【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
毎月連載のPhile-web特別企画「Sound Adventure(サウンド・アドベンチャー)」では、オーディオ・ビジュアルエンターテインメントの最前線で活躍される評論家の方々を「ナビゲーター」に迎え、いま最も注目を浴びるデジタルエンターテインメントのスタイルを徹底探求します。最新オーディオ・ビジュアル製品のレビューやハンドリングレポートも毎回紹介して行きます。
【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム

“こぶし大”の超コンパクトサイズながら、驚くほどに豊かな低音再生を実現した本格派パワードスピーカーシステム「M3」が発表され話題を呼んでいる。今回はライターの折原一也氏が、本機の使いこなしやサウンドの魅力をいち早くテストし、ご紹介する。
※今回のレポートでは2006年3月3日に発売される「M3」のプリ・プロダクションモデルを使ってテストを行っています。

ボーズからまた注目すべきスピーカーが発表された。本体サイズが僅か12cmの超小型
スピーカー「Micro Music Monitor(M3)」である。同社は1982年の発表以降も世界的なロングヒットを続ける「101MM」を始めとする、コンパクトスピーカーの代表的なモデルを世に送り出してきたが、M3では「S(smart).M(mobile).A(active).R(revolutionary).T(technology)」というコンセプトを軸に、さらにモバイル性能を高めている。そのサイズは101MMと比べて6分の1まで小型化が行われている。

技術面での特徴は、新開発の低音再生技術「ハイパーレゾネーター」が挙げられる。ボディは高級感溢れるアルミ材で作られており、エンクロージャーの両側にスリットを入れ、小型ボディの内容積を最大限活用して迫力ある低音の表現と、クリアなサウンドを再生する。小型ながら強力な磁力を備える新開発のマオジウムマグネット製50mmフルレンジドライバーを内蔵した。これらの組み合わせによって、クリアで低音に迫力のあるボーズサウンドを実現している。

M3の寸法は1本あたり60.4W×122.0H×122.5Dmmという、人の「こぶし」ほどのコンパクトサイズを実現している iPodとのサイズ比較からもスピーカーのコンパクトさがおわかりいただけるだろう コンパクトな筐体サイズで驚きの低音再生を実現するヒミツが、本体両側に設けられた「ハイパーレゾネーター」に隠されている
スピーカーの背面端子部。マスター側(左)には外部入力、電源、スレーブ側との専用接続端子をそれぞれ備えている スレーブ側のスピーカーに4本の単3電池を入れてシステムを駆動させることもできる。定格出力はACアダプターでの接続時には20W×2ch、電池での駆動時には2W×2chとなる 本機のリモコンでは電源のON/OFFとボリュームの操作ができる

本体には精密な動作特性と小型化・軽量化を実現したデジタルアンプを内蔵するアクティブスピーカーという仕様で、過大入力に対する歪みを防ぐデジタルコンプレッション回路も備える。

モバイルでの用途を広げるべく、携帯性にも力が入れられており、幅わずか61mm、高さ122mmという手のひらに収まる程度のコンパクトサイズはとても持ち運びやすい。重さは1本につき0.6kgと、筐体サイズに比べれば若干のボリューム感があるが、これは独自のアルミエンクロージャーを採用しスピーカーとしての性能を高めたためだろう。電源についてもモバイル用途での使い方を可能とする電池駆動に対応。単3アルカリ電池4本で使用できるため、ポータブル機器と組み合わせて使用する携帯用スピーカーとしても心強い。入力端子はステレオミニジャックを搭載し、様々なポータブル機器との組み合わせで扱えるはずだ。もちろん電源はコンセントから取ることもでき、オーディオ機器と組み合わせて楽しむ用途も想定できる。製品本体に電源、ボリュームコントロールを備えるほか、付属のリモコンで各種操作が行える。

それでは実際に製品のサウンドをチェックしてみよう。M3の特徴は、デジタルアンプを内蔵したアクティブスピーカー仕様となったことでステレオミニジャックを搭載した各種機器と組み合わせて音楽を楽しめることだ。

デジタルオーディオプレイヤーのiPodとの組み合わせも、ヘッドフォンジャックから出力してケーブル一本で簡単に接続ができる。こちらは洋楽のロックやテクノなどのタイトルを中心に試聴した。ロックではアコースティックギターの弦が艶のあるサウンドを奏で、余韻をしっかりと再現する。エレキギターとベースのサウンドでは、抜けるようなギターの音色を質感たっぷりの心地よい低音がサポートする。テクノは低音のビート感が響き、小型のスピーカーであることを忘れてさせてくれるほどだ。

