ウェス・アンダーソン初期の名作!超個性的“ぶっとび”高校生のおかしな青春と恋
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は1998年公開の『天才マックスの世界』をご紹介します!
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『天才マックスの世界』(1998年:アメリカ)
(配信:ディズニープラス)
『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』『アステロイド・シティ』などで知られるウェス・アンダーソン監督の初期作品。名門私立校に奨学生として通う15歳のマックス(ジェイソン・シュワルツマン)は、勉強は不得意ながらも独自のユーモアを持ち、19ものクラブをかけ持ちする個性的な少年。一目惚れした小学部の教師ローズマリー(オリビア・ウィリアムズ)を喜ばせるため、親しくなった鉄鋼会社の社長ハーマン(ビル・マーレイ)の力を借りて水族館を作ろうと画策するが、ハーマンもローズマリーに惚れてしまい……。
日本でも絶大的な人気を誇るウェス・アンダーソン監督の長編第2作目となる本作。一目見ただけで彼の作品だと分かる唯一無二の構図や撮影方式はまだ多用されていない頃の作品になるのだが、その片鱗が随所に垣間見られるため、近年の作品しか触れていない方にとっては、ウェス・アンダーソンの変遷をお楽しみいただけることだろう。
また、脚本には大学時代の友人でもある俳優オーウェン・ウィルソンが参加しており、主演のジェイソン・シュワルツマン共々、後のアンダーソン作品には欠かせない常連俳優たちの若かりし時代をも堪能できてしまう。
肝心の中身はというと、幼い頃に母を亡くしているマックス、直近で夫を亡くしているローズマリー、妻とも子供たちとも関係が上手くいっていないハーマンと、描き方次第ではハードでドロドロな三角関係になりかねない要素で溢れているのだが、そこはやっぱりウェス・アンダーソン!あくまでもユーモアたっぷりに奇妙な三角関係を映し出し、根底に宿る重みを大切にしながら3人の関係性、その変化を見事に捉えた青春映画として描いている。久しく見返していないという方も、近年の作品しか観たことがないという方も、この機会に初期のウェス・アンダーソン作品をお楽しみください♪
『天才マックスの世界』(C)2025 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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| ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェルジュ」など、幅広く活動中。 |































