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ウッドコーンスピーカーと専用チューニングアンプのセット

JVC、名刺サイズの超小型ウッドコーンオーディオシステム「EX-NW1」

2016/11/15 編集部:小野佳希
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JVCケンウッドは、名刺サイズの超コンパクトな“ウッドコーンスピーカー”と、同スピーカー専用チューニングをほどこしたハイレゾ対応ミニアンプをセットにしたオーディオシステム「EX-NW1」をJVCブランドから12月上旬に発売する。オープン価格だが65,000円前後での実売が予想される。

EX-NW1

■名刺サイズスピーカーで“本当に机の上で使えるサイズのデスクトップコンポ”に

オーディオ協会が先日開催した「音のサロン」で参考展示されていた製品(関連ニュース)が正式発表された格好。「“本当に机の上で使えるサイズ”のデスクトップコンポをウッドコーンスピーカーで実現すること」をコンセプトに開発したという。

アンプ部

背面端子部

このコンセプトに基づき、3cmウッドドライバーのマイクロウッドコーンスピーカーを採用。そして、そのウッドコーンで様々な音楽ソースを再生できるよう専用チューニングを施したミニアンプとセットにしている。

名刺サイズのコンパクトなスピーカーを採用

スピーカーの背面部

なお、このアンプは同時発表されたケンウッドブランドの「KA-NA7」をベースに、前述の専用チューニングやさらなる振動対策を施すなどしたもの。アンプ部の実用最大出力は10W+10Wで、入力端子にはPCイン、USB、光デジタル、アナログオーディオ入力を装備。USBメモリーに保存した192kHz/24bitまでのWAV/FLAC再生などに対応する。また、BluetoothではNFCにも対応しており、NFC対応スマートフォンなどとのワンタッチペアリングが行える。

本機のリモコン

■様々な音質的こだわりを投入

名刺サイズのコンパクトなウッドコーンスピーカーはもちろん新開発のもので、30mmのフルレンジウッドコーンスピーカーユニットと40mmパッシブラジエーターを搭載した1ウェイ密閉型を採用。小さなバスレフダクトから発生する風切音ノイズを低減するため、バスレフ方式ではなくパッシブラジエーター方式を採用した。

小型化によるデメリットを工夫により改善することでデスクトップに起きやすい超小型を実現

また、ダンパーには新開発の蝶ダンパーを採用。口径が小さい今回のモデルでは、一般的に使われるコルゲーションダンパーでは十分な振幅が確保できずにf0が上がってしまう問題に対処するため、振幅のリニアリティを最大限確保できるよう何度も試作検討を繰り返して形状を決めた蝶ダンパーを採用したという。

新開発の蝶ダンパーを採用

新開発の小型ウッドドライバーとパッシブラジエーターを採用

そして、エンクロージャー内部に配置する響棒のサイズと取り付け位置は1mm刻みで検討した上で決定。素材にはスプルース、チェリー、竹を適材適所で配置し、これらによって、駆動力が小さく非力な小口径ウッドドライバーの問題点をカバーしている。

響棒のサイズと取り付け位置などを1mm単位で調整

さらに、音像を前側に引っ張り出すために、チェリー素材とスプルース素材のハイブリッド型人口熟成響棒を新採用。バッフル板のドライブユニット下に組み込んだ人口熟成チェリー響棒と人口熟成スプルース響棒は、組み合わせるサイズ比率で大きく音質変化するため、こちらも1mm刻みでの音質検討を行ったという。

加えて、不要振動を低減し、重量付加することで解像度向上と低重心化を狙って採用しているウッドブロックには、メイプル材に人口熟成処理を施して採用。これによって音場や空間表現をより大きくすることを狙ったとしている。

また、吸音素材にはメイプルチップを採用して解像度の向上を図った。加えて、机からの反射音の影響軽減と、音方向を耳に近づけることを狙って傾斜をもたせた専用スタンドを採用。さらに、スタンドエンクロージャーを固定する3本のネジの中の1本のみをステンレスネジにして音質の最適化を図ったほか、底部に竹響棒を配備することによって重心の低い低音再生へとつなげている。

そして重心バランスを整えるために真鍮のおもりを組み込み、金属特有の共振音低減のためにはポロン材ドーナツリングを装備。真鍮おもりの固定部には、銅ワッシャとステンレスネジを採用し、これにより解像度向上を実現したという。

スピーカー部底面

アンプ部には、銅メッキネジと、場所によって異なる金属のワッシャを採用して振動対策を実施。アルミ、銅、真鍮ニッケルメッキと異種金属のワッシャを箇所ごとに最適に使用することで高いレベルでの振動対策を図っている。そのほか、部品レベルで振動吸収部材の装着も行っている。

ベースモデルのケンウッド「KA-NA7」(左)との底面比較

材質の異なるワッシャーを使い分けることで高音質化を図った

■JVCの音質マイスターやビクタースタジオ長が語るウッドコーンの魅力

JVCケンウッドの音質マイスターである今村智氏は、「特に都会に住む人にとっては、部屋に広めの空間を持つのは難しい時代になってる。そうした、狭い環境で音楽を聴いている人たちにとっては9cm径などでも邪魔なサイズだ」と、ウッドコーンスピーカーを超小型化した理由を説明。

JVCケンウッド 今村智氏

そして、「水平方向の指向特性のよいスピーカーは、たいていはスピーカーの位置より後ろに音像が定位する。しかし、小さな音しか出ないスピーカーで音像が後ろに定位すると音にリアルさが出てこない」とコメント。そのため、前述したような工夫で音像を前に出したという。

また、有名ミュージシャンのレコーディングなどが多数行われるビクタースタジオのスタジオ長である秋元秀之氏は、ウッドコーンスピーカーが同スタジオでも長年使われていることに改めて言及。

ビクタースタジオ 秋元秀之氏

スタジオでは、CD用にサンプリングレートやビットレートを落とす前のマスター音源をウッドコーンで確認してきたとし、「ときにはハイレゾ以上である音楽制作環境でのクオリティを、ウッドコーンは常に再生してきた」と語る。

一方、フルレンジの仕様上、これまでのウッドコーンすべてが40kHz以上の周波数帯域再生、つまりハイレゾに対応しているわけではないことにも言及。「では、フルレンジスピーカーでハイレゾを聴いてはいけないのか。いや、フルレンジウッドコーンはずっと制作現場でハイレゾクオリティを再生してきた」と述べ、ウッドコーンは「Tuned by VICTOR STUDIO」だとコメント。

「これは、『ハイレゾも安心して楽しんでください』という音楽制作現場からのメッセージ」だと語り、ウッドコーンの魅力を改めてアピールした。

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