ノートパソコンのヘッドフォン端子にも接続し試聴を行ってみた。今回はiTunesに取り込んである邦楽タイトルを再生してみたところ、やはりボーカルの迫力、バックバンドとの一体感に格別の違いがある。各種機器との手軽な接続で、音楽を高品位に楽しむ機会がぐんと広がる点も嬉しいポイントだ。

iPodとの組み合わせを、ロックやテクノのタイトルを中心にチェックした。ポータブルオーディオのサウンドを自然、かつ迫力豊かに再現する ノートPCと組み合わせた相性もテストした。身近なデバイスのサウンドを、気軽にクオリティ・アップできる点は「M3」が実現する大きな魅力のひとつだ

さらに今回はSACD/CDプレイヤーと組み合わせたサウンドチェックも試みた。ダイアナ・クラールのSACD/CDハイブリッド仕様のアルバム『THE GIRL IN THE OTHER ROOM』を再生してみた。リスニングの際にはスピーカーの間を50cm程度開けてセットし、ニアフィールドで試聴を行った。そのサウンドは、コンパクトなサイズからは想像も付かないほどで、特に豊かに響く低音に驚かされた。ウッドベースのサウンドがしっかりと響き、雰囲気あるジャズの空間を再現する。また空間の広がりがしっかりと再現されており、センターに定位する深みのあるボーカルと個々のサウンドが心地よく響く。それは101MMから続くボーズ社の迫力ある音作りを思い起こさせる鳴り方で、オーディオシステムとして組み合わせても使うのにも十分な実力を備えていると言えるだろう。

今回は組み合わせのバリエーションとして、ポータブルゲーム機のPSP(プレイステーション・ポータブル)にもつないでみた。PSPは本体にスピーカーを内蔵しているが、携帯ゲーム機だけあってサウンドが迫力不足なのは否めない。そこで、ヘッドフォン出力端子からM3を接続して、サウンドのグレードアップにチャレンジした。今回はカプコンの『モンスターハンターP』を組み合わせてプレイしてみたところ、ズシリと響く低音とモンスターの咆哮などを迫力満点で楽しむことができた。

今回はPSPとつないだサウンドチェックも行った。ポータブルゲーム機のサウンドにいっそう豊かな臨場感と迫力が加わった 手のひらサイズのスピーカーを気軽に持ち運べるコンセプトが、音楽ファンの「高音質」へのこだわりを様々な生活シーンへと広げてくれることだろう

今回、M3を実際に試聴してわかったことは、その筐体の小ささからは想像も付かないほど迫力あるサウンドを鳴らしてくれる、本格派のスピーカーであるということだ。設置スペースもさほど必要とせずオーディオとして楽しめるのはもちろんのこと、パソコンを使って音楽を楽しむ際のグレードアップにも向く。また、デジタルオーディオプレイヤーなど携帯用機器と組み合わせて、家庭で音楽を楽しむ際のシステムとして扱うのも良い。その優れた携帯性を活かして、外出先で音楽を楽むような生活シーンにも使える。

そして重要なことが、これらの用途すべてが1台のスピーカーで対応できるということだ。ある時は家庭で楽しむオーディオスピーカーとして、またある時はポータブルスピーカーとして、あらゆるエンターテイメントにおいて自在に使いこなす楽しみ方は、ボーズ独自の技術力と発想が結実したM3ならではのものだろう。


BOSE パワードスピーカーシステム
Micro Music Monitor (M3)
\49,980(税込)
発売予定日:2006年3月3日
予約開始予定日:2006年1月20日

>>ボーズの製品紹介ページ
>>製品データベースで調べる


今月のNavigator
折原一也(Kazuya Orihara)

埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。



【毎月連載】 オーディオ・ビジュアルファンのためのエンターテインメントコラム
毎月レポートを掲載
HOMETHEATER FAN SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2007 December SOUND ADVENTURE 2007 November SOUND ADVENTURE 2007 October SOUND ADVENTURE 2007 September SOUND ADVENTURE 2007 August SOUND ADVENTURE 2007 June SOUND ADVENTURE 2007 May SOUND ADVENTURE 2007 March SOUND ADVENTURE 2007 February
NAVIGATER'S EYE
SOUND ADVENTURE 2008 J SOUND ADVENTURE 2007 June SOUND ADVENTURE 2007 April SOUND ADVENTURE 2007 Junnuary
LONGRUN CHECK
折原一也氏×uMusic Sound Adventure