「販売店様との信頼関係は永久不変」ラックスマン新営業部部長 相田和喜氏に聞く、101年目の成長戦略
筑井真奈創業101年目を迎えた日本の老舗オーディオメーカー、ラックスマン。2026年1月、新たに国内営業部部長へ就任した相田和喜氏は、全国の販売店ネットワークを束ねながら次の成長戦略を推進している。国内ハイエンドオーディオの市況分析を踏まえつつ、次なる100年を見据えた営業戦略について話を伺った。
品質保証から営業へ。現場理解が強み
2007年にラックスマンに入社したという相田氏。オーディオマニアが高じてラックスマンの扉を叩いた、というわけではなく、オーディオの基礎についても入社して現場で一から学んでいったそうだ。
「入社した当初は営業部ではなく、品質保証部に配属されました。製造と開発の間を繋ぐ役割で、製造現場の意見を開発にフィードバックするといった仕事をやっていました。実際に製造の現場を見て、どのようなこだわりを持って作っているかということを理解した上で営業活動をスタートできたのは、非常に強みになりましたね」と振り返る。
2009年に主に量販店担当として営業部へ異動。ちょうどラックスマンが新規量販店の取り扱いを開始した時期でもあり、ビックカメラなどの担当をしながら営業マンとしてのキャリアをスタートした。
営業部に異動した時期の印象的なプロダクトについて尋ねると、「SQ-N100」「D-N100」などのNeo Classicoシリーズ、そして真空管アンプ「SQ-38u」の名をあげる。「SQ-38uは設計面で大変苦労した製品でしたが、お客様からの反響は本当によく、当時売れ筋商品でしたね」と懐かしむ。
また独自のディスクドライブ・メカニズムを搭載したSACD/CDプレーヤー「D-08」も100万円近い価格ながら驚きのヒットモデルとなったと記憶する。
北海道や東日本エリアを主に担当し、各地の専門店との信頼関係を深めてきた相田氏。2015年には、関東圏の主要専門店のひとつである秋葉原のダイナミックオーディオ担当を、現社長の末吉達哉氏より引き継いだ。
各社の“手練れ”営業マンが集結するダイナミックオーディオを担当することは、相田氏のキャリアの中でも重要なターニングポイントとなったそうで、「業界内での人脈形成や市場動向の把握」をより深める契機になったという。
その後もオーディオショウや試聴イベントなどにも積極的に参加し、ラックスマン製品の着実な拡販に尽力してきた。
100周年モデル効果は既存ラインナップにも波及
ラックスマンは、昨年2025年に創業100周年を迎えた。それを記念し、2026年7月時点で4機種の“CENNTENIAL”モデルを発売している。相田氏によると、「これらの記念モデルは、単体での販売だけでなく、既存ラインナップにも大きな波及効果をもたらしています」と力強く語る。
A級プリメインアンプ「L-100 CENNTENIAL」への高い評価により、「L-509Z」というフラグシップアンプへの注目度も向上。その効果は「L-505Z」「L-507Z」といった中核価格帯にも波及し、昨年の秋以降、生産が追いつかないほどの注文が殺到しているという。
SACD/CDプレーヤー「D-100 CENNTENIAL」も高水準を維持している。それは単なる記念モデル効果ではなく、「コストパフォーマンスの高さを市場が好意的に評価した結果」と分析する。「社内会議でも繰り返し語ってきたことですが、製品の特性や機能、そして音質を向上するだけでなく、価格とのバランスもとても重要だ、ということを改めて再確認しました」と、製品力の強さ、そして適切な価格設定の重要性を改めて強調する。
最新のモノラルパワーアンプ「B-100 CENNTENIAL」も4月のアメリカ・アクスポナショウで披露、6月のウィーン・ハイエンドでも世界的に反響を得た。国内向けも6月末から出荷を開始しており、好調な滑り出しを見せている。100周年モデルについては世界的な反響から、今後もいくつかのラインナップを検討しているという。
全国をカバーする少数精鋭体制
現在の国内営業部は、相田氏を含め6名という少数精鋭のチームとなっている。現地常駐スタッフを1名おいているが、それ以外は全国の販売店を本社の営業スタッフでまかなう。2026年は営業体制の再編も実施し、担当エリアの見直しや若手社員の配置転換を進め、全国の販売店とのさらなる関係強化を図る。
国内販売戦略の中で、相田氏が重視するのが全国のショップに足を運んでの直接の対話である。「Face to Face のコミュニケーションを、今まで以上に充実させていきたいと考えています。オーディオ業界は本当にそのことが大切だと、改めて感じています」と言葉を強める。
相田氏はこれまで西日本のエリアは担当したことがなく、一度も訪問したことのない専門店も少なからずあった。そこで、年始より相田氏自ら全国の販売店を担当営業とともに訪問。「お客様の求めるクオリティの製品を、適正な価格でお届けする」というラックスマンブランドの目指すところについて、販売店とも認識の共有を進めている。
「ラックスマンは、元々はアナログアンプメーカーですから、その核となるものをしっかり持ちながら、プラス何ができるか、ということを常々考えています。先を見据えて、と皆同じことを言いますが、なかなか難しいことも事実です。ですが、日々しっかりアンテナを張って、今やるべきことをちゃんと見つけていく。そして、その魅力ある製品を、ひとりでも多くのお客様へお届けするために、これまで長年にわたって築き上げてきた販売店様との信頼関係をより強固に維持し続けていきたいと考えています」
まだまだオーディオは広げていける可能性がある、と確信を持って語る相田氏。101年目を迎えたラックスマン、地道な積み重ねを武器に、次の成長ステージへのエンジンを加速している。
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