ロックの魂を揺さぶれ!ディープパープル『ライヴ・イン・ジャパン』、ハイレゾ&イマーシブオーディオのススメ
ロック映画やリマスター版の熱かった2025年
2025年後半はロックが熱かった! ロックドキュメンタリー作品として異例ともいえる観客動員と興行収入が話題になった『レッド・ツェッペリン:ビカミング』を筆頭に、『リアム・ギャラガーin ロック・フィールド オアシス復活の序章』『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』といったロックを題材にした映画が多く公開された。さらにそれらのライヴCDやリマスターCDも多く発売され、ファンは嬉しい悲鳴を上げているはずだ。
今回はその中からディープ・パープル『ライヴ・イン・ジャパン【スーパー・デラックス・エディション】』に注目した。というのも、このボックスにはリマスターCD 5枚に加えて、ハイレゾ&ドルビーアトモスが収録されたブルーレイも同梱されているのだ。
そのサウンドはわれわれの“ロック熱”をどれほど燃え上がらせてくれるのか? 今年8月のフジロックの配信で盛り上がったメンバーが今度はファイルウェブの視聴室に集結し、じっくり検証した。

大画面で楽しむロックフェス!冷えたビール&焼きたてピザと「#おうちでフジロック」超満喫!
2025/08/16
ハードロックのライヴアルバムを爆音で聴こう!
筑井 今日はディープ・パープルの『ライヴ・イン・ジャパン』で盛り上がりましょう。先日のフジロック配信の大画面体験会があまりに楽しかったので、ロックをテーマにした取材を実現したいと思っていました。
御法川 お呼びいただきありがとうございます。ぼくは今まで、ロック関連の書籍40冊以上に携わってきましたが、そのうちディープ・パープルのタイトルは4冊あります。今日はバンドの詳細な情報もお伝えできたらと思っています。
ちなみに『MADE IN JAPAN(ライヴ・イン・ジャパン)』については、英国アナログ盤のテストプレス、通称ホワイト・ヴァイナルが英国EMIが所有するマスターにもっとも近いと言われています。ぼくが初めて聴いたのは日本のアナログ盤です。
出水 ぼくは御法川さんや筑井さんのようにゴリゴリのディープ・パープル・ファンじゃないんです(笑)。もともと映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』が好きで色々な関連音源を聴いていたんだけど、最初のLPでイアン・ギランがジーザス・クライストを演じていたのを知って、そこからディープ・パープルも聴き始めた後追い組です。
筑井 私が初めてディープ・パープルを聴いたのはCDでした。中〜高校生の頃にFM802を聴いていて、そこでのオススメをメモしてTSUTAYAに行ってCDを借りるということを繰り返していたんです。その中の1枚に『ライヴ・イン・ジャパン』がありました。
御法川 『ライヴ・イン・ジャパン』が初めてCD化されたのは1988年でした。この作品はその後何度もリイッシューされ(その変遷は下記コラムを参照)、2014年にはハイレゾ音源がブルーレイオーディオで発売されています。今回そのブルーレイオーディオも用意しようと思ったんだけど、中古盤も大人気のようで、eBayで$336(約51,000円)になっていたので手が出ませんでした。
出水 う〜ん、11年前のディスクなのに、そんなにプレミアが付いてしまうとは。
御法川 僕はマニアだけど、コレクターではありませんから、そこまでコレクションしてないんです。この企画でも過去にリリースされたアナログ盤も含めた『ライヴ・イン・ジャパン』総選挙を提案したかったのですが、アナログ盤を集めるのがとにかく難しくて……。これは今日の結論になるかもしれないけど、今後パッケージメディアは発売と同時に購入しなければますます入手が困難になるでしょうね。読者の皆さんも、気になるパッケージは早めにゲットしましょう(笑)。
出水 そうですね。今日試聴する『ディープ・パープル ライヴ・イン・ジャパン【スーパー・デラックス・エディション】』もすでに在庫切れの模様。
