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<炭山アキラのハイエンドショウレポート>ハイファイジャパンのブースや「HANIWA」新モデルに注目

2006年10月07日
ハイエンドショウ・トウキョウは、2002年に第1回が開催されて以来、早くも5年を数える。当初は有楽町・東京交通会館の小さな一室にほんの数社が集うことで始まったこのショーは、今やA&Vフェスタ/インターナショナルオーディオショウなどと並び、日本オーディオ界屈指のショーとして確固たる位置づけを獲得している。

出展社のそれぞれが大変にマニアックかつ情熱的でありながら、来場者との距離が近しく感じられるのは、ごく初期から現在へと受け継がれるハイエンドショウの一大特徴といえる。出展者が大声を出さなくても来場者と語り合える物理的な距離の近さ、音出しのブースが変わるたびに来場者が自ら椅子を持って移動するといった会場のアットホームさなど、何とも居心地のいいイベントである。

ハイエンドショウはA、B、C、D、E、S(サイレント)の6つの部屋に分かれている。それでは各部屋ごとに、新製品の中から気になった製品を挙げていくことにしよう。

■Aルーム

アコースティックアーツのアンプ/プレーヤー群のモデルチェンジが進行中。外観も丹念に角が面取りされ、仕上げが上質になった感がある

Aルームでまず気になったのはハイファイジャパンのブースである。50インチ薄型ディスプレイに大きさを合わせて開発されたという、モニターオーディオの新作「RADIUS250」の美しさも目を引いたが、もう一つ注目すべきはアコースティック・アーツのアンプとデジタルプレーヤーだ。高さ350mmの巨体を持つスーパーパワーアンプ「AMP−II」を筆頭に、マークIIかが図られつつあるのだという。主な改良点はS/N比の向上とか。高品位デジタル音源がごく普通となった現代のオーディオ環境で、アンプのDレンジ拡大はノイズレベルを下げることにある、というのが同社の考え方だそうである。



四十七研究所のターンテーブル・モデル4724「Koma」とトーンアーム・モデル4725「Tsurube」。
ベルトの動力を伝えるプーリーがまだ1つ余っていて、どうやらこれを動力に何か新しいことが始められる模様だ

次に目を引くのは、四十七研究所だ。昨年に試作品を発表したアナログプレーヤーの市販バージョンが展示されている。ターンテーブルがモデル4724「Koma」、トーンアームがモデル4725「Tsurube」と名付けられたこのプレーヤーシステムは、既に「アナログ」誌はじめ各所でレポートされているので目新しいというものではないが、とにかくこれは現物の回っているところ、針が落ちているところを見て、そして音を聴いてほしい。目の当たりにするほど、そして音を聴くほどその独創性、面白さ、優秀さが分かるシステムである。


バラッドのBa803。キャビネットはフィンランド・バーチ材にウレタンニス仕上げである。木目が美しいキャビだ

初参加を果たしたバラッドのブースも、活気にあふれていた。先ごろ復活を果たしたアルテックを中心に扱う社で、同社のフルレンジや同軸2ウェイユニットを使ったオリジナル・スピーカーも開発・発売している。最新作は20cm同軸2ウェイの「CD308−8A」を用いてコンパクトにまとめたBa803である。音を聴くと、フルレンジ的な軽快さ、伸びやかさにアルテックならではの声のクリアさを加えた、実に魅力的なサウンドだ。約97dBと能率が極めて高く、小出力の真空管アンプで鳴らしやすいのもよい。

バラッドでは30cm同軸2ウェイの「CD1012−8A」を用いた家庭用スピーカーも設計を進めているという。さらに、本社アルテックでは生産完了となった38cm同軸の「604−8L」も、生産を引き継いだ社から導入するとのこと。ファンには見逃せない動向であろう。


サニーケーブルテクノロジーのスピーカー。レンジはそう広大でもないが、かなり勢いのある音を聴かせてくれた

Aルームではもう一つ、新規参入のサニーケーブルテクノロジーが目を引いた。名前からしてケーブルの会社かと思ったらスピーカーまで自社製で、丸形ストレートホーンを持つ個性的な2ウェイである。ウーファーは25cm、ドライバーは1インチスロート型で、ホーンの設計は自社で行っているという。ケーブルは銀を芯線とした極太のものだ。エアーのプレーヤーとアンプで音を出していたが、音質は銀という素材のキャラクターをうまく生かしたもののようである。

