4K UHD BD『ダーティハリー』、 コントラスト豊かな都会の光と闇。DOlby Atmosで44マグナムが火を吹く!
4K Ultra HD Blu-rayの注目タイトルをプロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。今回は、現在発売中の『ダーティハリー』。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックした。
『ダーティハリー』
STORY
情け無用の強引な捜査で恐れられるダーティハリーことサンフランシスコ警察のキャラハン刑事のもとへ、スコルピオと名乗る男から犯罪予告が届いた。「現金4万ドルを用意せよさもなくば、市民を次々に殺害する」。マグナム44口径を手に犯人を追いつめるキャラハン。しかし、カードはスコルピオの手中にあった。少女を誘拐、地中に監禁していたのだ。
4Kで描く都会の荒野に思わず「泣けるぜ…」
ポストニューシネマ期に刑事アクションの新しい潮流を作った名作。カメラがスタジオを飛び出しサンフランシスコ市中でほぼ全編ロケ撮影。しかも映像の大半が夜の追跡劇。撮影監督ブルース・サーティースは照明を最小限にとどめ、必要以外を闇に塗りこめ、被写体の逆光撮影も多用、無法が横行する都会の闇を生々しくフィルムに定着した。
4Kリマスターはグレインをたくみに整理している。一方、デイライトシーンはカリフォルニアの陽光が生む光と影をとらえ、ローカルコントラストがくっきり深く付き、白日の下キャラハンの犯罪捜査に同行する臨場感が生まれている。CH12スコルピオが教会の広告塔に銃を乱射するナイトシーンはHDRのピーク効果で白光が炸裂する。
Dolby Atmosが随所でマグナム44口径の量感を豊かに再現。CH20フットボールスタジアムでの対決は静寂の中、暗騒音が遠巻きに現れサスペンスを盛り上げる。暴力シーンが多く(PG12)殺伐としているが、本作でハリウッド映画は勧善懲悪ヒーローと訣別したのである。ビデオグラム決定版の登場。
SPEC
●製作:1971年/米 ●ジャンル:洋画アクション ●監督:ドン・シーゲル ●出演:クリント・イーストウッド ●本編ディスク:約102分、スコープ、HDR10 ●本編音声:英語Dolby Atmos、英語DTS-HD Master Audio 2.0ch、日本語Dolby Digital 1.0chモノラル、英語Dolby Digital 2.0ch(音声解説) ●字幕:日本語、バリアフリー英語、音声解説用、日本語吹替用 ●特典:リチャード・シッケルによる音声解説、世代を超える「ダーティハリー」の魅力、正義を映す:ダーティハリーの撮影、Clint Eastwood:アウト・オブ・シャドー、ザ・ドキュメント・オブ・イーストウッドほか
