【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
毎月連載のPhile-web特別企画「Sound Adventure(サウンド・アドベンチャー)」では、オーディオ・ビジュアルエンターテインメントの最前線で活躍される評論家の方々を「ナビゲーター」に迎え、いま最も注目を浴びるデジタルエンターテインメントのスタイルを徹底探求します。最新オーディオ・ビジュアル製品のレビューやハンドリングレポートも毎回紹介して行きます。
【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム


本連載企画「サウンド・アドベンチャー」では、DVDなどの映画を大迫力のサラウンドで楽しむ“キホン”から、お気に入りの音楽を5.1chで聴くためのシステムづくり、デスクトップサラウンド、さらには家族皆でニンテンドーWiiを大画面+サラウンドで楽しむ方法など、ホームシアターの様々な可能性を探ってきた。今回はビデオカメラで撮影したオリジナルのハイビジョンムービーを、大画面とサラウンドシステムで楽しむワザをご紹介したい。



いまや家庭用ムービーでハイビジョンが当たり前のように撮影できる時代だ。AVCHDという、ハイビジョン映像を高効率に圧縮して記録できる方式が誕生したことにより、1920×1080画素の“フルHD”動画が撮影できるホーム用のビデオカメラが昨年末に登場し、ヒットしている。フルHD映像を記録するための媒体はHDD、DVD、フラッシュメモリーカードなど、カメラにより様々だが、撮影した映像が後に大画面テレビで再生する際にも高画質で楽しめるフルHDの良さがユーザーに浸透して行き、今後ホーム用ビデオカメラのスタンダードになっていくことは間違いないだろう。

フルHDの映像を撮影できるビデオカメラの中には、5.1chのサラウンド音声も記録できるモデルがあることをご存知だろうか。DVDの映画で楽しめるような迫力あるサラウンド音声付きの映像が、誰でも手軽に作ることができるのだ。これまでビデオカメラといえば「キレイな映像を美しく残すためのもの」だったが、これからはリアルで高品位なサラウンド音声も一緒に記録して、DVDなどに作品として残すことによって、いつでもホームシアターで再生して楽しめるようになったのだ。

今回は編集部員・山本がビデオカメラで撮影する5.1ch作品の楽しみ方をご紹介したいと思う。普段からライブやコンサートで生演奏の音楽を聴くことが好きな私は、今回オリジナルの5.1ch音楽ビデオをつくりたいと考えた。そこで友人であるギターデュオのバンド“ハイトニック”に依頼して、8月半ばに東京・上野のライブハウス「DOOBIE'S」で行われたバンドのライブ演奏を撮影させてもらった。

ハイトニック

渡辺将史(Vo.)と宮地央樹(G.)から成る2人組ユニット。最新ヒットナンバー『言葉』を含むアルバム「追っ風(ENSY-001)」は絶賛発売中(写真)。都内ライブハウスや路上ライブなど、バンドのサウンドが生で体験できる活動情報はホームページで公開中。

>>ハイトニックのホームページ


撮影に使った機材は、ソニーのビデオカメラ「HDR-SR7」。本体に60GBのHDDを搭載し、AVCHDの圧縮記録方式により、最高画質モードでも約8時間の1920×1080画素のフルHD映像を撮って楽しめるカメラだ。本体には5.1ch記録対応のマイクを搭載し、ドルビーデジタル5.1クリエーター機能の採用により、誰もが本格派のサラウンド映像を気軽に撮影できる。本体も非常にコンパクトなので、旅行や屋外スポーツなど様々な生活シーンに持ち運べるところも大きな魅力の一つだろう。

今回の撮影に使用したソニーのフルHD対応ビデオカメラ「HDR-SR7」

本体には5.1chの音声記録ができるサラウンドマイクを搭載している



ライブハウスの一角にカメラをセットし、演奏の開始を待つ。今回はさらに撮影時の音声をモニタリングするために、ボーズのノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort2」を用意した。本機のノイズキャンセリング機能とその効果の程については、前回のレポートでご報告した通りだが、今回もライブハウスの生のざわめきや環境音を見事に消音し、正確にビデオカメラのマイクの音声だけをモニタリングすることができた。ビデオカメラ「HDR-SR7」には、録音時のマイクレベルを調整できる機能が搭載されているので、取説に「周囲の音が忠実に録音でき、演奏会などの臨場感を収録する用途向き」とされていた「低・モード」を選択。撮影ポイント背後のカウンターでやり取りされている会話がヘッドホンからクリアに生々しく聴こえてくる。

