HOME > レビュー > JVC「EX-N50」レビュー - 木の特性を理解したJVCならではのサウンド

JVC「EX-N50」レビュー - 木の特性を理解したJVCならではのサウンド

公開日 2014/03/18 11:30 高橋敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
木材の振動板とキャビネットを持つスピーカーを顔に、ブランドの技術の粋を結集させたコンパクトコンポーネントシステムが「EX-N50」。上位モデル「EX-N70」と同じく、ウッドコーンオーディオシリーズとして初めてのディスクドライブ非搭載モデルだ。


EX-N50
メインの再生ソースはネットワーク。他にはUSBメモリー再生、光と同軸のデジタル入力を備える。再生可能ファイルは、ネットワーク再生の場合でPCM系は最大192kHz/24bit、DSDは2.8MHzまで。

EX-N50のレシーバー部

EX-N50のレシーバー部の背面

同社が磨き続けてきた音質補間技術の最新版、New「K2テクノロジー」も搭載。ビット拡張と周波数帯域拡張を施し、原音が持つ表現力や空気感を再現する。

それを受けるアンプもNew「DEUS」に進化。可聴帯域内のノイズを従来のデジタルアンプに比べて極限まで低減し、ハイレゾの繊細な表現力も損ねない。

そして製品の顔であるスピーカー。核心技術である木製振動板「ウッドコーン」に加えて、キャビネットの材質や設計も見事。箱はアルダーとチェリーの無垢材で、チェリーの響棒、ドライバー背面のウッドブロック等でチューニングを詰めている。バスレフポートの周囲のフェルトのリングも細かな音質調整のひとつだろう。

振動板にはもちろん木を採用

バスレフポートの周囲にはフェルトリングを配し、ここでも音響調整をおこなっている


キャビネットはチェリー材による響棒構造を採用

ウーファーの後部にはウッドブロックを装着しユニットの余分な振動を吸収

試聴レビュー:
木を知り尽くしたJVCだからこそ実現できた、素晴らしく穏やかに整った音調


聴くと、素晴らしく穏やかに整った音調に感心させられる。それでいて描写が甘かったり薄かったりすることはなく、描き込んだ上での整いだ。

上原ひろみさん「MOVE」では、ピアノの艶、繊細にリズムを刻むハイハットシンバルの薄刃の透明感、ドラムスの太鼓の素直な太さなど、この曲でほしい要素をそれぞれ高いレベルで満たす。バシンと濁点を聴かせた荒っぽい迫力は弱まるが、演奏のニュアンスのロックとジャズのバランスの重心が、少しジャズ側に移ったという程度だ。

坂本真綾さん「30minutes night flight」では、冒頭のシンセが広げる空間、そこに配置されていく様々な音といった光景を綺麗に再現。フルレンジスピーカーの強みである定位の良さが発揮されるところだ。そして声が良い! 声のどの要素が良いというよりも、気に障るところが何ひとつない。K2をオンにすると全体が華やぐ印象。音場が少し明るくなり、細かな成分も見えやすくなる。

他、Perfume「Enter the Sphere」あたりでは、±4段階のイコライザーと低音強化機能「AHB」も活躍。特にAHBはかなりディープでいかにもクラブ的な低音を加えてくれる。

ただ単に木材を使えば良い音がするわけではない。長年の経験を基に、木材の特質を深く理解して適切な設計と加工を施したからこそ実現した、木の響きを活かしたオーディオ的にも優れたサウンド。その現在の到達点のひとつがこのモデルだ。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE