家電大手&カメラ専業メーカーが続々と新製品を発表

【CES】CES2014の注目デジカメを会田肇がレポート

会田 肇
2014年01月21日
かつては欧州の「Photokina」(開催地:ドイツ・ケルン)に対して、アメリカで開催する「PMA」が世界を二分するカメライベントとして有名だった。しかし、リーマンショックの影響を受ける中、2010年2月に開催されたのを最後にPMAが独立して開催されることはなくなってしまった。その後、開催が延期に延期を重ね、結果として2012年からは事実上、CESに組み入れられる形での開催がスタートした。

CESには大手家電メーカーや専業メーカーから、多くのデジカメが出展された

最初はCESと同時開催するイベントになるのかと思いきや、実際は違った。同時開催の形を採ると、これまでCESに出展していたメーカーは、同時に二つのイベントを同じエリアで開かなければいけなくなる。CESでは過去に出展してきたメーカーの意向が強く反映されるため、結果としてPMAそのものがCES内に組み入れられる形となったのだ。

ただ、派手なパフォーマンスで展示する家電やIT業界、加えて自動車メーカーが相次いで参入するや、展示物が小さいカメラメーカーはどうしても控えめにならざるを得ない。しかも、CESにおいて“新参者”となるカメラメーカーは出展も奥まった位置を選ばざるを得ない。その意味で、CESはカメラメーカーにとって、悩みどころの多いイベントなのかもしれない。

大手家電メーカーもイメージング関連機器にはやはり力を入れていた

それでもPMAがCESへ参加するようになって3回目を迎え、カメラメーカーは少しずつCESに馴染んできた感がある。CESに出展するメーカーの多くがトレードショーとしてのスタイルを採り続ける中、カメラメーカー系は写真を文化として発信するPhotokinaに近いスタイルを少しずつ見せてきている。撮影することの楽しさや、表現方法と言った分野を積極的に演出し始めたのだ。今回は目立った新商品こそ少なかったが、今後は着実にカメラメーカーの存在感は高まっていくことだろう。

さて、そうした状況下で各社ともそれぞれに新製品の発表を行った。各メーカーごとにその流れを追っていきたい。

■NIKONはフラグシップモデルの後継機を展示

思わぬ注目を浴びたのがニコンだった。ニコンはブース内中央に、現行「D4」の後継機と思われる「D4S」を出展。スペックなどの表示がないばかりか、スタッフに問い合わせても「I don't Know」と言われるのみ。ただ、同時に日本からリリースが発表されていた。それによると、新画像処理エンジンの搭載によって高画質化、AF性能向上が図られたという。詳細なスペックは一切掲載されておらず、その辺りは「謎」のままだ。

NIKON「D4S」

一方、表立って展示はされていなかったが、問い合わせると見せてくれたのが「D3300」。日本でも2月発売が発表されたエントリー向けモデルで、本体の重量はわずか460g。カラーリングもレッドとブラックが用意された。注目は液晶モニターに表示される操作ガイドに従うだけで初心者でもイメージ通りの撮影ができる「ガイドモード」の搭載で、一眼レフ市場の裾野を広げる意味で面白い機能と言える。

NIKON「D3300」

しかも画質性能は評価の高かったD3200を継承したもので、光学ローパスフィルターレス仕様のDXフォーマット(APS-C相当)CMOSセンサーを採用し、常用感度はISO100〜12800。連続撮影速度も毎秒5コマまでいける。また、全13種類のエフェクトモードに加え、画像編集機能として使える全20種類の「画像編集機能」を装備。静止画/動画いずれでも使えるのがポイントだ。

手にしてみると驚くほど軽く、しっかりとしたボディ構造が伝わってくる。これはボディに炭素繊維を用いたことで実現したもので、モノコック構造としてことで全体に強度も高められているのだという。シャッターを切ってもコンデジとは一線を画する小気味良い動作が印象的で、これから一眼レフに入ろうという人にとっては見逃せない一台になるに違いない。

■ソニーはEマウントの最新モデル「α5000」に注目が集まる

ソニーでの注目はCESに合わせて発表されたEマウントの最新モデル「α5000」だ。このモデルは、従来の「NEXシリーズ」を『α』シリーズに統一した初めてのモデルで、「NEX-3N」の後継機にあたる。今後、ソニーは一眼タイプをすべて「αシリーズ」としていく。価格は標準ズームキットで599.99ドル。米国内では既に発売を開始している。

