新機能「Direct ABR」などに対応

コルグ開発の動画配信システム「Live Extreme」が機能強化。低速回線でも高画質視聴可能に

公開日 2022/09/01 12:00 編集部:小野佳希
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コルグは、4K映像やハイレゾ音声での動画配信を行えるシステム「Live Extreme」をアップデート。「Direct ABR」や音声の4チャンネルステレオ配信に対応するなど機能を強化した“Version 1.8”をリリースした。

コルグの配信システム「Live Extreme」がVersion 1.8にアップデート

Live Extremeは、インターネット動画配信サービス各社に対してコルグが提供している配信システム。Live Extremeを導入することで、該当のサービスは4Kやハイレゾ対応で配信を行えるようになる。現在、「Thumva」などの配信サービスがLive Extremeを採用している。

今回のアップデートでは、映像の圧縮を回避しつつABR(Adaptive Bitrate)に対応する新機能「Direct ABR」を追加。また、FLAC形式での音声の4チャンネルステレオ配信に対応したほか、映像と音声の同期方法として、最大500msの映像の遅延にも対応した。遅延については、音声遅延を伴う大規模な配信音声マスタリングにも対応可能だと説明している。

「Direct ABR」は、SDIやHDMIから入力された非圧縮映像から、Live Extreme Encoder内部で最大4系統のABR映像を直接生成し、サーバーにアップロードするというもの。配信サーバー内で再圧縮する必要がなくなるため、同じビットレート映像であっても、従来システムより高画質な映像が配信されることになる。これにより、Live Extremeを視聴可能なユーザー数を増やすだけでなく、ライブ配信の高画質化も実現するという。

従来、Live Extremeを視聴するには15Mbps以上の高速インターネット環境が必要で、4G回線など低速なインターネット環境でも視聴できるようにしてほしいという要望が多くあったとコルグは説明。低速インターネット環境での視聴を実現する方法としては一般的にABRが用いられることが多いが、通常のABRではストリーミング・エンコーダー内で既に非可逆圧縮されている映像や音をストリーミング・サーバー内で再圧縮することになり、画質や音質が著しく劣化してしまうという問題点があったと指摘する。

Adaptive Bitrateの仕組み

この課題を克服するため、SDIやHDMIから入力された非圧縮映像からLive Extreme Encoder内部で最大4系統のABR映像を直接生成しサーバーにアップロードする「Direct ABR」機能を実装したのだという。なお「Direct ABR」が適用されるのは映像のみであり、音声は従来通りFLACやALACによるロスレス/ハイレゾ配信のみに対応している。

一般的な配信システムとLive Extremeの違い

Live Extreme Encoder Version 1.8は、2022年8月より配信現場での試験運用が開始されており、9月11日に開催されるライブイベント「Immersive voices - dip in the pool 2022 live」から正式運用が開始される。同公演は渋谷WWWで開催され、映像は最大1080pを含む、4段階のABRで配信予定。低速インターネット環境でも安定して楽しめるようにしている。

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