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レーザーで溝を成型

100kHzまで対応のレコード「HD Vinyl」'19年発売へ。開発社CEOに聞くその可能性

編集部:風間雄介
2018年04月17日
オーストリアのRebeat社は、開発中の高音質アナログレコード技術「HD Vinyl」を採用したアナログレコードが、2019年夏以降に発売されるとアナウンスした。同社CEOのGuenter Loibl氏に話を聞いた。

Rebeat CEOのGuenter Loibl氏

「HD Vinyl」は、Rebet社がもともと着想を得て、現在はJOANNEUM RESEARCHが開発を進めている技術だ。4月11日に480万ドルの資金調達に成功し、これを元手にして、2019年夏までにHD Vinyl技術を採用したスタンパー製造が可能になるという。

HD Vinylはその名の通り、これまでのアナログレコードに比べて音が良いことが第一の特徴だという。

高音質を実現するため、音源としてハイレゾオーディオファイルをインポートする。その後、オーディオファイルを3Dのトポグラフィックモデルに変換。そして3Dモデルを最適化したのち、レーザーを使ってレコードの溝を成型し、スタンパーが完成する。このスタンパーをもとに、HD Vinylのアナログレコードがプレスされるという流れだ。なお、HD Vinylのスタンパー素材にはセラミックが使われている。

ハイレゾ音声をインポートし、3Dのトポグラフィックモデルに変換する

通常のレコードではレコード針と溝の一部しか接触しないが、HD Vinylでは、針とぴったり合う溝をエッチングすることで、アングルエラーを抑えられるという。ただし溝と針をぴったり合わせるためには、当然ながらHD Vinylの溝に合う形状の針が必要となる。

溝と針の形状をぴったり合わせることでアングルエラーを排除

なおHD Vinylは、既存のアナログレコードやターンテーブルと100%の互換性を備えており、これらでも問題なく再生することができるという。

Rebeat社のLoibl CEOが紹介するHD Vinylのスペックは非常に高い。周波数特性は20Hz - 100kHz。既存レコードの20Hz - 20kHzに対し、非常に高い周波数特性を実現していると同社は説明する。

また再生時間も長く、70分の再生が可能という。これも既存のアナログレコードの50分程度に比べて長い。

さらに1つのスタンパーで作れるアナログレコードの数も多く、既存のものが2,000程度であるのに対して、HD Vinylでは10,000程度のコピーが作れるという

また既存のスタンパーはアナログレコードを作っていくごとにクオリティが下がっていくが、HD Vinylのスタンパーはクオリティが安定していることも特徴としている。これにより、生産キャパシティーの規模拡大にも対応しやすいとのこと。

既存のアナログレコード(右)とHD Vinyl(左)の違い

HD Vinylは環境にも配慮し、生産工程によって有毒性の物質を使っていないとも説明。また製造工程が既存のアナログレコードに対してシンプルであることも特徴としている。さらに前述の通りアングルエラーも無いとのこと。

またS/Nは、既存のアナログレコードが60-70dB程度であるところ、HD Vinylは80dBを実現しているとも述べている。

なおLoibl CEOはHD Vinylについて、「5年以内に、世界で80%のマーケットシェアを得られる」と予測している。

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