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音展 in AKIBA 2009

音楽の真髄をより味わうために −「ネットワークオーディオ」をリン社長&クリプトン担当者が語る!

公開日 2009/11/14 20:33 Phile-web編集部
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13日より秋葉原にて開催されている「音展」。本日、富士ソフトビル5Fにて、山之内正氏をナビゲーターに迎えたイベントが開催された。

イベント開始前のホール入口のようす。開場前から多くの方が詰めかけた

富士ソフト5階のアキバホールは満員御礼。急遽追加椅子を用意したほど

「あらゆるパッケージソフトを超えたハイビット・ハイサンプリングの世界〜高音質音楽配信ソースの聴き比べ〜」と題されたセミナーには、ネットワークオーディオプレーヤーの開拓者“DSシリーズ”を世に送り出した英リン・プロダクツのギラード・ティーフェンブルン社長や、CDを超えるクオリティの音源を配信しているクリプトンHQMの事業責任者・樋泉史彦氏が登場。ホール前には開始前から多くの人が集まり、約200人収容できるホールは急遽追加椅子を用意したほどの大盛況だった。


イベントのナビゲーターを務めた山之内 正氏。自身もKLIMAX DSユーザーだ
最初に登壇した山之内氏は、イントロダクションとして氏がKLIMAX DSを自宅に導入することになったきっかけを紹介。「最初DSシリーズについて聞いたときは“ディスクではなくネットワークを使って再生する”というのがどんなシステムなのか良く分からなかったし、PCを使うということで、クオリティ面に懸念を抱いた。しかし、実際に音を聴いてみて全ての疑問は氷解した。レコーディングの時に聴いたのと同じ音がする。このクオリティの音を毎日家庭で聴けるとは、と感動しKLIMAX DSを導入した。いまや家で音楽を聴くときは7割方DSを使っているほどだ」とレコメンドした。

■「音楽の素晴らしさをより楽しんでもらうために」− LINN“DSシリーズ”の目指すもの

リンのギラード・ティーフェンブルン氏は「2007年にKLIMAX DSを世に送り出したとき、『リンは狂ったんじゃないか』と言われたものです(とりわけ日本ではそうでした!)」と語る。

英リン・プロダクツ ギラード・ティーフェンブルン氏

「『ドライブもない、操作パネルもない…一体この箱は何なんだ?』という人々の反応に対して、わたしたちはまず音楽をストリーミング再生するということが、ピュアオーディオ愛好者も満足できるクオリティを持っていることを分かっていただく必要がありました」。

そこで同社はこの2年間、世界中でDSをデモンストレーションし、さまざまな人たちにネットワークの重要性とDSシリーズの魅力を訴求してきたという。

「『全てはネットワークでつながってゆく』という考えのもとに訴求を行ってきましたが、いまや時流はわたしたちが思い描いていたとおりになっています」。

実際この2年間で、同社CDプレーヤーの売上が減少した一方DSシリーズは伸びているとのこと。またこの1年で「LINN RECORDS」のCDの売上げは7〜8割ほど減少(ギラード氏:「世界的経済状況の影響もあるとは思いますが」)。ダウンロード販売が占める割合が大きくなり、とりわけ「Studio Master」カテゴリの高音質コンテンツは、いまやダウンロード販売の約75%を占めるまでに増加しているのだという。

「これまで音楽はCDなどフォーマットによってクオリティが制限されてきましたが、音楽配信の登場により、スタジオマスターのように超高音質なコンテンツの提供も可能になりました。LINN RECORDSでも24bit録音に対応すべく機材を刷新しています。これはアーティストにとって嬉しいことだし、いい音で聴けるのですから音楽愛好家にとっても喜ばしいことですよね」。

デモシステムとしてKLIMAX DS、スピーカーAKURATE 242などが使用された

しかしギラード氏が強調するのは、スペック的なクオリティの高さだけではない。

「とかくフォーマットなどテクニカルな部分に注目してしまいがちですが、何より大切なのはもっとエモーショナルな部分 − つまり、『音楽の素晴らしさをどれだけ感じられるか』だと、わたしたちは考えているのです」

その考えに基づき、実際に音の違いを体感してもらいながら、DSシリーズの良さを多くの人々に広めてきたのだそう。会場でも同一音源をMP3とスタジオマスター音源で比較試聴してもらうデモが行われた。

※なおPhile-webでは、ギラード氏と山之内氏による特別対談を実施し、DSシリーズについて更に深いお話をうかがった。こちらの内容は後日掲載予定なのでどうぞお楽しみに!

熱く言葉を交わしたギラード氏と山之内氏

■「メディアの制約を受けない“音楽配信”が実現する高音質」− スタジオクオリティの音質を楽しめるクリプトンHQM


クリプトン 樋泉史彦氏
(株)クリプトンの樋泉史彦氏は「スタジオではハイビット・ハイサンプリングで録音されているのに、メディアやフォーマットの制限によりユーザーはそれを楽しめないという状況がありました。『ネットワークを利用して高品位な音楽を届けたい』という思いから、DRMフリーの高音質音楽配信サービス『KRIPTON HQM(High Quality Music)』をスタートしたのが2006年末。2007年のリン・DSシリーズの登場にはとても勇気づけられました」と振り返る。

「KRIPTON HQM」はカメラータ・トウキョウのコンテンツをCD以上のクオリティ(96kHz/24bit)で配信。DRM(Digital Rights Management)フリーのため、複数のPCなどで自由に再生できるのが特徴だ。また、配信だけでなくパッケージメディアでの販売も実施している(関連ニュース)。


デモに使われたのはKLIMAX DSとクリプトンのスピーカーK-1000X
「音質・演奏ともに高品位なコンテンツを提供することを目指しています」と語る樋泉氏。サンプリングレートや量子化ビット数による音楽の波形を見比べながら、通常のCDと同等の44.1kHz/16bitの音源と、192kHz/24bitの音源を聴き比べるデモが行われた。

なおKRIPTON HQMはDRMフリーであるが「今のところ不正使用はない」とのこと。「万一不正使用があった場合でも、電子透かしで判別が可能です」。なお電子透かしは音質への影響はないとのことだ。

樋泉氏からは「デジタル音楽再生ではジッター対策が大切。ジッターは音楽の透明感・定位感に如実に影響を与えます。ファイルのフラグメンテーションが進行してしまい、アクセスする速度が低下するのにも気をつけないといけません。それにインターコネクトケーブルやスピーカーケーブルなどには特に注意を払いたいですね。LANケーブルは"カテゴリー7"の製品を選んだ方がベターです。価格はそんなに変わりませんが、高音が柔らかくなるなど音質に差が出ます」といった具体的なアドバイスも飛び出した。なお同社の「KX-1000P」は発売を半年延期して最適なチューニングを実施したのだという。

山之内氏は「スタジオで録音したのと同等の“オリジナルの音”がそのまま家庭で楽しめるなんて、今までなかったこと。声の柔らかさ、ブレスのリアルさなど、オリジナルの持つ強み − 言うなれば音楽の真髄を味わわせてくれる」と賞賛。「このようにオリジナルに近いソースを楽しむには、ただUSBでつないで再生すれば良いというものではない。PCに起因するノイズやジッターなどへの対策が不可欠だ。今までのオーディオとは少し注意すべきポイントが違うかも知れないが、その分、追求し甲斐のあるジャンルだと感じている」と締めくくった。


ユーザーからの率直な質問に力強く答えたギラード氏
イベントの最後にはユーザーからギラード氏に対して「DSシリーズはWMAの再生には対応しないのですか?」との質問も。「DSシリーズは既存のCDプレーヤーと違い、アップデートによっていろいろなフォーマットに対応できるのが特徴ですから、WMAにも必ずや対応します」と力強く約束し、「こうやってどんどん進化していくポテンシャルを持っていますから、DSシリーズは皆さんと長くつきあえる製品になると思います」とコメントを添えた。

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