SONY「α5000」

α5000の本体にはフラッシュとWi-Fi機能を内蔵し、重さは何とボディのみで210g! このタイプの一眼カメラとして“世界最小”となった。北米で発表されたスペックによると、センサーには有効2010万画素“Exmor APS HD”CMOSを採用し、画像処理エンジン「BIONZ X」を採用することで、最高感度はISO16000。AFはコントラスト方式で、連写速度は毎秒3.5コマ。モニターは46万ドットのチルト機能付き3型で、反転することで自分撮りも楽しめる。Wi-Fi機能により、iPhone/iPadアプリ「PlayMemories Mobile」との連携も可能だ

手にした印象は、NEX-3Nと5Tが一緒になったようなデザインだが、レンズの上から発光されるフラッシュが新しい。フラッシュの位置もかなり高いので、レンズで光がけられる心配もなさそう。シャッターのフィーリングは従来の3Nに近いが、ショックは従来よりも和らいだような気がした。

■パナソニックは最新レンズや4K動画撮影モデル試作機を展示

パナソニックがCESで披露したのは、国内販売も決定したレンズ1本と、開発中のレンズ2本。そして、DMC-GH3ベースの4K撮影対応カメラの参考出品だ。

国内販売が決定したレンズは「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH. POWER O.I.S.」で、会場ではDMC-GX7に装着して展示。35mm判換算で85mm相当になる大口径中望遠レンズで、パナソニック製マイクロフォーサーズ用レンズでは最も明るいスペックとなる。手ブレ補正機構も内蔵し、その価格は21万円(日本国内)と発表された。

「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH. POWER O.I.S.」をDMC-GX7に装着したところ

開発中のレンズとして参考出品されたのが、、「15mm/F1.7 Leica Lens」「35-100mm Lens」の2本。いずれもまだモックアップの段階だそうで、手に取ることはできなかった。

PANASONIC「15mm/F1.7 Leica Lens」

PANASONIC「35-100mm Lens」

そして、4K対応ミラーレスカメラ。外観はDMC-GH3そのもので、ケース内に「4K Digital Single Lens Mirrorless Camera」との表記があるものの、ボディ部分に「4K」が印してある以外は、GH3との違いは見つけられなかった。ただ、担当者によれば、2014年上半期にも登場するという。

4K対応ミラーレスカメラの試作品

コンデジ系では「DMC-ZS40」に注目した。日本では“TZ60”として登場する最上位モデルだそうだが、ビューファインダーを搭載してレンズは光学30倍ズーム機能付きとなる。

PANASONIC「DMC-ZS40」

■PowerShot「N」シリーズの新モデル「PowerShot N100」を展示したキャノン

キヤノンは昨年に引き続き、PowerShotの新シリーズ「N」のニューモデルとして「PowerShot N100」を出展。米国では5月発売予定で349.99ドルを予定する。従来の「N」の後継機となる模様だが、これまでと比べて難の変哲もない普通のデジタルカメラに見えるが、中身はよりクリエイティブな撮影が楽しめるカメラに仕上がっていた。

CANON「PowerShot N100」

最大のウリは撮影した画像に「ピクチャー in ピクチャー機能」として撮影者の姿も映し込める「DualCaptureMode」を搭載したこと。さらに、カメラ側で撮影した写真と動画をストーリー風に生成する「Story Highlight Mode」を新搭載。従来の「N」に搭載していた「Creative Shot」は、4つのモードを追加して機能強化。映像表現にこだわる人にとってはいっそう魅力的なカメラへと発展したことは間違いない。

カメラとしてのスペックは、センサーは有効1,210万画素で従来と同じ。レンズは広角端24mm相当の光学5倍ズーム。従来の「N」は広角端が28mmだったから、これまで以上にワイドな撮影が楽しめるようになった。ただ、従来の「N」ではズーム操作をレンズ周囲のリングでも行えるなど、操作系に個性を感じられたが、「N100」では通常のズームレバーとなり、その面白味は減った気がする。

■富士フイルムはラインナップを拡充した全天候型モデルを展示

富士フィルムは新商品というよりもバリエーションの拡大がメインだった。「X100S」はこれまでシルバーボディだったが、これにブラックバージョンが加わった。前機種でもブラックバージョンが登場していたが、それに倣った形での登場だ。また、X-A1にもこれまではなかったブルー色が加わっていた。

FUJIFILM「X100S」ブラックバージョン

FUJIFILM「X-A1」ブルーバージョン

全天候型モデルのラインナップもいっそう充実した。ブリッジモデルで光学50倍ズーム機能を持つ「FinePix S1」は、これまでの「HS50EXR」の後継機種にあたるモデルで、新たに防塵防水機能を追加。スペックによれば、センサーは1/2.3型1640万画素CMOSセンサーを採用し、5軸光学式手ぶれ補正付き光学50倍(24〜1200mm相当)レンズを搭載。新開発のノイズリダクションはISO12800まで増感できるという。Wi-Fi機能も備える。ボディは結構大型で、ミラーレス一眼カメラと見まがうほど。EVFは92万画素で、液晶モニターはバリアングル式を踏襲した。

