連続レポート<後編>

マランツ「SA-12」のオリジナルDACを自分好みに追い込める、“24通りの音質カスタマイズ”を検証

山之内正

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2018年12月12日
マランツのSACDプレーヤー/USB-DAC「SA-12」が独自のディスクリートDACを搭載したことの恩恵は、その優れた音質だけにとどまらず、DACに関連したパラメーターがユーザーに開放され、24通りもの音質設定で好みに音質を追い込めることにまで及んでいる。しかし、設定の自由度が高いだけに「ベストの設定」を追い込む難しさもある。

前回、SA-12のオリジナルDACの詳細を開発陣に聞いたが、それに引き続き、今回はこの24通りの音質設定について改めてその効果の詳細を説明してもらい、各パラメーターが音質にどのような影響を与えるのか検証した。


マランツ「SA-12」¥300,000(税抜)


各パラメーターを組み合わせて24通りの音質が設定できる

ブランドが目指す理想の音を突き詰めるためには回路設計に独自のノウハウを投入する必要があり、音を左右するキーデバイスのDACもその例外ではない。ディクリート構成のオリジナルDACを積むことで「マランツの音」を目指したSA-10とSA-12はまさにその発想を具体化した製品であり、同社のデジタルプレーヤーの進化を次のステップに進める役割を担う。

オリジナルDACがもたらす恩恵の一つとして柔軟なカスタマイズ機能を見逃すわけにはいかない。前回のインタビューでも触れているように、音質に関わる4種類のパラメーターを独立して変更することで計24通りに及ぶ設定を切替え、音色の変化を楽しむことができるのだ。ここではその具体的な方法と音質の変化を紹介しつつ、実際に試した結果を紹介することにしよう。


変更できるのはデジタルフィルター、ディザーなど4つの項目

まずは基本的な仕組みを理解しておきたい。設定変更の対象となるのはCDとSACDハイブリッド盤のCD層、そしてUSB入力時にはFLACなどPCM信号のみで、SACD、ハイレゾ音源ともにDSD信号では変更を適用することはできない。

それはオリジナルDACの構成と関わりがある。PCM信号をDSD信号に変換する前段の回路「MMM-Stream」で複数のパラメーターそれぞれに選択肢を用意し、その組み合わせで計24通りの設定を選ぶというのが基本的な仕組みで、それらの設定変更はDSD信号をアナログ変換する後段(MMM Conversion)の処理には適用されないのだ。

変更可能な4種類のパラメーターは次の通り。

デジタルフィルター 設定内容:1/2

ディザー 設定内容:Dither1/Dither2/オフ

ノイズシェイパー(+レゾネーター) 設定内容:3rd-1/3rd.-0/4th-1/4th-0


設定変更はデジタルフィルターについてはリモコンの専用ボタン、その他はセットアップメニューから該当する項目を呼び出し、カーソル操作で目的の設定を選ぶという手順。設定内容はデジタルフィルター2種類、ディザー2種類またはオフで計3種類、ノイズシェイパーとレゾネーターの組み合わせ4種類で、合計24通りということになる。


各パラメーターの基本的な効果を改めて紹介

各設定の動作内容は取扱説明書にも記載されているし、インタビュー記事でも触れているが、あらためて概要を紹介しておこう。

デジタルフィルターは音の変化が一番大きい項目だ。フィルター1はスローロールオフと呼ばれる緩やかな減衰特性のフィルターで音のにじみが少なく、正確な空間描写を引き出す。フィルター2は1に比べると急峻な減衰特性のフィルターで、アナログ的な音調が狙える。

ノイズシェイパーの3rd、4thはそれぞれ3次、4次を意味し、フィードバックの次数を表す。次数が増えるほど可聴帯域のノイズが減る一方、帯域外のノイズは増えるという関係になり、3次よりは4次の方が高S/Nに聴こえる。レゾネーターも可聴帯域のノイズを下げる効果があり、0がオフ、1がオンなので理論上は「4th-1」が最も高S/Nということになるが、空間表現の解像度がやや低下する場合があり、万能というわけではない。

ディザーはランダムな微小ノイズをあえて加えることで演算器の変換誤差を抑える効果があり、なめらかさを引き出すなどの音色変化が生まれるが、ノイズを加える処理なのでS/Nは若干低下してしまう。1はマランツ独自のディザー、2は一般的なディザーという違いがあり、S/Nの悪化は1の方が少ない。オフを選ぶとS/Nは上がるものの、量子化器の誤差による影響が顕在化する可能性がある。

試聴室で実際に各種設定を変えながら確認

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