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一条真人の体当たり実験室

専用ソフトで使い勝手が大きく向上 − “国内最適化”でiPodを追撃する新ウォークマンを試す

公開日 2009/10/21 18:28 一条真人
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■歌詞ピタサービスを使う準備

Sシリーズの売りである、歌詞ピタサービスだが、歌詞データ自体は「シンクパワー」という会社が提供している。このシンクパワー社はJASRACと正規の協力関係にあり、著作権をクリアした曲データを提供している。まずは歌詞ピタの表示画面を動画で見てもらおう。



歌詞ピタのサービスが開始されたのは10月8日のことだが、毎日500曲程度の歌詞が追加されるなど、ハイペースでデータが拡充されているという。現時点ではサービス開始から間もないこともあり、最近の曲や有名な曲の歌詞しか提供されていないが、将来的にはこの問題は徐々に解決されていくことだろう。

この歌詞データの提供には2つの契約パターンがあり、毎月、一定の曲数を購入できる「歌詞ピタ」コースと、単純に曲数で購入する「アラカルト」コースがあり、例として言うと歌詞ピタ10(10曲)が158円に対して、アラカルト10は210円になる。同じ曲数だとアラカルトコースのほうがやや割高になるが、比較的リーズナブルな価格と言えるだろう。各コースの詳細に関してはHPを参照していただきたい。

ちなみに両方を購入することも可能であり、歌詞ピタを購入しながら、それ以上に歌詞を購入したい場合、アラカルトで購入することができる。歌詞ピタサービスを利用するには、ユーザー登録して、あらかじめ、なんらかのコースで歌詞データを購入しておく必要がある。

ちなみに、2009年10月8日(木)〜2010年3月31日(水)の期間、キャンペーンが行われており、期間内にS740/S640/S740K/S640K/A840シリーズを購入した場合、アラカルト20曲が無料プレゼントされる。なお、通常の曲の購入はクレジットカードあるいは携帯払いの2つの方法がある。

ユーザー登録と歌詞データの購入、キャンペーンクーポンを使った購入はシンクパワーのサイトから行うことができる。

ツールバーの「ログイン」をクリックすると、会員ログイン画面が表示されるので、「新規登録」をクリックして、後はメッセージに沿って作業していけばいい。

歌詞ピタのログイン画面

■歌詞データの購入

歌詞データの購入はx-アプリから行う。購入は曲単位でもできるし、アルバム単位で行うこともできる。

目的の曲あるいはアルバムを選択した状態から、マウス右クリックでメニューを表示し、「歌詞ピタ(データ)のダウンロード」を実行すると、ログイン画面が表示されるので、登録したユーザーIDとパスワードを入力すると、そのユーザーに購買力があれば、曲データが検索され、確認画面が表示される。

曲を指定してメニューを表示している状態

確認画面では候補となる曲が表示される。購入できる歌詞には「検索結果」に「あり」と表示され、デフォルトでチェックが入り、購入選択がされている。購入したい曲にチェックを入れ、ダウンロードボタンをクリックすると、選択した歌詞の購入が決定され歌詞がダウンロードされる。

候補となる歌詞が検索されて表示される。チェックが入っているものが購入候補で、「ダウンロード」をクリックすると、購入が決定されて歌詞がX-アプリにダウンロードされる

アルバムを選択して実行した例。このアルバムでは、半分程度の曲に歌詞が用意されていないのがわかる

なお、アルバムを選択した場合、アルバムによってはすべての曲の歌詞が用意されていないこともある。こうしてダウンロードした歌詞データは自動的に曲データと関連づけられる。あとは、普通にウォークマンに曲を転送するだけで、歌詞データつきで転送される。

■歌詞データの表示

歌詞データのついた曲を再生すると、自動的にアルバム画面の下に歌詞が表示される。歌詞表示はオプションメニューでオフにすることもできるが、デフォルトではオンになっている。

歌詞は3行だけが表示され、その時の曲に合わせた歌詞が一番上に表示されるようになっている、この動きはビデオを見ていただけばわかるが、なかなか的確だ。なお、オプションメニューのVPT(サラウンド)で「カラオケ」を選択すると、カラオケモードとなり、ボーカルの声が沈んで再生され、カラオケ練習がしやすくなる。

VPTでカラオケモードを選択すると、ボーカルの声が沈む

■日本の社会環境への順応度を高めた新ウォークマン

いまより若い頃、僕はオシャレなヨーロッパ車が好きだった。しかし、ヨーロッパに頻繁に旅行するようになり、ヨーロッパ社会での自動車のあり方を観察していくにつれて、次第にその熱は冷めていき、国内では国産車に乗るようになり、現在に至っている。

その時に得た教訓は、その地で生まれたものは、やはり、その生まれた地の社会環境にもっともマッチしているということだ。ヨーロッパで生まれた自動車はやはりヨーロッパの自動車社会にマッチしている。

ウォークマンのノイズキャンセリング機能は、電車などの公共交通機関での移動時の視聴に向いているし、歌詞機能とカラオケモードは、世界一カラオケの普及した日本でこそその真価を発揮する。この数年でウォークマンは、着実に日本の社会環境に順応してきている。

また、デジカメの普及度が高い日本では、x-アプリのありがたみも大きいだろう。そして、ソニー得意の12音解析技術に基づく「おまかせプレイ」はiTunesのGeniusよりも楽しめる。

NW-S744Kは新ウォークマンが今後、より一層、普及していくポテンシャルを持っていると感じさせてくれた。

(一条真人)

筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。

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