「HT-Z9F」「HT-X9000F」の企画&開発担当者インタビュー

<CES>上向きスピーカーなしでアトモス対応を実現。ソニーの新サウンドバー開発意図を担当者に訊く

編集部:小野佳希
2018年01月12日
米国ラスベガスで開催されている2018 International CESにて、ソニーは、3.1chモデルとして世界で初めてドルビーアトモスに対応したサウンドバー「HT-Z9F」と、2.1chサウンドバー「HT-X9000F」を発表。製品の企画と開発に携わった櫻庭佑輔氏、北戸英理氏の両名に、製品の特徴と開発意図を訊いた。

ソニービデオ&サウンドプロダクツ(株) Sound商品企画2課 櫻庭佑輔氏、ソニービデオ&サウンドプロダクツ(株) 音響設計1課 北戸英理氏

HT-Z9F

両機はともにバータイプの本体スピーカーとワイヤレスサブウーファーによるシステムで、ドルビーアトモスおよびDTS:Xに対応。Z9Fは3.1chサウンドバーとして世界で初めてのドルビーアトモス対応モデルとなる(関連ニュース)。

大きな特徴が、フロントスピーカーだけで7.1.2ch構成の3次元立体音響を仮想的に実現する「Vertical Surround Engine」を新たに搭載したこと。

HT-X9000Fのバースピーカー部

「今回の2モデルは、上向きに音を出すイネーブルドスピーカーを搭載していません。Vertical Surround Engineによって、フロントに向いたスピーカーだけで立体音響を実現しているのです」と両名は胸を張る。

バーチャルサラウンドの技術としては、同社は「S-Force/S-Force PROフロントサラウンド」で長い実績を持っている。「今回の2モデルも引き続きS-Force PROフロントサラウンドを搭載します。水平方向をS-Forceで作り、高さ方向をVertical Surround Engineで処理しているイメージです」とのことだ。

イネーブルドスピーカーから出した音を天井に反射させないという方法を採用しているわけだが、ドルビーアトモスによる立体音響を実感できるレベルを実現するまでには、やはりかなり苦労したようだ。「ドルビーさんにご協力いただき、1年以上に渡ってやり取りを重ねました」という。

フロント向きスピーカーだけで立体音響を実現

同社サウンドバー最上位機のST5000は上向きのイネーブルドスピーカーを装備

実際、バーチャルでのアトモス対応実現はメリットも大きい。吹き抜けだったり、天井が斜めになっていたりなどで音の反射を利用しづらい部屋でもドルビーアトモスを楽しめるのだ。

また、今回の2モデルは小型な点も特徴。「そもそも、(リアルのマルチチャンネル環境ではなく)サウンドバーを購入しようという方は、お手軽さを求めているわけです」と小型化による設置性の良さへのニーズがあると説明。そこで今回のHT-Z9FとHT-X9000Fはイネーブルドスピーカーを省いたことで小型化し、より設置性を高めた。

「一方で、世の中にはドルビーアトモスのコンテンツがどんどん増えていっています。『小さくしたいけど豊かなサウンドは楽しみたい』というお客様のために、今回Vertical Surround Engineを開発したのです」と説明する。

なお、リモコンには「VERTICAL S.」ボタンを装備。同ボタンを押すことで、テレビ番組を始めとする非アトモスコンテンツも7.1.2chにアップスケーリングして楽しめる。

リモコンに専用ボタンを装備

「S-Forceを様々な製品に搭載してきたように、Vertical Surround Engineも今後広く使っていきたいと考えています。まだ具体的にお話しできるものがあるわけではありませんが、今後の展開もぜひご期待いただきたいですね」と語ってくれた。

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