読者とともに体験する音響ハウスの特別な時間
山本 剛トリオの公開ライヴ録音をレポート!「季刊・オーディオアクセサリー」最新号の付録で一足早く体験できる
明日25日に発売となる最新の『季刊・オーディオアクセサリー196号』では、オーディオファンにとってお馴染みの名ピアニスト・山本 剛のサンプラーCDが付録となる。このサンプラーには、過去に山本 剛が録音した音源に加えて、新たに録り下ろされた“ライヴレコーディング”から「All The Things You Are」が収録される。その収録現場の様子をレポートしよう。
今回の“ライヴレコーディング”は、東京都内の優秀録音スタジオとして知られる「音響ハウス」第一スタジオにて収録された。昨年、『季刊・オーディオアクセサリー』『季刊・アナログ』の誌面などでスタジオライヴへの参加者を募集。抽選によって選ばれた幸運な約20名のオーディエンスを迎え、レコーディングが行われた。その模様は3月5日に発売されるアルバム『REQUESTS -Tsuyoshi Yamamoto Trio LIVE』で楽しむことができるが、今回、雑誌のためにそのうち1曲を特別提供いただき、一足早くアルバムの内容を体験できる。
ちなみにアルバムのタイトルが「REQUESTS」となっているのにも意味があり、こちらも事前に公募された「山本剛 トリオで聴きたい曲」から14曲が選定されている。ジャズを中心にレパートリーの広い山本だが、今作では映画音楽からジャズのスタンダードナンバーまで、幅広い楽曲を披露している。ドラムは香川裕史、ドラムスは大隈寿男と、山本とも付き合いの長い芸達者が脇を支える。
録音はこちらも名手・神成芳彦が担当。TBMレーベルで長年タッグを組んできた旧知の仲だけに、今作の録音へのこだわりもひとしお。スタジオに観客をいれた形でのライヴレコーディングという珍しい試みで、緊張感と、同時に勝手知ったるメンバーに囲まれたリラックスした雰囲気がないまぜとなった、独特の雰囲気の中でレコーディングはスタートした。
イベントの冒頭、担当ディレクターから今回の録音は「ライヴレコーディング」としてディスクユニオンのDIWレーベルから発売されることが改めて告知されるとともに、咳払いなど、ちょっとした音もすべて収録されてしまうのでその点は注意してほしいとアナウンス。だが、拍手や声掛けはOKということで、ライヴならではの臨場感はぜひ伝えたいとの説明があった。
第一スタジオ内の左に山本のピアノ、左手奥に香川のベース、そして右側に大隅のドラムと並び、手前側に横3列の座席を設け、オーディエンスは座ってライヴを鑑賞する。1曲目の「アリス・イン・ワンダーランド」から、山本のピアノの繊細な表現力に心が躍る。いつくしむように、ピアノを愛でるように繰り出される音の響きが美しく、トリオの描き出す世界観にグッと引き込まれてしまう。3曲目の「マイルストーンズ」ではヒートアップする大隅ドラムに触発されるように、山本のピアノもテンションを高める。お腹に響くキックドラムのパワー感は、演者との距離が近いライヴならではの大迫力だ。
6曲を収録し終えたところで一旦休憩。スタジオからコントロールルームに移動すると、こちらでは今“録ったばかり”のプレイバックがDYNAUDIOのモニタースピーカーから再生されている。これは面白い!まさに今、生で聴いたばかりの音が、録音機材を通ってそのままに再現されてくる。山本のピアノはどこまでも瑞々しく、香川のベースの重みは太くそれでいてしなやかに音楽を支える。目の前で時間が巻き戻ったかのような、衝撃の体験である。
厳密に言えば、もちろんやはり“生音”と録音された音は違う。特に大隅のドラムは、ブラシやスティックを使い分け、そのたびごとに新鮮な音を繰り出してくる。スティックも頭かおしりか、どちらで叩くかによって音は全く違ってくる。そんな微細なニュアンスが、録音でどこまで再現できているか…。打楽器の瞬発的な立ち上がりや余韻の残り方など、“録音・再生の難しさ”について改めて教えてくれる。
後半の白眉はやはり「ミスティ」。待ってましたとオーディエンスのテンションも最高潮。ピアノのメロディの美しさに陶然としながらも、炸裂する大隅のドラミング・テクニックに目も耳も奪われる。前半はブラシをメインに、後半はスティックを活用し、微妙な音の違いを演出。細いスティックの方が若干甲高い音になるといった、生ライヴだからこそわかる微妙な音の違いは、改めて新鮮な感動をもたらしてくれた。
「季刊・オーディオアクセサリー」付録CDに収録される「All The Things You Are」。自宅のオーディオシステムで改めて聴いてみると、硬質感のあるピアノタッチのなめらかさは自然で豊穣、スタインウェイの豊かさそのもので、音響ハウスのスタジオの空気感をまざまざと思い出す。
特にイントロのピアノソロに続いて、香川のベースと大隅のドラムがインする瞬間は、あの場の緊張感まで見事に再現されるよう。ライヴレコーディングの醍醐味をたっぷり味わわせてくれる。ミュージシャンの表現の細部まで、余さず捉え切ろうとする神成のレコーディングスキルにも改めて驚嘆させられる。