筑井 ディスクメディアのセールスが厳しいといわれる中で、凄いですね。こうした作品は最初に聞いたイメージが強烈ですから、それがリマスターされたらどうなるのか気になっている人は多いと思います。私自身も、ハイレゾ化されて音がよりシャープになったのか、観客との一体感を味わえるのかなどが気になります。
演奏の熱量も高いライヴ・イン・ジャパン
御法川 一刻も早く音を聴きたいとは思いますが、その前にこの時期のディープ・パープルについて解説しておきましょう。 『ライヴ・イン・ジャパン』は1972年8月の日本でのライヴを収録したものですが、彼らはその前年、1971年12月にスイスのモントルーで『MACHINE HEAD』を制作しています。
当時メンバーは、スタジオ収録ではライヴのダイナミズムをパッケージ化できていないと感じていて、モントルーのカジノ内にあったホールでのレコーディングを計画します。しかし、録音の前日にフランク・ザッパのコンサートがあり、ファンが照明弾を天井に発射したためホールが焼け落ちてしまいます。このエピソードは「Smoke On The Water」の歌詞に盛り込まれていますが、いずれにせよ当時のディープ・パープルはライヴ志向にあったようです。
モントルーにある休業中のホテルでのレコーディングを終えたディープ・パープルは、1972年1月から北米ツアー、2月には欧州と英国、3月には再び米国を周り、5月には日本公演が予定されていました。しかし、北米ツアー中にリッチー・ブラックモア(g)が肝炎で倒れ、日本公演は8月に延期されます。そうした事情から1ヵ月ほどの休養期間を得たわけですが、この休みが功を奏したと思われます。
実際、3月1日のデンマーク公演の映像が残されていますが、この演奏と『ライヴ・イン・ジャパン』では演奏の熱量がまったく違います。さらにライヴは8月15日からだったのに、メンバーは9日には日本に到着しており、体調も万全だったと思われます(注:イアン・ギランはコンサートの前日に到着したと話している)。
以上の背景を踏まえながら、まずはDISC1のCD(スティーヴ・ウィルソン・ミックス)から「Highway Star」と「Smoke On The Water」を聴いてみましょう。
出水 補足しますと、今回のボックスにはCDが5枚とブルーレイオーディオが1枚入っています。CDはすべてリマスター盤で、DISC1はオリジナルアルバムと同じ内容、DISC2〜5は8月15日〜17日の各公演やアンコールを収録しています。DISC6がブルーレイオーディオで、ドルビーアトモスやDTS-HD MASTER AUDIOが収録されています。
最新リマスターで聴く「Highway Star」の鮮烈なギター
筑井 最高!こんな本格システムで「Highway Star」 を聴いたのは初めてだけど、素晴らしいね。昔使っていたミニコンポだと、ベースがきちんと聴こえていなかったのがよくわかる。
御法川 リッチーのギターも鮮烈ですよ。いかにも最新リマスターらしいサウンド。このライヴ盤は日本のワーナー・パイオニアが企画したんですが、その時にディープ・パープルは3つの条件を提示しています。
それは、「機材はバンドがOKしたものを使用する」、「録音は自分達の選んだエンジニアが担当する」、「リリースについて、決定権はバンド側が保有する」というものでした。そのため、当時ディープ・パープルのスタジオ作品を手がけていたエンジニアのマーティン・バーチも来日しています。
機材は8トラックの国産レコーダーが用意されましたが、あまりにもコンパクトでバランス・レベルも取れないものだったようで、ディープ・パープル側は失望を隠せなかったとの話もあります。そのため、リッチーやジョン・ロード(key)、イアン・ギラン(vo)はこのライヴ音源に興味を失い、残りの二人、ロジャー・グローヴァー(b)とイアン・ペイス(dr)しかミキシングに関わらなかったとも言われています。
出水 でもそれが、結果としてよりナチュラルな音源につながった?
御法川 5人のエゴがぶつからなかったことがミキシングに有効に働いたとも言えるかもしれません(笑)。面白いエピソードとしては、ペイスがミキンシングを担ったため、リッチーのギターが左に置かれるという珍事(?)も生まれています。
筑井 それってどういうことでしょう?
