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注目ビデオカメラを実機比較

ソニー「HDR-CX520V」とJVC「GZ-X900」 − コンパクトかつ高機能な両機を会田肇がテスト

公開日 2009/07/24 11:11 会田 肇
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■両機の手ブレ補正、顔認識機能をチェック

さて、基本機能をXR520Vから踏襲したCX520Vだが、進化した点も数多い。一つは光学式手ブレ補正で、XR520Vのアクティブモードを備えたのはもちろん、新たに回転軸のブレにまで対応した。手持ちで撮影すると、斜め方向への揺れが発生していることに気付く。CX520Vでは、この揺れを画像処理エンジン「BIONZ」によって補正。歩きながら撮影しても違和感のない揺れ程度にしか感じないまでに補正しているのだ。この効果はとても高く、歩きながらズンズン進んでも画面はスーッと滑らかに移動している感じになる。横揺れが軽減されて、撮影した映像がさらに見やすくなったと言っていいだろう。

歩きながら街並みの様子を撮影。その効果が大きかったのがCX520Vで、斜め揺れがほとんどなく、抜群の安定性を見せた

一方のGZ-X900も広角端から望遠端まで全域にわたって補正を実現している。とくにこの機能で優れているのは、光軸を変えることなく像を捉えられるため、ブレ補正にありがちなボケが生まれないこと。補正後でも鮮明さを維持したままで撮影できるのだ。ただ、この効果は歩きながら撮影した映像より、立ち止まって手持ち撮影しているときの方が大きいと感じた。歩きながらの撮影だと画面全体が大きく揺れるため、効果がわかりにくいからだ。

ブレ補正にありがちなボケが生まれないGZ-X900

CX520Vの機能で進化した2つ目のポイント、それは顔認識機能だ。ソニーのビデオカメラでお馴染みのスマイルシャッター機能付き顔認識機能を引き続き搭載し、新たに特定人物にタッチするだけで、その顔を優先して追従できる機能を追加。優れているのはその追従力で、特定した顔を記憶した後は、モニターから被写体がフレームアウトしても再度インした段階から再び優先追従する。フレームアウトした時間はとくに制限がないというのも素晴らしい。付け加えておくと、認識できるのは人の顔のみ。ペットの顔などは認識できないが、それでも自分の子供だけを正確に撮り続けたいユーザー心理を考えればこの機能は大きなウリとなるだろう。

顔認識機能はX900も搭載している。これはとくに特定被写体に追従するというわけではなく、機能としては一般的なもの。しかし、その精度は比較的高く、逆光にもかなり強い。さすがに真後ろに光源を受けると漏れてくる光によって顔認識ができなくなってしまうが、認識中はかなり高精度に補正を行うことに好感を持った。

オートフォーカスの精度について、両機種ともかなり高精度に動作したのには驚かされた。CX520Vは動きが速くなり、かといっていきなりピッと不自然にフォーカスするのではなく、スーッと合わせていく感じ。この動きが絶妙なのだ。X900もこのあたりは負けていない。パンニングして遠方から手前の被写体に移動させても迷うことなくフォーカスする。こちらも不自然なフォーカスとならないのがいい。ただ、レンズ絞りの対応が両機種で異なっており、ここで美しいボケを見せたのはCX520Vの方だ。

椰子の木を背景に花をアップで撮影。早い段階でフォーカスしたのはCX520V

X900はフォーカスするまでに時間を少々要した

これはレンズ絞りの構造による。CX520Vは絞りバネをより円形に近い形になる6枚式としているのに対し、X900は2枚にとどまる。つまり、この形状が背景のボケに影響を与えてしまっているのだ。CX520Vは自然にボケているが、X900はやや硬い印象で表現される。最近は撮像素子のCMOS化によってサイズアップが着実に進んでいる。こういう背景もあるので、個人的には絞りバネにさらにこだわってもらいたい。

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