オーディオファンの方は、ぜひご自宅のオーディオシステムにてこのサウンドを体験してほしい。3月に発売予定の『REQUESTS -Tsuyoshi Yamamoto Trio LIVE』が、ますます楽しみになること間違いないだろう。
■音響ハウスでの“ライヴレコーディング”を敢行
今回の“ライヴレコーディング”は、東京都内の優秀録音スタジオとして知られる「音響ハウス」第一スタジオにて収録された。昨年、『季刊・オーディオアクセサリー』『季刊・アナログ』の誌面などでスタジオライヴへの参加者を募集。抽選によって選ばれた幸運な約20名のオーディエンスを迎え、レコーディングが行われた。その模様は3月5日に発売されるアルバム『REQUESTS -Tsuyoshi Yamamoto Trio LIVE』で楽しむことができるが、今回、雑誌のためにそのうち1曲を特別提供いただき、一足早くアルバムの内容を体験できる。
ちなみにアルバムのタイトルが「REQUESTS」となっているのにも意味があり、こちらも事前に公募された「山本剛 トリオで聴きたい曲」から14曲が選定されている。ジャズを中心にレパートリーの広い山本だが、今作では映画音楽からジャズのスタンダードナンバーまで、幅広い楽曲を披露している。ドラムは香川裕史、ドラムスは大隈寿男と、山本とも付き合いの長い芸達者が脇を支える。
録音はこちらも名手・神成芳彦が担当。TBMレーベルで長年タッグを組んできた旧知の仲だけに、今作の録音へのこだわりもひとしお。スタジオに観客をいれた形でのライヴレコーディングという珍しい試みで、緊張感と、同時に勝手知ったるメンバーに囲まれたリラックスした雰囲気がないまぜとなった、独特の雰囲気の中でレコーディングはスタートした。
■コンソールルームで聴くプレイバックは新鮮な体験
イベントの冒頭、担当ディレクターから今回の録音は「ライヴレコーディング」としてディスクユニオンのDIWレーベルから発売されることが改めて告知されるとともに、咳払いなど、ちょっとした音もすべて収録されてしまうのでその点は注意してほしいとアナウンス。だが、拍手や声掛けはOKということで、ライヴならではの臨場感はぜひ伝えたいとの説明があった。
第一スタジオ内の左に山本のピアノ、左手奥に香川のベース、そして右側に大隅のドラムと並び、手前側に横3列の座席を設け、オーディエンスは座ってライヴを鑑賞する。1曲目の「アリス・イン・ワンダーランド」から、山本のピアノの繊細な表現力に心が躍る。いつくしむように、ピアノを愛でるように繰り出される音の響きが美しく、トリオの描き出す世界観にグッと引き込まれてしまう。3曲目の「マイルストーンズ」ではヒートアップする大隅ドラムに触発されるように、山本のピアノもテンションを高める。お腹に響くキックドラムのパワー感は、演者との距離が近いライヴならではの大迫力だ。
6曲を収録し終えたところで一旦休憩。スタジオからコントロールルームに移動すると、こちらでは今“録ったばかり”のプレイバックがDYNAUDIOのモニタースピーカーから再生されている。これは面白い!まさに今、生で聴いたばかりの音が、録音機材を通ってそのままに再現されてくる。山本のピアノはどこまでも瑞々しく、香川のベースの重みは太くそれでいてしなやかに音楽を支える。目の前で時間が巻き戻ったかのような、衝撃の体験である。
厳密に言えば、もちろんやはり“生音”と録音された音は違う。特に大隅のドラムは、ブラシやスティックを使い分け、そのたびごとに新鮮な音を繰り出してくる。スティックも頭かおしりか、どちらで叩くかによって音は全く違ってくる。そんな微細なニュアンスが、録音でどこまで再現できているか…。打楽器の瞬発的な立ち上がりや余韻の残り方など、“録音・再生の難しさ”について改めて教えてくれる。
後半の白眉はやはり「ミスティ」。待ってましたとオーディエンスのテンションも最高潮。ピアノのメロディの美しさに陶然としながらも、炸裂する大隅のドラミング・テクニックに目も耳も奪われる。前半はブラシをメインに、後半はスティックを活用し、微妙な音の違いを演出。細いスティックの方が若干甲高い音になるといった、生ライヴだからこそわかる微妙な音の違いは、改めて新鮮な感動をもたらしてくれた。
■付録CDからは現場の緊張感がそのまま蘇ってくる
「季刊・オーディオアクセサリー」付録CDに収録される「All The Things You Are」。自宅のオーディオシステムで改めて聴いてみると、硬質感のあるピアノタッチのなめらかさは自然で豊穣、スタインウェイの豊かさそのもので、音響ハウスのスタジオの空気感をまざまざと思い出す。
特にイントロのピアノソロに続いて、香川のベースと大隅のドラムがインする瞬間は、あの場の緊張感まで見事に再現されるよう。ライヴレコーディングの醍醐味をたっぷり味わわせてくれる。ミュージシャンの表現の細部まで、余さず捉え切ろうとする神成のレコーディングスキルにも改めて驚嘆させられる。
オーディオファンの方は、ぜひご自宅のオーディオシステムにてこのサウンドを体験してほしい。3月に発売予定の『REQUESTS -Tsuyoshi Yamamoto Trio LIVE』が、ますます楽しみになること間違いないだろう。
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