公開日 2022/04/03 07:00

レコード盤、実は食器用洗剤で洗ってOK! 安くて効果的なクリーニング技を伝授

レコードの汚れは音の汚れ

わずかなコストで効果抜群! おすすめ手入れグッズ&クリーニング方法

食器用洗剤とスポンジでも十分に効果があるのだが、もっとスマートにレコードをピカピカにする方法がある。レコードクリーニング液とクロスを用いる方法だ。

家電量販店やレコードショップなどに行けば入手可能で、代表的な製品なら両方合わせても2,000円程度と廉価なうえ、効果も折り紙付きである。使い方は、盤面へクリーニング液を数滴落とし、クロスで満遍なく塗り広げながら磨いていく。こちらも基本は音溝の円周に沿って、時計回り/反時計回りの両方で磨く。両面とも終えたら乾いたクロスで拭き取って終了だ。

盤面にレコードクリーナーを数滴落とす

クロスで満遍なく塗り広げながら、音溝の円周に沿って磨いていく。今回はオヤッグサウンドのクリーナーと、アルテのクロスを使用した

こういう盤のクリーニングには、滑りにくい台が欲しくなる。私は古くなったゴム製のターンテーブルシートをテーブルに置いて使っているが、滑りにくければ基本的に何でもよい。ただし、くれぐれもレコードをプレーヤーの上へ乗せてクリーニングするのは止めた方がよい。プラッターの軸は繊細で、横方向の力に決して強くないため、下手をすると軸が歪んでプレーヤーとして使い物にならなくなってしまうからだ。

クリーニング時は、ゴム製のターンテーブルシートなどを下に敷くと滑りにくくなる

またクリーニング液の中には、汚れを落とす液と針の滑りを良くする液、あるいは静電気を防止する液の2液式のものもあれば、アルコールを含有したカビに強いものもある。用途と好みに応じて使い分け、自分のクリーニング方法を確立していくのもよいかもしれない。

さらに、これまでは使い込んで汚れた盤への対策を中心に語ってきたが、驚くべきことに買ったばかりの新品盤でも、ちゃんと磨いてやれば音質は向上する。それも、ちょっと考えられないレベルでクオリティアップしてしまうから、もう訳が分からない。

さすがの私も、封を切ってすぐの盤を洗剤でジャブジャブ洗ったことはないが、レコードクリーニング液+クロスで実験してみたら音の変化は明らかだった。手持ちの盤を磨き終わったら、次の一手として是非にでも薦めたいクリーニングである。

クリーニング前(写真左)とクリーニング後(写真右)。見た目だけでなく、音質面にも大きく影響する!

レコードクリーニングには盤とカートリッジの寿命を延ばす効果も

ここまで解説してきた手磨きクリーニングの延長線上には、クリーニングマシンという存在がある。中には80万円という衝撃的な価格のものも存在するが、あれはクリーニング効果も衝撃的で、手磨きでは到底到達することの叶わない境地を朗々と聴かせてくれる。

「それでは80万円出さないとレコードは楽しめないのか」と絶望されることはない。廉価なマシンだって高い効果があるし、手磨きだって、もっと言えば家庭用品でのクリーニングだって、決して捨てたものではないのである。

80万円超の高価格帯モデルも展開するレコードクリーニング界だが、廉価なモデルや手磨きクリーニングでも充分レコードは楽しめる!

一番よくないのは、「まぁ大差ないだろう」と汚れた音溝へ針を落とすことだ。音溝へ降り積もった微細な埃は砂は、それ自体が磨き砂になって針先や音溝を削り摩滅させてしまうのだ。お恥ずかしい話だが、少年〜青年時代の私がまさにそうだった。

当時は1年程しかカートリッジの針先がもたなかったのだが、しっかりクリーニングするようになると、多数のカートリッジを併用しているとはいえ、常用カートリッジでも10年以上、上手くすると20年近くもつようになった。

また、あの頃は愛聴盤をすり減らして買い替えたりしていたが、しっかり磨くようになってからは、100回や200回の再生程度では音溝は全然減ったように聴こえない。本当に極端な差がついてしまって、自分でもビックリしているくらいである。

そのほか今回は紹介しないが、音溝深くのゴミを落とせるものの、多用すると音溝すら削り落としてしまう“劇薬”も存在する。私も稀に用いる方法ではあるが、調べて実行される場合は、くれぐれも自己責任でお願いしたい。

以上、レコードクリーニングの方法を色々と紹介してきたが、生活用品で行うクリーニングも色々な手法が在野のマニアによって研究されており、ネットを探せばいくつも見つかる。私自身の方法を含め、それらを試される際には是非とも細心の注意を払うようにしてほしい。

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