4K UHD BD『セッション』、伝説のラスト5分!あのドラムソロをぜひ4K & Dolby Atmosで
4K Ultra HD Blu-rayの注目タイトルをプロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。今回のタイトルは現在発売中の『セッション』(デジタルリマスター版)。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックした。
『セッション』
STORY
ニューヨークの名門音楽学校に入学したジャズドラマー志望の若者ニーマン。教室でひとりドラムを叩いていた彼は、指導者フレッチャーの目にとまる。彼の指揮するスタジオバンドに試用されたものの、「テンポがずれている」とメンバーの面前で罵詈雑言を浴びせられ、椅子を投げつけられる屈辱を味わう。しかし、この時ニーマンの闘志に火が付き、血まみれの猛練習が始まった…。
4K化で、色彩に込めた作り手の意図がより鮮明に
公開時、「こんなシゴキが本当にあるのか?」という筆者の問いに、某音楽評論家氏は「100%ありえない!」と一笑に付した。しかし、ドラマー志望だったというチャゼル監督は「実体験をヒントにした映画」と語る。
主人公ニーマンの一人称視点の映画。私たち観客は野心的な若者の心の鏡に映ったフレッチャーを見る。イジメ、パワハラと言えば確かにそうだし、そうでないとも言える。
アレクサのカメラを使ったデジタル撮影だが、デジタルの利点は色調設定がしやすいことにある。CH5ニコルとデートするカフェは平穏な緑が主調色。戦場のような演奏会場はオレンジが主調色。そのどちらもニーマンの不安と野心が交錯する心象風景なのだ。
フレッチャーは怒声で、ニーマンはドラムで感情を表現する。CH4ニーマンは血まみれになって叩き続ける。音楽映画だが、劇中で演奏されるのはわずか3曲。CH4『ウィップラッシュ』(むち打ち)、CH11『アップスウィンギン』、そしてラスト、米映画史上最長(たぶん)5分にも及ぶ、デューク・エリントン『キャラバン』のドラムソロで締め括られる。勝者はニーマンかフレッチャーか…、判定は観る者に委ねられている。
SPEC
製作:2014年/米 ●ジャンル:洋画ドラマ ●監督:デイミアン・チャゼル ●出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ ●本編ディスク:107分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、日本語Dolby Digital 5.1ch、コメンタリーDolby Digital 2.0ch ●字幕:日本語、吹替用、コメンタリー ●特典:本編:監督&J.K.シモンズコメンタリー、ショートフィルム:監督&スタッフコメンタリー、未公開シーン:監督&スタッフコメンタリー、未公開シーン、タイムキーパーズ、監督&J・K・シモンズインタビュー、トロント国際映画祭舞台挨拶、オリジナル予告


