御法川 リッチーはステージ上では上手に位置しているため、客席から見るとギターは右チャンネルで再生するはずです。でも、ドラムのペイスからみれば、リッチーは左にいるわけです。なので、ギターが左になったのではないかと言われています。過去にリリースされた「完全版」や「REMASTER EDITION」ではリッチーのギターが右に配置されているミックスもありますが、本盤はオリジナルのアナログ盤に準じて、左に置かれていますね。
筑井 そう言われてみると、確かにギターは左から聴こえます。映像がついていないから、気にしていませんでした。
2008年発売のSHM-CDで聴く「Highway Star」
御法川 比較用に2008年に発表されたSHM-CDも聴いてみましょう。発売時期から判断して、このCDのマスターは「25TH ANNIVERSARY REMASTERED EDITION」と同じだと思われます。最新リマスターとどんな違いがあったのか、個人的にも興味があります。
筑井 ダイナミックレンジが狭いとまでは言わないけれど、やや音がおだんご的に聴こえるかな。ベースの深みや沈み込む音は、DISC1のスティーヴ・ウィルソン・ミックスの方が鮮明ですね。
こうして聴き比べると、楽器のセパレート感も今回のDISC1の方が向上しています。ハード・ロックやヘヴィメタルは音の塊を浴びたいという欲求もありますから、「Highway Star」で楽器を分離させるのがいいかどうかは別の問題だと思いますが(笑)。
御法川 DISC1の「Highway Star」は楽器の配置が明瞭で、過去のイメージと結構違いがある。会場でこんな聴こえ方をしていたのかなって思うくらい。
筑井 していないと思うな(笑)。でもCDでこれだけの違いがあるのも面白いですね。さっきの御法川さんの企画じゃないけど、アナログ盤を含めて全部の「Highway Star」を聴き比べたい!
ブルーレイオーディオには4種類の音源を収録
御法川 では、次にブルーレイオーディオを再生します。このディスクには4種類の音声が収録されています。まず2025年 リミックス版がドルビーアトモス(Immersive Audio)とDTS-HD 5.1ch(Surround Mix)、2ch(Stereo Mix)の3種類で、他に「Orinigal 1972 Stereo Mix」も入っています。
まずは2025年 リミックス版の2chから再生しましょう。2014年にもブルーレイオーディオでDTS-HD MASTER AUDIO 2ch収録が出ていますが、今回同様にサンプリングレートは96kHzでした。今回のリミックスはスティーヴ・ウィルソンが手掛けているのが違いです。
2014年盤のライナーノーツによれば、ハイレゾリミックスを担当したマーティン・プーランが、レコーディングには8chレコーダーを使用したと説明しながら、使ったマスターは96kHz/24bit/16chで状態は凄く良かったと記しています。ということは、この時のマスターはデジタルデータで、オリジナルのアナログ8chマスターは使っていないことになります。そのあたりの経緯はよくわからなかったのですが……。
出水 今回のライナーノーツにも、ブルーレイオーディオの音声はアナログマスターなのか、16chデジタルマスターを使ったのかは明記されていません。
御法川 スティーヴ・ウィルソンもインタビューで「8トラックのアナログテープを使って非常に効率的に録音されたことに一番驚きました」としか答えていませんしね。
出水 謎が深いですね〜。でもそこで悩んでも仕方ないし、まずは音を聴いてみましょう。
2025 Stereo Mix DTS-HDを再生
御法川 少しアナログ的な温かさがある、マイルドな印象です。
筑井 確かに、CDの方が力強い印象で、こっちはちょっとおとなしめかな。
出水 ロックにしては少し優しい音になりました。ハイレゾ音源で音が優しく聴こえることはありますよね。単純には言えませんが、この音源もそのひとつのような気がします。
筑井 ハイレゾは色々聴いていますが、ロックの楽曲でももっとパワー感やキレを感じることもありますから、単純にサンプリングレートの問題でもないだろうし、難しいところですね。
御法川 確かにキレは若干後退したけど、昔アナログ・レコードで聴いていたイメージには近いかも。となると、同じ2chで収録されている1972 LP MIXがどう聴こえるかも気になります。
出水 そうですね、こっちは192kHz音源で収録されているようですから、印象も変わるはずです。
Original 1972 Stereo Mixを再生
筑井 これは素晴らしい!というか、曲の印象がまったく違う。
御法川 1972年のオリジナルミックスだから、リミックス版と違うのは当たり前だけど、ギターの倍音の聴こえ方も明らかに違う。しかもS/Nがいいからディテールまで克明に分かりますね。
出水 ミックスのバランスはオリジナルと同じだけど、2025年リミックスよりも、こっちの方がロックっぽい気がする。
筑井 そうそう。ギターの芯が太いし、まさにロックを聴いているってこういう感じだよね(笑)。
出水 これはあくまでも推測ですが、このトラックを192kHzで収録しているというところに、作り手側にも何か意思があったような気がしませんか?
御法川 オリジナルに対するリスペクトというか、何らかの思いはあるかもしれません。もし、今回初めて「ライヴ・イン・ジャパン」を聴く人がいるなら、まずこのトラックを聴くことをオススメします。その後に、スティーヴ・ウィルソンやケヴィン・シャリーのリミックス版を当たっていった方が良いと思う。
筑井 このボックスを手に入れたけど、CDしか聴いていないという方も多いんじゃないでしょうか。でも、それってすごくもったいない気がします。ぜひブルーレイオーディオも聴いて欲しい!