今回の撮影のため、ボーズのノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort2」を用意した

撮影中の映像に記録されている音声を正確にモニタリングできる



ライブの開始後、途中撮影ポイントを変えて演奏者に近寄った時には、裸の耳だけではわかりにくい「映像に記録される音声」をモニターしながら、意図に合った音を探りつつ収録することができた。これはオプション等で高指向性のガンマイクが使えるビデオカメラでの撮影時にはさらに高い効果を発揮するに違いない。周辺の雑音を排除して、マイクの音だけをモニターしながら、狙い通りの映像づくりが可能になるだろう。本格派のサラウンド映像撮影にこだわりたい方々はぜひ、ノイズキャンセリングヘッドホンでのモニタリングに挑戦してみてほしい。

約2時間に渡ったステージが終了した。心地よい演奏を満喫した喜びと、それをハイビジョンのサラウンド映像で残すことができた充実感を胸に、後日撮影した映像をパソコンに取り込み、ホームシアターシステムで楽しむための準備を進めることにした。

撮影に使った機器
SONY 
HDDビデオカメラ
HDR-SR7
¥OPEN(予想実売価格150,000円前後)

>>ソニーの製品紹介ページ
>>製品データベースで調べる

BOSE 
ノイズキャンセリングヘッドホン
QuietComfort2
¥41,790(税込)

>>ボーズの製品紹介ページ
>>製品データベースで調べる


撮影した動画ファイルは、ビデオカメラ本体に付属するアプリケーションソフト「Picture Motion Browser」で簡単にパソコンへ取り込める。このソフトには撮影した動画から必要なシーンだけを切り取って保存する簡易編集や、映像をDVD等のディスクに書き出せる機能などが搭載されている。今回はライブ会場の雰囲気を残しながら、お気に入りのハイトニックの曲を幾つかピックアップした映像を編集し、SD(標準)画質に変換した映像をDVD化してみた。

HDR-SR7の場合は、記録した映像を5.1ch対応のホームシアターシステムで楽しむためには、一般的にはDVDなどのディスクに書き込んで再生する必要がある。映像を編集してから、ディスクに書き込む作業は数ステップで完了と、実に簡単だった。なお、AVCHD形式のフルHD映像をディスクに書き込むことも可能だが、再生はAVCHD対応のプレーヤーが必要になるので注意が必要だ。

ビデオカメラ本体に付属するアプリケーションソフト「Picture Motion Browser」を使って、撮影した動画の簡易編集やDVD書き込みなどが行える

「Picture Motion Browser」での動画編集の画面。IN点/OUT点の設定により、動画の必要な箇所を編集して保存することができる


後日、いよいよオリジナルのDVDをホームシアターシステムで再生してみた。今回はボーズの視聴室を借りて、同社のDVDホームエンターテインメントシステム「Lifestyle 48 III」で再生を行った。果たしてライブハウスで味わった演奏は、どれほどリアルに再現されるのだろうか?

再生を始めてすぐに、パッケージDVDとはひと味違った生々しいサラウンドの音に驚いた。まさか自分が撮影した映像がこんなにも聴き応えのある作品に仕上がっているとは思っても見なかった。普段からビデオカメラをいじるのは嫌いではない私だが、自分の腕前そのものが向上したのではないかと錯覚してしまうほどだ。

作成したDVDディスクをLifestyle 48 IIIのトレイに乗せる、緊張の瞬間。初めてつくったオリジナルのサラウンド映像はどのように再現されるのだろうか

迫力のサラウンド映像に息を飲む。あの日のステージがいま、ここボーズの視聴室に蘇った!


