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30年にわたるデノンのディスクプレーヤーの歴史の集大成

デノン「DCD-SX1」はこうして誕生した! − 開発者1万字インタビュー

2013/10/04 ファイル・ウェブ編集部
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CDの魅力をDCD-SX1ならば再発見できる

デノンには、“50万円のプレーヤーという神話”があるという。1994年の「DCD-S1」、2004年の「DCD-SA1」と、この価格帯の歴代ディスクプレーヤーはロングランヒットを続けてきたのだ。DCD-SX1は、それだけ渇望されていたディスクプレーヤーであるという。だからこそ「出し惜しみはない」と出口氏は断言する。

インタビューの終盤を迎え、米田氏は「実際には失敗の方が多いですね」と改めてその開発過程を回想した。「一歩前進、二歩後退。前進を次の前進に繋げるべく、開発を続けてきました」と力強く述べてくれた。

開発時の苦労にまつわる様々なエピソードを語りながらも、その顔には笑みが漏れる両氏。DCD-SX1における達成感の大きさが窺えた

出口氏は、最新のデジタル技術を活かすためにも、アナログ的な要素が重要だったと語る。「試作に使った材料はすごい量ですよ。メカベースも何回作ったかなというくらい試作を重ねました。ただDCD-SXでの経験があったので、時間がどれくらいかかるかということと、追い込んでいく方向性はわかっていました。とは言いつつ、なかなか思うようにならないという(笑)」

米田氏は今後の課題にも触れた。デジタル機器においてスペックだけが一人歩きすることは危惧しているという。「どんなにサンプリング周波数やビット数が大きくても、正確なタイミングで再生できなくては意味がありません。正しく再生されるかどうかを我々は耳で判断しますが、良いものはスペックの大きさに関わらず良いもので、クリアネスが全然ちがいます。DCD-SX1は、その点でCD、ハイレゾを隔てなく正確に再生することができます」

CD誕生から30年という節目に産声を上げたDCD-SX1は、ディスク再生の魅力を再発見することができるディスクプレーヤーと言えるだろう

最後に、出口氏と米田氏の二人に、DCD-SX1を待ち望んでいるユーザーへのメッセージを伺ってインタビューの締めとした。
 
「ここ1年、DCD-SX1に掛かりきりだったので思い入れは強いです。今のデノンが持っている技術やノウハウを全て詰め込んだプレーヤーになっています。デジタルプレーヤーの集大成という目標に本気で挑みました。長く聴いていたCDの良さを、DCD-SX1で再発見してもらえたらうれしいですね」(出口氏)

「5年ぶりの高級機です。今は何かと『こういう値段で、こういう期間でものをつくらなくてはいけない』というのが設計者にプレッシャーになる時代ですが、DCD-SX1については、いいなと思うことを、制約を度外視して技術者がきちんと盛り込んでくれたことをうれしく思います。コストパフォーマンスも求めながら、性能を犠牲にすることは一切ありませんでした。私も音をまとめる立場として、デノンの集大成が実現したことに自信を持っています」(米田氏)

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