御法川 『ライヴ・イン・ジャパン』を買い続けているファンの中には、マルチチャンネルには対応していないけど、ステレオは高級システムを構築しているという人も多いでしょう。そういった皆さんにも、ぜひオーディオシステムに、ブルーレイプレイヤーを加えてもらいたい。
出水 確かに。ブルーレイオーディオはCDプレーヤーでは再生できないから、スルーされているかも。Original 1972 Stereo Mixはもともと2ch収録なんだから、ブルーレイプレーヤーのアナログ出力をつなげばこのサウンドを楽しめますから、ぜひトライしてください。
御法川 ちなみに2ch音源の中では、筑井さんはどれが好みでした?
筑井 Original 1972 Stereo Mixが一番です。DISC1のCDに入っていたスティーヴ・ウィルソンのミックスも鮮烈だったけど、私の記憶の中にある『ライヴ・イン・ジャパン』のイメージにはOriginal 1972 Stereo Mixが近いかな。迫力があるのにベタっとしないというか、切れ味のいい低域でした。
御法川 僕も同感です。Original 1972 Stereo Mixは収録マイクの解像度まで上がっている印象で、会場の雰囲気も増していますね。
出水 ステレオ2chなのに、左右のスピーカーの外側にも音場が広がっているような印象がありました。
御法川 そこも『ライヴ・イン・ジャパン』の奇跡の一つですよ。オリジナルのミックスがとても上手くできていることが改めてわかりました。
出水 Original 1972 Stereo Mixは、現在の技術を駆使すれば過去の名録音をここまでのクォリティで聴けるというひとつの指針になりそうですね。ステレオ2chでこれだけのサウンドを体験させてくれるだけでも、パッケージとしての価値が充分ある。このブルーレイオーディオは、コアなファンにとってはオマケ的に見えるかもしれませんが、実は「オマケの中にもお宝があった」ということですね。
ブルーレイに収録されたドルビーアトモスを聴く
御法川 それではいよいよ、本ボックスの“売り”でもあるドルビーアトモスミックスを聴いてみましょう。『ライヴ・イン・ジャパン』として初のマルチチャンネルになります。
なお先程説明した8ch録音ですが、ドラムに2ch、ギター、オルガン、ベース、ヴォーカルで4chを使い、残りの2chは会場内に設置されたアンビエントマイクに用いられています。スティーヴ・ウィルソンは、会場内のアンビエントマイクの音が素晴らしく、会場内の空気感や雰囲気をしっかり捉えていたことを、このアルバムが自然に聴こえる理由の一つに挙げています。
また『ライヴ・イン・ジャパン』は、カバーアートも含めて東京日本武道館のイメージが強いんですが、収録曲の多くは大阪フェスティバルホールでの録音です。
2025年リミックスのドルビーアトモスを再生
筑井 不思議な印象ですね。いわゆるライヴサウンドとも違って、音があちこちのチャンネルに配置されている感じ。
御法川 ライヴ会場の再現を期待していたんだけれど、違いましたね。
出水 サラウンドミックスでは、どんな効果を狙うのかというのも重要です。ライヴ会場の雰囲気を再現したいのか、それとも新しい演出をしたいのか、色々な切り口があると思うのですが、これは後者かな。意図的に楽器やボーカルをサラウンドやトップスピーカーに振り分けていますね。
御法川 リッチーのギターソロになると、ジョン・ロードのオルガンがリアに引っ込んだり、オルガンのソロになるとギターがリアに回ったりとか、細かく演出しているんだけれど、これってライヴ音場なのかと言われると難しい。
出水 ギランのヴォーカルも、センターと左右のトップスピーカーの3つから再生されていて、明らかに高さを意識した演出がされています。
筑井 かなり思い切った音の振り方ですよね。
御法川 もともとマイクは8本しかなかったので、当然ながら隣り合った楽器の音も拾っているわけです。それを他チャンネルのサラウンドとして振り分けると一体感が後退してしまう。そこも難しいのかなぁと考えさせられました。
筑井 ライヴを追体験するのとは違う、新しい音楽体験でした。
御法川 まったく異なるアートに仕立てたかったのかな。リッチーのギターは左フロントと左リアを使って、壁のようにそびえ立っていた。低音のスピードも早いので、サブウーファーにはなかなか厳しい音源ですね。
ヘッドホンでドルビーアトモスを聴くとどうなる?
筑井 ドルビーアトモスをヘッドホンで聴いたらどうなるか気になります。ゼンハイザーの「HD 650」を用意したので試してみましょう。
御法川 それは面白い。再生経路はどうなるのかな?
出水 今日使っているデノン「AVC-A1H」では、DSP内部でドルビーアトモスをデコードし、そこからダイレクトに2chダウンミックスした信号がヘッドホン用として出力されているようです。シンプルな処理内容なので、ドルビーアトモスのサラウンド情報が残っていると思われます。
筑井 ドルビーアトモスとOriginal 1972 Stereo Mixをヘッドホンで聴き比べてみたけど、前者は耳の後ろまで音場が形成されるのに対し、後者はオデコのあたりに塊で音場が浮かび上がるイメージでした。
御法川 本当だ。ドルビーアトモスミックスをヘッドホンで聴くと、頭のまわりを音が取り囲んでくれる印象になって、サラウンド感も案外強く感じられる。これはこれで悪くないですよ。
出水 確かにバイノーラル感が豊かですね。ひょっとしてこのドルビーアトモスミックスはヘッドホンでの試聴を前提にしてたりして(笑)。
御法川 いや、真面目な話、その可能性もあるかもしれませんね。
Apple Musicで配信されているアトモス音源もチェック
出水 「ライヴ・イン・ジャパン」のドルビーアトモスはApple Musicでも配信されていますのでこれも聴き比べてみましょう。ブルーレイがDolby TrueHD(ロスレス圧縮)なのに対し、Apple MusicはDolby Digital+(ロッシー圧縮)なので音質に違いはあると思いますが、サウンドデザインは比較できるんじゃないでしょうか(サンプリング周波数はどちらも48kHz)。
御法川 ギランのヴォーカルもセンターより少し上寄りに定位している。サラウンドデザインはパッケージもApple Musicも同じですね。
出水 そうですね、今聴き比べた限りではブルーレイオーディオとApple Musicは同じマスターを使っているようです。
筑井 音質の違いはあるけれど、『ライヴ・イン・ジャパン』をイマーシブサラウンドで楽しんでみたいという方は、まずApple Musicを試してみるのもいいでしょう。
御法川 その場合はスマホアプリではなく、Apple TV 4KとAVアンプを使ってくださいね。
筑井 今日だけで2chで4種類、マルチチャンネルで3種類、合計7種類の「Highway Star」を聴きましたが、それぞれに新しい発見がありました。
御法川 きっと他の曲でも同じ発見や感動が得られるだろうから、このボックスだけでも相当楽しめますよ(笑)。
出水 ディープ・パープル、恐るべし(笑)。というか、こうやってひとつの曲でリマスターやアレンジの違いを楽しめるのも、リマスターやスタジオ技術の進化のおかげですね。
筑井 今日聴いた「Highway Star」は、どれも半世紀以上前の演奏とは思えないパワーとロック魂を持っていました。ぜひ多くのファンにこの体験をしてもらいたいと思います。
「ライヴ・イン・ジャパン」メディアの変遷
1972年:オリジナル・レコード発売
1988年:初CD化
1993年:3公演を収録した3枚組ボックスセット「21TH ANNIVERSARY EDITION」「完全版」。ディープ・パープル研究家のサイモン・ロビンソンとダロン・グッドウィンによるリミックス
1998年:「25TH ANNIVERSARY REMASTERED EDITION」。ピーター・ミューによってリマスター
2013年:「BOX SET EDITION」マーティン・プーランによってリミックス&リマスター
2014年:「2CD EDITION」ケヴィン・シャーリーによるリミックス。シャーリー&プランのマスターを用いてハイレゾ化。内容は2.0ch PCM(96kHz/24bit)/2.0ch DTS-HD MASTER AUDIO(96kHz/24bit)/2.0ch Dolby TrueHD(96kHz/24bit)
2025年:「SUPER DELUXE EDITION」スティーヴ・ウィルソン・リミックス
主な試聴機器>
・ユニバーサルプレーヤー:MAGNETAR「UDP900」
・AVアンプ:DENON「AVC-A1H」
・ストリーミングデバイス:Apple 「Apple TV 4K」
・スピーカー:Bowers & Wilkins「702 S3 Signature」(フロント)「705 S3 Signature」(サラウンド)、「HTM71 S3 Signature」(センター)、eclipse 「TD508MK4」(トップフロント、トップリア)
・サブウーファー:eclipse「TD725SWMK2」

































