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INORANが新AL『Between The World And Me』をオーディオ目線で語る。Acoustuneイヤホンで聴き比べも

2021/03/19 高橋 敦
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── マスタリングも前作から引き続きランディ・メリル氏ですから、彼とのやりとりもさらに踏み込んだものになったのでは?

INORANさん 前回の経験があって、ランディはこういう音を伸ばしてくれる、こういう音は引き締めてくれるみたいなところがわかっているんで、そこに対してこちらも、より強いというか、ちょっと挑発めいた音を送ったりするようになりましたよね。


── キャッチボールであえて少しキャッチしにくい球を投げてみるとか、セッションであえて際どいコードを鳴らしてみるとか、そんな感覚でしょうか?

INORANさん そうそう。こういう音を入れたらランディはどう返してくるかな? みたいなところを楽しみたい。ランディの方も「INORANはこっちがどういう音を返してくるか、ある程度予想してこういう音を入れてきているんだろうから、その予想を超えた音を返してやるぜ!」みたいな感じだと思うんですよ。

ランディとだけではなくてスタッフ全員との間で、前作の経験を経て、今回そういうところまで踏み込めていると思います。

── アートワークも心に残ります。前作はモノトーンで描かれた黒い羽。今作はその黒い羽を纏ったカラスと共に、淡く明るい色合いの花が映されています。「You' re Not Alone」「Leap of Faith」のツインボーカルも思い起こさせるイメージです。

INORANさん ビジュアルイメージ周りのスタッフたちが、「前作と今作は対なんだ」という僕の意図を受けて出してくれたアイディアですね。実は最初見た当日は「俺っぽくないな」なんて思ったんですけど、翌日にはすごく気に入ってましたよ(笑)。自分にはない発想だったからこそ最初は違和感もあったけど、だからこそ新鮮なんです。それが人と一緒にやる醍醐味ですから。


「どんなオーディオで聴くかで曲の風景の見え方が変わったりする」


── さてここからはオーディオの観点から、楽曲のお話を聞いていきたいと思います。前作今作と、「Leap of Faith」のような美しい曲においても、超低域の響きの存在が全体の空気感に大きく貢献しているように感じました。

INORANさん いわゆる打ち込み、生のドラムやバンドではないサウンドだからこそ積極的に使える帯域ですよね。バンドサウンドはやっぱり一体感のある「塊」だから。

そのガシッとひとつになっているバンドサウンドにスーパーローの音を入れると、そこだけ後付けみたくなっちゃうんですよ。それにスーパーローをちゃんと響かせるためには他の帯域を削る必要もあって、それがバンドサウンドのおいしい帯域だったりするのも難しい。

でも今回は打ち込みで、最初からスーパーローまで使うイメージで作った曲だから、バンドサウンドとは違う低音を出せてます。

── ただそのスーパーローは、本格的なスピーカーやハイクオリティのイヤホンやヘッドホンでないと、しっかりとは再生されない成分です。リスナーの再生環境次第で曲の届き方が大きく変わってしまう不安はありませんか?

INORANさん そこは大丈夫です。実際に作ってみて実感できたんですけど、こういうサウンドデザインって何層にもなってるんですよ。イヤホンで聴くのかヘッドホンで聴くのか、スマートフォンの小さなスピーカーで聴くのか本格的なスピーカーで聴くのかで、それぞれ違う帯域が聴こえてきたりするんだけど、どの場合でもちゃんと成立する。

例えば小さなスピーカーで聴いたときに、ある帯域の低音が土台になって、ハイエンドのイヤホンで聴いたらそれよりもっと低いスーパーローが現れて、今度はそれが土台になるんです。土台によって、その上に広がる曲の風景の見え方は変わったりするんだけど、どちらの場合でもそれぞれの見え方でその曲の風景が広がることに変わりはないんです。

スーパーローありきで作ってるんだけど、スーパーローありきだけじゃないっていうのが、このサウンドのジャンル感のマジックで、作っててもすごい面白かった。

── なるほど。まずはいつも使っているイヤホンなどで聴いてもらってぜんぜん問題ないんですね。

INORANさん バンドだと「こういうサウンドを届けたい!こういう音で聴いてもらいたい!」っていうこだわりが少し強くなるんですけど、今回みたいな作品はみんなそれぞれの環境で自由に聴いてほしいなって思うし、そうやって楽しんでもらえる仕上がりにできたかなと思ってます。


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