■Bルーム


クボテックの「ハニワ」SP1W33(手前)と同20(奥)。
20なら横幅638mm、価格は315万円だから、ようやく現実的なラインに入ってきたともいえるだろうか。音は素晴らしい

続いてBルームを見ていこう。この部屋に入ると、まずクボテックの「ハニワ」が目に飛び込んでくる。初年は30cmウーファーを4発も用いた巨大なものだったが年々小型化が進み、今年は20cmウーファー×1発の3ウェイまで登場した。音は最も小さな「SP1W20」でも「ハニワ」ならではの均一にそろったスピード感と解像度、厚みを聴かせてくれる。社長がレクチャーしてくれた理論と実際の音の感じがここまでピタリと一致するのも珍しい、という感じの再生音である。


キャストロンMk−I(右)とII(左)の、それぞれSE−Bモデルが登場。音はグッと実体感を増した

続いて気になったのはキャストロン・ブランドでおなじみのクォンツで、同社のダクタイル鋳鉄製キャビネットを持つMk−I/IIがSE−Bバージョンとなった。トゥイーターの変更に伴って全体のチューニングを見直したとのことだが、音は伸びやかさと実体感を大きく増した。これは魅力的なサウンドである。


丸十製陶の試作2種。音はずいぶん抜けの良いイメージだ。キャビネット剛性の高さと内部損失の高さなどが効いているのだと思う

昨年にハイエンドショウ・デビューを果たした丸十製陶は、まゆ型の陶器製スピーカーがほぼ市販バージョンに近いタイプ、円筒形のものが試作品とのことだ。そもそも同社がオーディオに参入したきっかけは47研の「Shigaraki」シリーズにかかわったことというだけに、ユニットは47研「LENS」の流れを汲むフルレンジが採用されている。


カイザーサウンドの試作スピーカー。フィーストレックスのフルレンジは、能率は極めて高そうだが、低音を出すのには大変なテクニックを要求されそうなユニットである

カイザーサウンドは、試作品が出来上がったばかりというスピーカーをデモしていた。フィーストレックス社のユニットを用いたフルレンジ1発の作品である。フルレンジならではの声の通りの良さ、軽く伸びやかな鳴りっぷりは大いに楽しめるのだが、どうやらこのユニットは大変なオーバーダンピング型のようだ。チューニングはこれからだそうだから、今後の楽しみなシステムではある。

■Cルーム


PMCの新作wafer。見えにくいが、ウーファーの下側に四角い穴が空いていて
発泡ウレタンのような吸音材が挿入されており、そこでトランスミッションライン型であることが知れる

続いてCルームへ。ヘビームーンはPMCの新作スピーカー「wafer」が興味深い。一見すると薄型テレビの壁掛けに合わせたと思しき薄型キャビに小型ユニットをマウントしただけのシンプルなシステムに思われそうだが、キャビは同社の看板技術ともいえるアドバンスド・トランスミッション・ライン型が採用されている。また、縦置きと横置きの両方に対応するためにトゥイーターは縦横2カ所に取り付けられ、両方鳴らしてエネルギー特性をチューンすることも可能だという。


ハイランド・オーディオORAN1304をパストラルシンフォニーの福井氏がチューニングしたスペシャル版。一聴の価値ありである

ヘビームーンとトライオード/パストラルシンフォニーのブースが隣り合わせていた。それに合わせたわけではあるまいが、ヘビームーン扱いのハイランド・オーディオ社製スピーカー「ORAN4301」のマイクロピュア・チューニング版が鳴らされていた。もともとが小型としては堂々として濃厚な音を醸し出す同モデルが、実に軽やかに、そして伸びやかに鳴るシステムに変貌している。これには驚いた。

また、パストラルシンフォニーのCz302が数多くのブースでデモ用スピーカーに使われていたのも印象に残る。プロの間でもその実力は高く評価されているのだろう。


完実電気ブースにて。「ノイズ・ハーベストは、電源タップに差し込むだけで使えます」

完実電気では、ベルデンの安価なRCAケーブルとSPケーブルの新作が出ていたほか、「これは!」と思わせたのは「ノイズ・ハーベスト」という電源レギュレーターである。テーブルタップの空きジャックに差すと、電源の歪みを検知しながら整流するという仕組みで、歪みを検知したらLEDが光る。ああいう環境だからであろうが、しばしばLEDが光るのは楽しくも恐ろしい。

(炭山アキラ プロフィール

hiend2006report