はとても重要だが、Z5はその点も抜かりない。

■高効率パネルとLEDバックライト、省エネ機能で大きな節電効果

東日本大震災の発生以後、節電の重要性が、これまでとは比較にならないレベルでクローズアップされているのはご承知の通り。AV機器においても節電性能は、画質に並ぶ重要なポイントになった。

次ページ高効率パネルと充実機能で高い節電性能を実現

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: