RMEの新製品をレポート

RME「Digiface AVB」が対応する、次世代伝送方式「AVB」とは?/オーディオ向け新DACも

オーディオ編集部

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2018年06月29日


本発表会にて、発表されたRMEの新製品は下記のとおり。


■Digiface AVB(価格未定)
※2018年秋頃発売予定


RME「Digiface AVB」※2018年秋頃発売予定

Digiface AVBはRME初のAVBインターフェース。AVB環境下において、RMEが誇るTotalMix FX、AVDECCコントローラー・ソフトウェアを用いてのミキシング、ルーティングを行うことが可能だ。

コンピュータとの接続にはUSB3.0ポートを使用し、48kHz時には最大で128ch、AVB方式の特徴でもある192kHz伝送では最大で32chの信号をAVBネットワークに転送できる。RMEのUSBドライバーは、低レイテンシーと動作の安定性で高い評価を受けてきたが、これをAVBネットワークに対しても活用できる点も注目すべきだ。AVBはIEEEによるオープン・スタンダードの規格となるため、コード全てはRMEによって書かれたという。なお、iMac Pro等ではデフォルトでAVB伝送に対応しているため本機のようなインターフェースは必要とせず、その意味でもDigiface AVBはWindows環境でAVB伝送を行うことを可能とする製品という位置づけになる。

この日発表された製品のいくつかには、同社がこれまで積極的な製品展開を行ってきたMADIに加え、新たにこのAVB方式を採用した製品が発表された。RMEの開発者であり、現在は会長という立場でもあるマティアス・カーステンズ氏は「AVBは非常に優れたテクノロジーであり、今後Audio Over IPの分野はAVBへと移行していくと考えている」と話している。

Digiface AVBに付属するRMEによるAVBコントローラーソフトのスクリーンショット

注目なのは、Digiface AVBが「Windows環境で初めてAVBに対応した製品である」ということだ。AVB方式に対応したプロオーディオ機器はPreSonusやFocusrite、MOTUなどすでにいくつか発売されているが、Digiface AVBを用いてAVDECCコントローラーソフトウェアを活用することで、Windows環境でもネットワーク上にあるすべてのAVBデバイスを検出できる。これまでMacにのみ限られたAVB伝送だが、Digiface AVBによってそのメリットはWindowsでも共有できるようになる。

■Digiface Dante(価格未定)
※2018年秋発売予定


RME「Digiface Dante」※2018年秋頃発売予定

Digifaceシリーズのもうひとつの新製品として登場したのは、RME初のDante対応オーディオインターフェース「Digiface Dante」。カーステンズ氏はその特徴を、「USBポートがある側の半分がRME、もう半分がDanteというイメージです。これまでありそうでなかった製品だと思います」と話す。

Digiface Danteに搭載されるのは、4つのイーサネットポートとワードクロック兼MADIとなる2つのBNC端子。イーサネットポートはそれぞれプライマリー×2、セカンダリー×2となっており、スイッチングハブとしても使用できる機能を備える。またアナログ出力としてヘッドホン出力/ステレオライン出力を装備するので、本機1台でモニタリングまで完結できる点も特徴だ。

電源はUSB3.0ポートからのバスパワー駆動となるが、特徴的なのがスタンドアローンで動作させてDante - MADIコンバーターとして活用できる点だ。スタンドアローンで動かす際は別売りの電源アダプターが必要となる。

M-32 AD Pro/M-32 DA Pro(いずれも価格未定)
※2018年秋頃発売予定

RME「M-32 AD Pro」「M-32 DA Pro」※写真はM-32 AD Pro、いずれも2018年秋頃発売予定

今回の発表会にて世界に先駆け日本で初披露となった多目的マルチチャンネル・フォーマット・コンバーター。「多くのチャンネルを使用するプロオーディオの現場では、何かトラブルが起きた際にその原因をひとつひとつ探るのは想像以上のストレスがかかる」(ホルトマン氏)として、M-32 AD Pro/M-32 DA Proはそんな問題点を解決すべくさまざまな工夫が凝らされた製品となっている。ちなみに、M-32 AD ProはADコンバーター、M-32 DA ProはDAコンバーターである。

M-32 Proシリーズの登場背景について解説するマックス・ホルトマン氏

フロントパネルには視認性に優れたLEDを装備しており、接続された機器に何らかのエラーが起きている場合は、このLEDの光り方でそのステータスを遠くからでも簡単に把握することができる。全部で32chを備える本機には、ユーザーが任意の入出力端子を割り当てることができるようにラベルフィールドを用意。トレッシングペーパーにマジックで書き込むほか、RME側では印刷用のテンプレートも用意しているとのことだ。