ライブの1曲目では、まだ少し緊張が残るプレーヤーの演奏と客席の雰囲気が、曲を追うごとに和み、一体感を増していくのがはっきりとわかる。リアスピーカーから再現される観客の拍手やざわめきが、ライブハウスのボルテージの高まりが、リアルなサラウンド音声で伝わってくるのだ。あの日のステージの興奮が、ライブから一週間経った今、目の前に現れた。

ライブハウスにはステージに向かって左側と後方に1台ずつのモニタースピーカーが配置されていたが、プレーヤーの奏でる音がいずれかの方向に片寄ることなく、ボーカルとギターの音もしっかりとセンターに定位し、聴き応えのある演奏が楽しめる。ビデオカメラに搭載された5.1chマイクの性能の高さもさることながら、「Lifestyle 48 III」の5本の“JewelCube”スピーカーとシステムの高い再生能力によるところも大きいのだろう。リードギターの刻むベースラインのサウンドにも底力があり、サラウンドの環境音に紛れることなく、リスナーの耳を包み込むように再生される。“2チャンバーアクースティマス方式”を採用した新ベースモジュールならではの立体感のある低音再生だ。

右図はライブハウスのモニタースピーカーの配置。スピーカーからの音に強く影響を受けることなく、ボーカルの声とギターのサウンドがセンターにしっかりと定位し聴こえてくる(図解はクリックで拡大してご覧下さい)


「Lifestyle 48 III」には、独自のアルゴリズムによりあらゆるソースを5.1chサラウンドにデジタル変換する“Bose Digital回路”が搭載されている。今回使用したソニーのビデオカメラ「HDR-SR7」は、本体で直接再生する場合は2chのステレオ再生となるが、「Lifestyle 48 III」ならばビデオカメラとAVケーブルで直接つないだ場合でも5.1chサラウンドで再生が可能だ。こちらの機能は例えば、取り急ぎ撮影した素材をDVD化する前にサラウンドでモニタリングしたい場合などに重宝するだろう。その他、Bose Digital回路を活かした楽しみ方として、本機のスピーカーモード設定により5.1chで撮影した映像を2chで再生することもできる。それぞれのサウンドを聴き比べてみるのも面白いだろう。

撮影したサラウンド映像の出来を、DVD化する前に取り急ぎモニタリングしたい場合は、ビデオカメラとLifestyle 48 IIIをAVケーブルでつないで、5スピーカーモードによるサラウンド再生で確認すると便利だ

Lifestyle 48 IIIのスピーカーモード設定により、「2ch」「3ch(フロント)」「5ch」の再生環境が選べる。それぞれのサウンドを聴き比べるのも面白いだろう


自作のハイビジョン映像を大画面に映しながら、迫力満点のサラウンドが加わることによってあの日の体験がいっそうリアルに蘇る。今回の試みではホームシアターの新しい可能性を発見し、体験することができた。これからは秋の訪れとともに運動会などのスポーツイベントや、お子様の学芸会、学園祭、アウトドアレジャーなどが楽しみになる季節だ。これらのイベントはハイビジョンのサラウンド映像を作成するのにも絶好の被写体になるはずだ。ぜひ皆様もオリジナルムービーで楽しむサラウンドの世界を堪能してみて欲しい。

今回試聴したシステム
BOSE 
DVDホームエンターテインメントシステム
Lifestyle 48 Series III
¥499,800(税込)

>>ボーズの製品紹介ページ
>>製品データベースで調べる

【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
毎月レポートを掲載
HOMETHEATER FAN SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2007 December SOUND ADVENTURE 2007 November SOUND ADVENTURE 2007 October SOUND ADVENTURE 2007 September SOUND ADVENTURE 2007 August SOUND ADVENTURE 2007 June SOUND ADVENTURE 2007 May SOUND ADVENTURE 2007 March SOUND ADVENTURE 2007 February
NAVIGATER'S EYE
SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2007 June SOUND ADVENTURE 2007 April SOUND ADVENTURE 2007 Junnuary
LONGRUN CHECK
折原一也氏×uMusic Sound Adventure