AV機器やパソコンを使うとき、特定の用途のために線をつないだりはずしたりするのは面倒と感じることが多くなった。HDMIケーブルやUSBケーブルがその代表だが、BDプレーヤーとAVアンプ間のようにつなぎっぱなしであれば別に問題はない。
作業が煩わしいなと思うのは、パソコンで再生するストリーミング動画をTVで見たいときや、iPhoneの音源をAVアンプ経由で聴きたいときだ。
十分な長さのHDMIケーブルやUSBケーブルがいつも手元にあるわけではないし、なぜか必要なときに限ってなかなか見つからない。やっと探し出してつないだときには、遊びに来ている友人たちはすでに別の話題に興味が移っている。誰しもそんな経験があるのではないだろうか。
最近になって、少しずつ状況が改善していることは間違いないだろう。
音声だけならAirPlayなどWi-Fi伝送の手段が充実してきたので、iPod専用ケーブルを探す手間は過去のものになりつつある。
私自身はAirPlay対応機器を自宅では使っていないが、リンのDSがSongCastでAirPlayと同等な機能を実現したので、それを毎日のように活用している。iPhoneやiPadだけでなく、Mac上で再生する音源は動画ストリーミングの音声も含めてすべてワイヤレスでDSに送り、メインのオーディオシステムで瞬時に音が出せるようになったのだ。
操作はとても簡単。パソコンの場合は専用アイコンでSongCastをオンにするだけ。iPhoneやiPadもAirPlayと同様、再生機器リストからDSを選ぶだけですぐに音が出てくる。
ロスレス伝送なので音源のクオリティが高ければ音質に不満はないし、「デジタル・コンサートホール」など映像コンテンツでは同期調整が利くから、リップシンクもぴったり揃う。USB-DACの出番は減ってしまったが、ケーブル接続の手間がいらないのはありがたい。
■iCloudの利便性
iCloudが使えるようになってから、iOS端末から写真データをケーブルレスでやり取りできるようになり、静止画の管理も少しはストレスが減ったように思う。iPhone 4Sはカメラの性能と使い勝手が良くなったので、以前よりも撮影の機会は確実に増えている。その撮影データはパソコンと同期しなくてもフォトストリームで自動的にクラウドに上がるので、ほとんど時間差なくiPadやMacの画面に表示することができる。
Wi-Fi環境下でなければクラウドへの転送は行われないが、自宅に帰れば意識しなくても写真転送が完了しているわけで、以前よりも使い勝手は格段に良くなったように思う。スナップ写真はもちろんだが、取材時にメモとして撮影したデータやキャプチャ画面などもそのままパソコン上で活用でき、確実なメリットがある。
ExcelやWordのデータならiPadだけを外出先に持参し、入力したデータをiCloudに保存、またはそのまま送信という作業もできる。ちょっとした外出時にパソコンを持ち歩かなくて済むので、意外に重宝する。
唯一気になるのは複数の画像をiCloudにフォトストリームで送ろうとすると、かなりの時間がかかることだろう。数十枚単位だと、それなりの時間がかかることを想定しておかなければならない。
ただし、それさえ注意すれば、iCloudの普段の使い勝手は概ね満足できるものだと思う。私自身は以前からMobileMeを利用していたので、カレンダー、メール、ブックマークなどを同期する機能はiCloud移行後も以前と変わりない使い勝手でそのまま利用している。iOS5とLionを導入済みのMacユーザーなら、iCloudを使う意味はそれなりにあると思う。
ところで、音楽や静止画データをワイヤレスで再生できる環境に慣れてくると、それができないものがあることが逆に気になってくる。たとえばiTunesライブラリの音楽データもその一つだ。
宅内なら「ホームシェアリング」という方法が用意されているが、パソコンに入っている音源をiCloudに転送し、外出先のiOS端末でも自由に聴ける環境が切実に欲しくなる。パソコンとつないでライブラリを管理するという従来の使い方だけでは、もはや満足できない状態になってしまったのだ。
日本で海外と同様のサービスを利用できる日はいつになったらやってくるのだろうか。