また、フロントパネル右側に用意されたディスプレイも4隅にそれぞれ「Input」「Output」「Clock」「State」が割り当てられ、エラーが起きている際はその部分の背景が赤で表示されるなど、1Uというサイズながらもプロの現場で求められる視認性の高さを実現している。

本機にも、MADIに加えてAVB方式に対応したイーサネット端子が装備される。この日に合わせて来日したマックス・ホルトマン氏によると、「いま注目が集まるAVB方式に対応したインターフェースのなかでも優れた製品が必要とされてきました。RMEでもAVBについておよそ5年にわたって研究・開発を進めており、その成果を反映させた製品」とその自信をのぞかせる。

「AVBはネットワーク上でオーディオ信号を伝送する帯域が確保されているので、レイテンシーの面で非常に有利です。また、アメリカのシスコシステムズもこれからは映像も含めて運用できるAVBの良さに着目していますし、AES 67も“より良くなったイーサネット”という意味の文献を発表しています。また、M-32 ProはMADIとAVBのコンバートも可能です。現在は私達の機器も含めて多くの現場がMADIで動いていますが、AVBと連携させるものという意味でも、M-32 Proの価値は大きなものがあると思います」(ホルトマン氏)。

オーディオクオリティにもこだわりを持つことをホルトマン氏は強調。例えば、各チャンネルで変更できる+24/+19/+13dBuのリファレンスレベルについては全てアナログドメインで行っているほか、12レイヤーのPCB基板を採用したバランス構成回路、RMEのお家芸でもある最新世代のSteadyClock FSの採用など、随所にRMEならではの技術が盛り込まれていることも見逃せない。

■TotalMix Remote

RME「TotalMix Remote」のIpad上での画面

RMEが誇るミキシングソフトウェア、TotalMix。先日、TotalMix FXとなって以来の大幅なアップデートを経てTotalMix FX 1.5がリリースされたが、それに伴いWi-Fiを活用したリモートコントロールに対応。Mac、Windows、iOS向けのアプリケーションのTotalMix Remoteを使用して、同一ネットワーク上の様々な場所からTotalMix FSをコントロールすることが可能となった。今回、その詳細がRME本国から日本のメディアへ向けて初めて発表された。

カーステンズ氏は、「TotalMixは高い柔軟性とユーザビリティを持ちながら、レイテンシーがほとんどないデジタルミキサーとして、高く評価されています。TotalMixをリリースした2001年当初はWindows98やMac OS 9が主流でしたが、これほど古くからあるアプリケーションがいま、まさかWi-Fiでコントロールできるようになるとは誰も思わなかったと思います」と話す。

TotalMix Remoteの動作をデモするカーステンズ氏。その低いレイテンシーによる使い勝手をアピールする

「Total MixはローカルのPCやオーディオインターフェース上で動作するアプリケーションでしたが、それをリモートでコントロールするとなるとMackie ControlやMIDIで動かす必要がありました。しかし、普通にやったのでは、レイテンシーやCPUなどさまざまな問題があり、ブラウザでやるにしても限界がありました。今回のTotalMix Remoteの登場で、ローカルのTotalMixと同じ画面で、負荷も少なくレイテンシーもほとんどなくリモートコントロールを行うことが可能となります」(カーステンズ氏)

TotalMix FX上からの設定画面。2001年以降の製品であれば使用できることも実にRMEらしいポイント

RMEらしいのが、TotalMix FX 1.5は2001年以降に同社から発売されたMADIface以降の全てのモデルで使えるということ。つまり、TotalMix Remoteは、このTotalMix FX 1.5を活用すれば古い製品でも使用できるということになる。

例えば、レコーディング中に各ミュージシャンがプレイしやすいように、それぞれのプレーヤー自身がミックスバランスを個別に調整するなど活用方法は様々としている。また、DanteやAVB、MADIなどさまざまな長距離伝送規格を活用して大規模なコンサートシステムを構築した場合、エンジニアは簡単に手元で理想のミックスバランスを構築できるようになった。こうしたシチュエーションにおける利便性の向上こそが、今後RMEが考えるソリューションの核となることは想像に難しくない。事実、同日に発表された機器の説明では、必ずこのTotalMix Remoteでの自由なコントロールが可能な点がアピールされていた。

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