このほか、光学50倍の超望遠撮影ができ、Wi-Fi機能を搭載した入門機「FinePix S9400W」、光学36倍ズームレンズ搭載のコンパクト機「FinePix S8600」、Wi-Fi機能を新たに搭載した水中撮影に対応した防水コンパクト「FinePix XP70」などが発表された。

「FinePix XP70」

■カメラ市場に対して強い意気込みを感じさせられたサムスン

日本では販売されていないブランドながら話題を呼んだのが韓国のサムスン電子だ。ここのところ、同社はPhotokinaへの出展を行うなど、カメラ市場に対して並々ならぬ力を注いでいる。いち早く独自フォーマットのミラーレス一眼カメラ「NXシリーズ」を登場させる一方、スマートフォンの発展系として「GALAXY CAMERA」を登場させるなど、独自路線を着々と築き上げてきた。今回のCESではそうした実績を誇示するかのように、広いエリアを展開してこれらの新製品を発表した。

まずミラーレスカメラ「NXシリーズ」では、新型の「NX30」を登場させた。位相差AFとコントラストAFを複合させたハイブリッドAFを採用し、NFCペアリングも可能なWi-Fi機能を搭載。マイク端子も装備した。驚いたのはEVFがチルト式になっていたこと。236万ドットの液晶パネルを組み込み、アイピースを後ろへ引っ張り出すと上方へ傾けられる。また、液晶モニターもタッチパネル機能付きバリアングル式へと進化した。

SAMSUNG「NX30」


SAMSUNG「NX30」のディスプレイ部

そして注目のカメラが「Galaxy Camera 2」。前モデル「Galaxy Camera」の後継機だが、プロセッサーの高速化とNFCに対応にしたのが進化のポイント。一方で、センサー画素数や23-483mm相当となる光学21倍ズーム、4.8型のモニターサイズなどカメラスペックは据え置かれた。OSはAndroid4.1から4.3に進化している。ただ、3G/4Gの通信機能は搭載していない。前モデルは3G通信機能を備えて撮影したその場から送信できることをセールスポイントとしていたが、Wi-Fiでのスマホ連携が当たり前となった今、3G/4G通信機能を搭載する必要性が低くなったということか。ならば、「GALAXY」の名前の意味がない気もするが・・・。

SAMSUNG「Galaxy Camera 2」

■リコーやKodakなども注目の製品を続々と出展

リコーイメージングでは、リコーの全天球カメラ「THETA」の撮影画像に、ブース内で来場者をクロマキー合成するという興味深いコーナーを用意した。合成した画像はtheta360.comにアップロードされ、来場者はアップロード先のURLが記載された紙をもらえ、そのままSNSなどにアップできるというわけだ。また、国内未発表で、K-50から防塵防滴構造、電子水準器、スーパーインポーズを非搭載としたエントリー機「PENTAX K-500」の展示もあった。

実際に合成された画像

リコーの全天球カメラ「THETA」で撮影した画像をクロマキー合成するデモ

今回のCESで隠れた注目ブランドとなったのがKodakだ。ここで発表されたのは、Kodak初となるマイクロフォーサーズカメラで、昨年出展していた試作モデルよりもより量産に近いモデルだ。センサーの画素数は16Mピクセルで、毎秒5コマの連写機能、センサーシフト型手ブレ補正、3型チルト式モニター(92万ドット)、Wi-Fi機能を装備。フラッシュは外付けとなる。組み合わされる標準レンズは12〜45mm/F3.5〜6.3。その他、42.5〜160mm/F3.5〜5.9の中望遠ズーム、400mmF6.7の超望遠レンズも発表された。生産は中国とされるが、正確には不明。

Kodak初となるマイクロフォーサーズカメラ

次に注目されたのは、カメラレンズ型のボディにイメージセンサーやレンズ、バッテリーを内蔵し、Wi-Fi機能でスマホと連携する「PixPro SL」シリーズ。ソニー「QXシリーズ」と同タイプの商品だ。スペックは2タイプ用意され、一つは広角28mm相当から光学10倍の「SL10」で199ドル。もう一つは広角24mm相当から25倍600mm相当の超望遠撮影ができる「SL25」で299ドル。2014年春にも発売が予定されている。

Kodak「SL25」

Kodak「SL10」

このタイプのモデルは“キワモノ”的な眼で見られがちだが、スマホが普及している中でカメラ機能に不満を持つ人は多く、ガジェット的にはかなり注目されているのも確か。その意味で、ソニーのQXシリーズよりも価格面で相当安く、一つの市場を築き上げる可能性は高い。

SL10をiPhoneに装着したところ

関連記事