30年にわたるディスクプレーヤーの歴史の集大成

【レビュー】デノンの新フラグシップSACDプレーヤー「DCD-SX1」を山之内正が聴く

山之内 正

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2013年08月22日
デノンは新フラグシップとなるSACDプレーヤー「DCD-SX1」を発表、9月中旬より発売する(関連ニュース)。デノンはCDプレーヤーはもとより、デジタル録音の黎明期から様々な製品群を世に送り出してきたが、DCD-SX1はその30年にわたる歴史の集大成となるモデルだという。ディスク再生は果たしてどれだけ高い「頂」に達したのか。山之内 正がレポートする。

「DCD-SX1」 ¥577,500(税込)

■デノンのディスクプレーヤーの集大成モデルがついに登場した

デノンがデジタルディスクプレーヤー分野に強力な製品を多数投入してきた背景として、同社がデジタル録音と深く関わってきた歴史を見逃すことはできない。1970年代前半から自社製レコーダーを駆使してデジタル録音を導入するなど、同社の取り組みはまさに時代を先取りするもので、デジタルオーディオ時代の最先端を切り開いてきた功績は大きい。

そして、DENONレーベルが数々の名録音を世に送り出すのと並行して、業務用と家庭用の両分野でCDプレーヤーの名機を次々に投入してきたのだ。録音と再生の両分野でデジタルオーディオに精通しているからこそ、実現可能な技術や再生音が存在する。プレーヤーの性能を支える重要なポイントだ。

デノンがエポックメイキングなディスクプレーヤーを多数輩出してきたことは、過去の銘機を見れば明らかだ

特に1990年代前半に登場したS1シリーズは同社のデジタル技術とアナログ技術を結集した傑作で、CD再生の歴史に大きな足跡を刻んだ。トップローディング方式で高精度な信号読み取りを実現したCDトランスポートDP-S1、独自の波形再現技術「ALPHAプロセッサー」を搭載した一体型CDプレーヤーDCD-S1の両機を記憶している読者は少なくないはずだ。


DCD-SX1の筐体内部。新採用の「HD Master Clock Design」よって実現したジッターのさらなる低減を活かすためにメカエンジンからアナログ回路まで、すべての部分を見直した
S1シリーズの設計思想はその後もSACDプレーヤーに継承し、2008年にはDCD-SXが誕生。ALPHAプロセッシングを「Advanced AL32 Processing」に進化させ、高剛性重量級メカニズムや超高精度クロックを導入するなど、25年に及ぶCD開発でデノンが得たノウハウを漏らさず投入して話題を呼んだ製品だ。

そして、ついにCDの開発から30年を迎え、デノンのプレーヤー技術の集大成というべきDCD-SX1が完成した。Advanced AL32 Processingのポテンシャルをさらに引き出すため、リファインしたクロック回路「HD Master Clock Design」を新たに搭載。それによって実現したジッターのさらなる低減を活かすためにメカエンジンからアナログ回路まで、すべての部分を見直したという。

■ドライブメカからクロックまでを最新技術のもとに刷新

メカドライブはアルミ、カッパータイト、ステンレスという3種の異種金属を組み合わせたトッププレートと砂型アルミベースを組み合わせることで、剛性をさらに高め、低重心構造を徹底させた。言うまでもなく、異種素材を組み合わせるのは、素材ごとに共振点が異なる性質を利用して振動を低減することが狙いだ。デノンがこれまで積み重ねてきたノウハウをさらに追い込み、完成度を高めた一例として注目しておきたい。

DCD-SX1のメカドライブ「Advanced S.V.H. Mechanism」

マスタークロックの精度向上を受けて、「Advanced AL32 Proxessing」回路もアルゴリズムを本機専用に追い込み、音質のさらなる改善を図っている。クロックの精度向上は、超低位相雑音型の水晶発振子の採用、チップの小型化に伴う配線パターンの短縮などの複合作用によって実現している。

新たなクロックモジュールはDCD-SX1の進化の要のひとつと言える

さらに、USB入力を装備する本機は、複数のサンプリング周波数への対応が不可欠だが、本機は44.1kHzと48kHzそれぞれの周波数とその整数倍の周波数に対応する2系統のクロックを内蔵。1系統の発振素子から分周するのではなく、専用のクロックを用意することで音質改善を図っている。なお、小型化された本機の発振素子は安定して本来の性能を発揮するため、DCD-SXに積んでいた恒温槽は不要で、クロックまわりの基板はシンプルな構成に生まれ変わっている。

圧倒的なまでのディスク再生能力

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