HOME > レビュー > ソニー「HDR-CX520V」とJVC「GZ-X900」 − コンパクトかつ高機能な両機を会田肇がテスト

注目ビデオカメラを実機比較

ソニー「HDR-CX520V」とJVC「GZ-X900」 − コンパクトかつ高機能な両機を会田肇がテスト

2009/07/24 会田 肇
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■晴天時に強いX900、夜間撮影に力を発揮するCX520V

画質を見てみよう。CX520Vは基本的にXR520Vと同様な傾向を示す。輪郭が自然で、強調感をほとんど感じさせない。発色も上々で、赤色の花を鮮明に映し出し、これをレンズのボケと上手に組み合わせれば、家庭用ビデオとは思えない美しい映像が記録できる。また、日射しが強いビーチで撮影してもフルオートのままで人物を正確に捉えたし、太陽を正面に受けてしまった時もさほど破綻しないで映像を収録することができた。ここまでの画質を平均ビットレート16Mbpsで実現できているのだから、DVDに保存が不可能となる高ビットレート化にあえて挑まないソニーの考え方も理解できる。

HDR-CX520Vは細部までを精細感あふれる映像で再現

色味もしっかりした表現力を持ち、何よりも低ノイズなクリアさがいい

マイルド感を感じる中にもすっきりと抜けた映像表現が持ち味

一方のX900は、UXPモードでは透明感あふれる抜けるような映像表現を見せた。このクリア感が、1/2.33型総画素1,029万画素CMOSセンサーと、24Mbps記録の組み合わせによる豊富な情報量によってもたらされたのは明らかだ。XPモードも十分高画質なのだが、一度UXPを見ればその違いをはっきりと認識してしまう。とくに色の純度が高い。ピンク色の花びらも階調豊かに表現し、子供の肌の柔らかさもそのまま伝わってくるかのようだ。ただ、やや残念なのはズーム倍率が5倍にとどまることと、広角端の画角が狭めなことだ。

色の純度でいえばX900はかなりレベルが高い

コクのある色合いというか、しっとりとした色表現を見せる

解像度も高く、透き通るような精細感を伴った映像を再現する

また、CX520Vの実力の高さを実感したのが暗いシーンでの撮影だ。搭載されたCMOSはXR520Vと同じ「裏面照射技術」と呼ばれる新技術を採用した『“Exmor R”CMOSセンサー』。これは、CMOSの受光面に配置されていた格子状の配線層を裏側に回し、光を効率よく捉えられるように改良を加えたというもの。これにより低照度時の特性を大幅に向上させ、低ノイズ撮影を可能にしているのだ。今までなら明るくしようと感度を上げると、光量不足からノイズが発生することがあったが、このセンサーでは光量が十分に確保できているから、感度を無理に上げなくても明るさを十分確保できるというわけである。

HDR-CX520V(右写真も)。しっとりとした夕刻の雰囲気を上手に再現。階調表現も高く、夕方の空を美しく描き出している

夜景では肉眼で見たイルミの輝きをそのまま伝える。シャープさも変わらない

撮影は陽が落ちた直後の夕刻と夜間の二つに絞って試みた。まずCX520V。夕刻の撮影では夕暮れの空を階調豊かに表現しつつ、マーライオンを白く飛ばさすに映し出した。夜景撮影でも建物のイルミネーションの一つ一つをしっかりと映し出し、それぞれのイルミ色も忠実に表現している。ノイズもきわめて少ない。この辺りはセンサー特性のメリットが十分に活かされた結果と言えるだろう。

X900は明るさこそ確保しているが、昼間の撮影ではあれほど高精細に映し出していたのが、夜間撮影では甘くなる。ただ、この画質がこれまでのモデルの平均的なレベルという事実も忘れてはいけない。それだけCX520Vの暗所特性が際立っているということだ。

GZ-X900(右写真も)。夕闇に浮かび上がるマーライオン。ライトをあてられているものの、ノイズが浮き始めている

夜景ではイルミが埋もれ気味で、やや甘めの映像となってしまった

次ページ両機のインターフェースと総合評価

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: